【新入荷】2021年9月その3(Cantina Giardino,Il Moralizzatore,Pierpaolo Pecorari)
おニューのパソコンがいろいろ速すぎてびっくりしているオータです(今まで使っていたのが異様に遅かったという噂も…)。購入してから3か月以上経つと思うのですが、データの移行などが億劫でなかなか使い始められずにいました。データの整理や断捨離などに膨大な時間がかかってしまいましたが、おかげでかなりスッキリしまして、あとは最難関の写真の整理を残すのみ…。オータのみがアクセスできる場所にしかない写真も多々あり、それらをスタッフでも閲覧できる場所に早く移してあげたいのですが、人が全く映り込んでいない畑の写真などはオータ以外の人にとっては、ほぼ意味をなさないものになってしまうため、造り手ごとのフォルダに落としていく必要があり…。折を見て進めていきたいと考えているのですが、どなたか折がどこに転がっているのか教えてくださいませんか?(涙)
“折を見て”案件も山積みですが、“折など見てられない”案件にも事欠かないヴィナイオータ。というわけで、最重要“見てられない”案件な新入荷案内行きます!
3万本強の生産量で23種類ものワインを造る、インポーター泣かせにも程がある造り手、カンティーナ ジャルディーノからは、新ヴィンテージの定番ワインに加え、カンティヨンが手掛けるドロゴーネ ランビックの2020年ヴィンテージのヴィナッチャを使用した新ロット(前回入荷分は2019年のヴィナッチャを使用)と7つ(!!!!!)のNEWプロダクトが入荷です!
定番ワインに関しては、リスト部分をご参照いただくとして、ここでは新顔のご紹介を。
●NA TU RE(ナ トゥ レ)シリーズ2020年:諸外国ではレストランやワインバーなどでグラスワインとして使われることが多かった、マグナムにボトリングされる彼らのヴィーノビアンコ&ロザート&ロッソ。2020年は多くの国でロックダウンが実行され、レストランは休業、その分家飲み需要が増えると踏んだインポーターからの依頼で、一部のワインを750mlでボトリングすることにし、白をNA、ロゼをTU、赤をREと名付けます(3つ合わせてNATURE=ネイチャー!)。今回届いたのはNA TU REシリーズの第2弾で、第1弾がブドウも仕込みもマグナムでボトリングされたものと全く一緒だったのに対して、第2弾はマグナムのワインとは少々違った仕立てになっています。白、ロゼ、赤共にブドウは全く一緒のものを使用、短期間の醸し醗酵な点も一緒なのですが、NA TU REシリーズはセメントタンクで醗酵&熟成させたのに対し、マグナムは栗製の大樽で熟成。NA,TU,REですが、それぞれ240本の入荷となっておりますので、早々に終売することが予想されます。
●SI WI(シウィ)2020年:Sidro(シードロ=シードル)とWine(ワイン)でSI WI…。彼らが所有するブドウ畑には、ところどころにリンゴを中心としたブドウ以外の果樹の古木も植わっています。標高の高いイルピニア地方には、数々の在来種のリンゴがあるそうで、畑に植わっているものもすべて在来種。それまでは、食べたい分だけとるくらいのことしかしてこなかったらしいのですが、2020年にちゃんと収穫してみたところ、40ケースくらいになったそう(より正確を期すなら、40ケースの中には洋ナシが1ケース、マルメロも2ケースくらい混ざっていたとの事…)。在来種で造るシードルっていうのも素敵だし、自分たちが美味しいと思えるようなシードルもイタリアには少ないしってことで、醸造をすることに。11月9日にいざ絞ってみると、40ケースのリンゴからは40ケースのブドウ程のモストが取れないことと、収穫後に追熟をさせたことが原因なのか、その年のリンゴの特性だったのか定かではないのですが、(リンゴに)酸が欠けていることに気が付いたアントニオ、ちょうどその日(つまり11月9日…)に収穫した恐ろしく酸の乗ったコーダ ディ ヴォルペと一緒に醸すことに。同量のブドウとリンゴを果肉や果皮ごと丸1日醸した後に圧搾。当初はスティルでのボトリングを考えていたのですが、ギリギリのタイミングで微発泡にすることにし、ビアンコ フリッザンテの2次醗酵用に冷凍保存しておいたグレコのモストを10リットルほど加えボトリング。アルコール度数は、シードルとしては高めでワインとしてはかなり低めの8.5%。アントニオ曰く、カンジャルの2021年夏は、このワイン(?)ばかり飲んでいたとの事。108本入荷
