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2023-03-14

ヴィナイオータかわら版~渡辺編 その三~

みなさまこんにちは、『だだ商店 だだ食堂』べあやです。前回のメルマガで我らがかほり姐さんも触れている(&諸所で触れられている)ので『またか!』と 、聞き飽きているかと思いつつ触れずに居られない・・・只今、ヴィナイオッティマーナという大きな渦のシーズン2の真っ只中というタイミングとなっております。

文字通り五感、味覚嗅覚は言わずもがな、視覚聴覚触覚とそれ以上のなにかを感じるような沢山の情報量を、今の自分で受け取れる限りは受け取ろうと精一杯の日々に、目が廻るやら楽しいやら。

ワインという液体、もしくは、言葉や文章の中でしか出会えなかった『造り手』という存在。彼らを目の前にして、通訳さんを通して言葉を交わし、また言葉がなくとも杯を交わし、同じ空間で同じ時を過ごすことで、まるで友人になれたような、ぐっと彼らのワインとも近づけたような、そんな気持ちになっています。

こうして経験した事や感じたことをあらゆる形で伝えていくことは、お客さんと直接関わることのできるお店に立つ人間だからできる使命のひとつだろうと考えています。単純に説明することだけでなく、経験したからこそ伝えられる生きた言葉や空気感があり、それがあればこそ、伝える相手との距離感も変わっていく・・・。ワインや食や、その根幹にある考え方や生き方に至るまで、それぞれの造り手やその家族や仲間たちから伝えてもらっていることを実感しています。

そんな私が紹介したいのは、ラ ビアンカーラソ サン2017。マシエリやサッサイアが生まれるガンベッラーラの土地から約20キロの場所にあるソッサーノの畑で栽培されている、土着の品種であるトカイロッソ(タイ ロッソ)で造られた赤ワインです。『ソ サン』という名では2006年から(トカイロッソという名では2003年から)はじまりました。

vinaiottimanaシーズン1にも参加してくれたビアンカーラ一家。佇まいから思慮と造詣の深さを感じさせる当主アンジョリーノに、チャーミングで恐ろしくお料理上手なローザマリーア、キュートな笑顔で(元)やんちゃボーイだという四男トンマーゾ。彼らに会えたことで、彼らのワインのことももっと知りたい、そう思って手にしたワインです。

開けて口に含んだ時の、静かな印象は華々しいタイプではなく、しかしそれは決して控えめという意味でもなく、確固たる存在感を放っています。しっとりと密度のある果実感に、地に足ついた味わいは濃厚でもあり、尚且つ何故かするりと抜けていく液体。

忙しい日々でも、穏やかな日々でも、ふと帰りたくなるような、あちこち寄り道してもやっぱりここに落ち着くような、どこか飲み手に安心感を与えてくれるワインでもあります。数日かけて、少しずつ開く味わいの扉をゆっくり楽しむのもまた素敵。

ソ サン2017を飲みながらひと心地ついた今、あらためて思い出すのはアンジョリーノの瞳です。ヴィナイオッティマーナの期間中は懇親会や打ち上げで造り手たちと接する機会もあるのですが、どきどきしながら彼らと同じテーブルに。すぐ隣の、淡い色の瞳に、見透かされているような気持ちになったことを覚えています。

そして真摯に私たちと向き合い、丁寧に言葉を紡いでくれる姿に、背筋が伸びる思いでした。その瞳で葡萄を見つめ、ワインを見つめ、世界を見つめ、ひとつひとつに向き合ってきたのですね、と身の震えるような思いにもなりました。弊社代表オータもワインとは人である、と折々で言葉にするように、アンジョリーノ(そして彼に限らず、他の多くの造り手も)の哲学や信念や美学が、ワインという液体の中に表現されているから、多くの人を捉えて離さないのでしょう。

どこまでも深い世界へと誘ってくれるソ サン2017、ぜひお試しください。

 

≪渡辺の飲んでもらいたいワイン紹介≫
銘柄:So San 2017 / ソ サン2017
造り手:La Biancara / ラ ビアンカーラ
地域:伊 ヴェネト州
ブドウ:トカイ ロッソ(タイ ロッソ)
希望小売価格(税抜) : 5,300円

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