【新入荷】2015年11月その4(De Bartoli,Luigi Tecce)
故マルコ デ バルトリとジュゼッピーナ
20-30年後にはユネスコにもその価値が認められるであろうオータの個人コレクションに対して、今すぐにでも認められるべきワイナリーと言えば、やはりデ バルトリ!!未だに樽で熟成中のワインで、1903年とかを持っているのは彼らだけなのではないでしょうか??そんな彼らから新着&再入荷等いろいろ入ってきています!
マルサーラ産のグリッロとパンテッレリーア島産のズィビッボを混醸したワイン、ソーレ エ ヴェントとマルサーラ&ヴェッキオ サンペーリ(以下VS)用に使えるほどの熟度に達しないと判断した年のグリッロで造られるシンプルな白、ヴィーニャ ヴェルデは2013が再入荷しています。友人がマルサーラに持っている畑のカタラットで造られる白、ルーチドは2014、マルサーラ唯一の赤の土着品種と言えるピニャテッロで造られるロッソ ディ マルコは2013、パンテッレリーア島でも比較的標高の高い畑のズィビッボで造られる、ピエトラ ネーラは2014、グリッロの新たな可能性を追求するべく生まれた樽醗酵、樽熟成の白、グラッポリ デル グリッロが2013、約10年前の僕との会話から生まれたらしい、皮ごと醗酵させたワイン、インテジェルシリーズの最新ヴィンテージ、グリッロ12とズィビッボ13年が新しく入荷しました。そして、スプマンテの最新ロット2種類も届いているのですが、これが前回入荷分と全く違う仕上がりになっています。単一ヴィンテージのワインを使用し、瓶内2次醗酵を促すために次の年のモストと培養酵母を加えたスタンダードクラスのグリッロ メトド クラッシコは、当主レナートが思い描いていた2次醗酵が起こらず、エクストラブリュットまで行かずにブリュット的な仕上がりに。対して、前回は残糖がかなり残ってしまった、複数ヴィンテージのグリッロのワインをベースに、VSの20年物を15-20%ほどとグリッロのモストモストをブレンド、一切の酵母添加を行わずに極めてナチュラル(自然任せ)な2次醗酵を促したキュベVSは、ものの見事に醗酵しきりました。面白いもので、前回の残糖があったロットの方が、分かりやすくVSの面影を感じれたのに対して、今回のロットは瓶内で醗酵したワインの雰囲気が前面に出ていて、VSがフォローに回った感じになっています。なんにせよ、フレッシュさと熟成感が混在した、こんな贅沢なスプマンテは彼らにしか造れません!
そして!!!今回の目玉ワインがマルサーラ ヴェルジネ1988!!!!!!
僕も全くもって不勉強だったのですが、今更ながらにマルサーラというワインの分類について調べてみました。まずは生産方法の違いにより大きく、マルサーラ コンチャートとヴェルジネに分かれます。
コンチャートは、(ブドウ由来の)エタノール、モスト コット(モストを煮詰めたもので、ワインの色を濃くするために加えられる)とミステッラ(遅摘みしたブドウのモスト、ないし濃縮モストにエタノールを混ぜたもの)をワイン(ないしワインになりかけのモスト)に添加することが認められているのに対して、ヴェルジネはエタノールのみの添加が許されています。で、ヴェルジネとしては、熟成年数によって、ヴェルジネとヴェルジネ リゼルヴァ(ないしストラヴェッキオ)と分かれるのですが、コンチャートに至っては熟成年数で、
フィーネ(1年以上)
スーペリオーレ(2年以上)
スーペリオーレリゼルヴァ(4年以上)
と、色調で、
オーロ(黄金色):白ブドウのみで生産、モストコットの使用が許されていない
アンブラ(琥珀色):白ブドウのみで生産、モストコットを1%以上使用している
ルビーノ(ルビー色):黒ブドウのみ、ないし黒ブドウに30%未満の白ブドウを混醸したワインをベースとし、モストコットを使用していない
残糖分で、
セッコ:1リットルあたり40g未満
セミセッコ:1リットルあたり40g以上、100g未満
ドルチェ:1リットルあたり100g以上
となり、コンチャートだけで3要素を組み合わせて、実に27種類のラベルがあることに…。
デ バルトリの場合、通常生産している3種類のマルサーラ、ヴィーニャ ラ ミッチャ、スーペリオーレ10anni(10年物)、リゼルヴァ(現行87年)のいずれも、モストコットを使用せず、自社ワイン由来のブランデーと自社のモストのみを使ったミステッラのみを使用し、どれも4年以上の熟成をさせてますので、理屈上は全てスーペリオーレ リゼルヴァを名乗ることができるわけです。そもそも、1年や2年くらいではどんなワインもさほど酸化しないでしょうから、マルサーラの持つべき特性“酸化的熟成”を
フィーネやスーペリオーレに望めない気がするのですが…。こう書いてしまうと本も子もありませんが、いかにワイン法がしょうもないもので、大手を守るためのものなのかということの象徴的な一例なのかと。
話は若干脱線しましたが、今回のヴェルジネ1988は、故マルコが造った最初で最後のヴェルジネで、10年物のVSにほんの少量のアルコールを1988年に添加し、以降(樽内で目減りした)ワインの補てんも一切することなく樽で熟成させていたものを、今年ボトリングしたものになります。一般的なヴェルジネは、醗酵途中(それもかなり手前)のワインに大量のアルコールを添加することが多いようで、現地で飲ませてもらった造り手のものは1杯飲み切れなかったのですが、デ バルトリのものの飲み心地たるや…危険です!最初で最後の作品と聞けば、外れてしまう僕のブレーキ、大量に買い付けてしまいました!是非ともVSの20年物と比べてみてください!
デ バルトリのパスタも再入荷しております。こちらも是非~~~!
全てのバローロの中でもカッペッラーノのワインに特に感じる、ある種の”厳格さ”と似たものを持つアリアーニコを造る、ルイージ テッチェのサティリコン2012とタウラージ ポリフェーモ2010も届きました!!こう書いてみて改めて気が付いたのですが、造り手本人も行き過ぎなくらい神経細やか(神経質とも言えますね。笑)でして…
生産量もごくわずかで、僕もタウラージで年360本しか分けてもらえません!!ですが、今回は弟分のサティリコンに関しては多めに分けてもらう事ができました。為すがまま醸すという点に於いては、全く一緒なのにもかかわらず、あまりにも個性が違うルイージ、カンティーナジャルディーノとイル カンチェッリエーレのワインは、やはりワインはヒトなんだという当たり前のことを僕たちに教えてくれるような気がします。比べてみてください!
文:太田 久人
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