●グルグル2020年:SI WIに使われたコーダ ディ ヴォルペ(以下CV)で造る、カンジャル的グルグル(ゴクゴク)ワイン。モンテマラーノ村(イル カンチェッリエーレもこの村にあります!)に5haのブドウ畑を購入した際、補助金ゲットのために斜面下側の一部の区画のブドウを抜き、新たにブドウ苗を植えまして、その中にはCVも…。この樹齢の若いCVの糖度がなかなか上がらず、収穫を待っていたところ、3週間に渡りほぼ毎日のように雨が…。カンジャルの2020年シーズンとしては、最後の最後にあたる11月9日に収穫したものの、長雨の影響を受けたブドウで造ったワインは、アルコール度数が10%にしか達せず…。雨の前に収穫された高樹齢のCVのワインとはあまりにも違いすぎると判断し、パスキに使うことは断念し、単体でボトリングすることに…。おそらくですが、最初で最後のワインとなるかと!168本入荷
●イル ミオ プリモ フィアスコ2020年:“僕の初めてのフィアスコ”という名の、アントニオ&ダニエラ夫妻の愛息フランチェスコが、クラスメイトと一緒に足でブドウを潰し、フィアスコ(トウモロコシの皮で包んだ伝統的なボトル)にボトリングすることを決めたワイン。ブドウはコーダ ディ ヴォルペで、6日間の間マセレーションの後に圧搾、ダミジャーナ(大瓶)で醗酵&熟成。1リットル入りです!72本入荷
●FXF2020年:フィアーノX(かける)フィアーノでFXF…。最近仲良くなった造り手、テヌータ ヴィンチェンツォ ナルドーネとのコラボ作品的ワイン。カンジャルのワイナリーから12kmほど離れた場所の信用のおける農家から分けてもらった3tのフィアーノを、カンジャルとナルドーネで等分し、お互いのセラーで全く同じ醸造的プロトコル※を採用し醸したものを翌春にブレンドしボトリング、半量ずつお互いのワイナリー名義で売ることにしたワイン(表ラベルは一緒ですが、裏ラベルの表記が違うそう)。
※一部のブドウを全房のまま、残りのブドウは徐梗しプレス、そこに4ケース分の梗も加え4日間のマセレーション、ステンレスタンクでの醗酵&熟成。
すでに混ざってしまっているわけですから、我々には知りようのないことでもあったので、アントニオにカンジャルとナルドーネのワインにどれほどの差があったのかと、その差の要因を聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。
「まずは醗酵の進み方からして全然違っていた。ナルドーネは1か月と経たずにアルコール醗酵が完了したけど、うちらは2か月以上かかった。うちらのワインはワイルドというかなんというか…ヒサトも良く知っているように、揮発酸もそこそこにあって直線的な味わいなのに対し、ナルドーネのは、ほんとクリーンでさ…(笑)。全く同じブドウだとは思えないほどの差だったよ。これほどまでの差が生まれる要因で俺が思い当たることといえば、やはり蔵の微生物環境ってことになるのかな。うちらは創業からずっと培養酵母に頼らない“野生醗酵”を実践してきたわけで、蔵にも様々な微生物が棲みついていることが予想されるのに対し、ナルドーネは畑ではずっと誠実な仕事をしてきたようだけど、セラーでナチュラルな造りに転換したのはここ最近のこと。つまり、彼らのセラーには、今でこそ使わなくなった培養酵母がいまだに優勢な状態で棲みついてしまっているんじゃないのかな。だから、アルコール醗酵もうちらと比べるとスムーズに進むのだろうし、バクテリアがほぼ生息していない環境だから、揮発酸も上がらずクリーンなワインができる…。」
ラベルは、パーネヴィーノのジャンフランコの長男、イザッコが手掛けています!ギャラはドロゴーネ ランビック1ケースだったそう(笑)。240本入荷
ドロゴーネ ランビックですが、相当数の樽のランビックがドロゴーネ色に染まってくれなかった(ヴィナッチャの色素沈着がうまくいかなかった、ないし遅い)ため、追熟をさせることになり、その結果ごく一部のランビックしかボトリングできなかったため、前回よりも少ない、156本の入荷となってしまいました…。ですが、怪我の功名ではありませんが、カンティヨンのジャンとの間では新たなアイデアも生まれたそうですので、そちらを楽しみにしつつ少量入荷をご容赦ください!
