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2018-07-27

【新入荷】2018年7月 その4(Il Cancelliere、L’Acino)

Il Cancelliere

イタリアでは以前からあったのですが、最近は日本でも造り手の方からワイン醸造に関する意見を求められる事があります。

自ら醸造をしたことのないオータに聞いて何になるのかなぁと思いつつも、ワイン史にその名を刻むことになるであろう造り手たちとの付き合いも濃く長いものとなってきていますので、様々なゾーン、ブドウ品種、栽培方法、色々なヴィンテージ、各々の造り手の醸造哲学と彼らが各ヴィンテージに実際に採用していた醸造方法や醸造中のトラブル、その対処方法などをいろいろ見聞きしてきたというのは事実としてあるのかもしれません。で、日本の造り手からどんなことに関して意見を求められるかと言いますと…、特に多いのが白の醸し醗酵とアンフォラでの醸造…(笑)。

まあどちらに関しても、イタリアにおける黎明期から見てきているのでしょうし、うちの造り手たちがそりゃもう思いつく限りのことを過去から今にかけて試している(その結果として廃棄の道を辿ったワインがあることも…)ので、事例として似たようなエピソードを紹介して、「なので、僕ならこんな風に対処するかもしれません。」などと答えてきたのですが、改めて考えてみると我ながら軽々しい発言だなぁと(笑)。

ただ、こういった類の質問をするときは大概、
【1】自身がやったことのない事柄に挑戦しようとしている
【2】今までやったことのない事にトライしてみたところ、不測の事態が起きた

のいずれかであると思うのですが、

ケース【1】の場合、人生そのものが数々の未知未体験を乗り越えることで構成されているわけですし、新しい伝統や文化は、誰かが栄えある第一歩目を踏み出さない限り始まりもしませんから、(その一歩を踏み出すための)小さな後押しにでもなればと思い、オータは「やっちゃえ、やっちゃえ!」と、ついついけしかける方向で発言してしまいます。

ケース【2】は、当初想定想像していたようには醗酵熟成が進まなかった時…という事になると思います。そんな時は先人造り手たちのエピソードを披瀝するわけですが、今現在では何かを確立した感のある彼らでさえも同様のトラブルに“初めて”見舞われたことがあり、試行錯誤を繰り返してきた結果、今現在のスタンス、考えに至っている、という至極当たり前のことをお伝えすることで、「だよね!」くらいに思ってもらい、更にリスクに立ち向かう踏ん切りをつける一助にでもなればと…。

自然という巨大にして極小なさまざまなモノ&要素で構成されている、かくも複雑な事象を完全にヒトのコントロール下に置くことなど可能なはずもなく、それまでに経験したことのないような現象に出会うこと自体が普通なはずなんです。ナチュラルワイン造りにおける“技術”や“ノウハウ、引き出し”というのは、決して“ワインのクオリティを上げる”ためではなく、ひとえにトラブルシューティングのために必要なものなのではないでしょうか。

前々々回のメルマガで、「そんな風に熱苦しくやってきたことによる余波と、その余波に対して感じている責任という話をさせていただく予定」と書きましたが、今回はプチエピソード1という事で(笑)。

それでは7月最後の新入荷案内で~す!

この季節に全然ピッタリじゃないワイン(笑)、イル カンチェッリエーレの鬼コスパワイン、アリアーニコの2015年とほぼタウラージ!な佇まいのジョヴィアーノ2014が届きました!どちらも濃いのにザクザクです!!タウラージ2011、タウラージ リゼルヴァ2010共々よろしくお願いします!

L’Acino

カラーブリアの、人懐っこくて丸っこい男ディーノ率いるラーチノからは、スタンダードラインの赤、コーラ ロッソ2016と白の土着品種マントニコ100%で造られるマントニコス2014が入荷です。コーラ ロッソは潤沢な本数が届いていますので、当分切らすことがないのでじゃんじゃんお使いください!マントニコスは480本のみの入荷ですので、持って数か月といったところでしょうか…。秋には他のワインも入荷予定です!

文:太田久人
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