定番ワインに関する特記事項です!
ソフィア2019年ですが、例外的に長期間(319日間!)のマセレーションを施しています。従来蜜ろうの封を解き、圧搾するのは春先ですが、イタリアが最もコロナで動揺していた時期ということもあり、先延ばしにされたためだと思われます…。ですが、ダニエラ曰く激ウマとの事です!180本入荷
樹齢70年超のアリアニコで造られるドロゴーネですが、2013年と2018年ヴィンテージが入荷しております。すでに2016年がリリースされていますので、今回入荷の2013年は実質上ほかのヴィンテージよりも3~4年ほど長い瓶熟成が施されたことに…。理由は…謎です(笑)。96本のみの入荷となっておりますので、こちらも限定とさせていただきます。
コーダ ディ ヴォルペ ロッサで造るロゼ、ヴォルペ ローザ2019年も168本のみの入荷となっておりますので、早期完売が予想されます。お気を付けください!!
獣医のエンリコと元(!)薬剤師のアンドレアの仲良しコンビが営むイル モラリッザトーレのヴェスパイオ2017年が、いよいよ残り数十本となりましたので、2018年をリリースします!ボトルによってはあまり発泡していなかったり粘性が出ていたりと、なかなかにやんちゃだった2017年と比べると、2018年は造り手&インポーター孝行な子です。発泡も十分、還元とも無縁で、ひたすらピュア&クリーン!あまり自慢できることではありませんが、日本に到着してからも1年近く寝かせておいたこともポジティブに作用したのかもしれません…。すっごい美味しいです!
入荷当初は恐ろしいまでに素っ気なくて、オータをびくびくさせたブレスパ16-17年も絶好調ですし、ヴィナイオータ的薄旨赤カベルネーレ2016年もいい感じです!あ、ウルトラマイナー土着品種グロッペッロで造るグロッペーロ2017年も残りわずかとなっておりま~す!
日本が大好きな心優しきアレッサンドロ率いるピエールパオロ ペコラーリの新ヴィンテージのワイン2つと、新しいワイン1つをリリースします!!詳細は下記のとおりです。
●マルヴァジーア イストリアーナ2018年:マルヴァジーア イストリアーナは、発祥地のギリシャから陸伝いでフリウリにまで到達したマルヴァジーアなのに対し、イタリアの他の地域で普及したマルヴァジーアは島伝いで伝播したもの。その伝播の過程で変異を重ね、同じマルヴァジーアではあるのですが、島伝いのは太陽を感じることのできる明るく濃密なアロマを備えているのに対し、陸伝いのイストリアーナは繊細でキュートなアロマが特徴となっています。
●ロザルバ2019年:早摘みをしたメルロー&レフォスコ&カベルネで造る、アレッサンドロのお母さん、アルバの名を冠した、ひたすらフレッシュ!なロゼワイン(Rosaローザはイタリア語でピンクを指し、Rasa+AlbaでRosAlba…)。
●ジルド カベルネ フラン2016年:前述のマルヴァジーア イストリアーナやピノ グリージョの植わるオリヴァースに所有する、樹齢70年超のカベルネ フランで造るワイン。これは!という年にだけ単体で醸造され、古樽で2年、瓶で最低でも2年寝かせたのちにリリース。生産本数的にも1200-1300本程度のワイン。ジルドは、このカベルネ フランを植えた、前所有者のお爺さんの名前になります。
*ブログ掲載時には完売しているワイン、商品がございます。予めご了承ください。
文:太田久人
298 nuovo21.9.24