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2021-10-19

造り手紹介 Maison Maurice Cretaz / メゾン モーリス クレタ

造り手:Maison Maurice Cretaz / メゾン モーリス クレタ
人:Andrea Maurice / アンドレア モーリス
産地(州):ヴァッレ ダオスタ
ワイン:LIE BANQUES, MIN BANQUES, NEE BANQUES, BOS MONOT, VIF CLOUEO
所在地:Frazione Clou 72 – 11010 Sarre | AO – Italia <map
Web:http://www.mmc.wine/home.html

ヴァッレ ダオスタ州の州都アオスタに隣接したサールで2015年から正式にワイナリーを立ち上げた建築家アンドレア モーリス。

祖父から受け継いだ、ケザレ(サールの北)にあるバンクという区画で収穫したブドウを2010年まで協同組合に売却していましたが、この地域の土着品種とブドウ栽培の歴史のスペシャリストでもある友人の農学士からの勧めもあり、販売していたブドウを自ら醸造することに決め、2011年から試験醸造を始めました。

周りを山に囲まれ平地が少ないアオスタ渓谷では十分な日照を得るためには傾斜地に畑を作るしかなく、結果的に機械化もできず全てが手作業となってしまうため耕作放棄が後を絶たず、地域の伝統が失われつつあります。

この状況に憂いを抱いたアンドレアは、美しいアオスタ渓谷の畑と伝統品種の維持と保護に自らの人生を賭ける決意をしました。

畑の生物(微生物、動植物)の多様性を実現するためにビオディナミを実践、ブドウ樹のダメージを最小限に留める剪定方法を採用、醗酵を円滑に進めるために白ブドウ品種にも皮や種ごとの醗酵を行い、醗酵中の温度管理も一切行わず、無濾過無清澄でボトリング。酸化防止剤も、ボトリング時にごく少量を添加。

アンドレアにバトンを託すまでの間、ブドウ栽培という伝統と文化を守ってくれていた先人に敬意を表すべく、彼らの名前がワイン名となっていて、各ワインのロゴデザインはそれぞれの人物に因んでいます。

ラベルの中でワイン名の上に記載されているのは区画の名前で、地域や標高に大きく違いがあり、品種もそれぞれの畑に合ったものが植えられています。現在は3つの区画から年間約5000本を生産。

<ワインラインナップ>

区画:「BANQUES(バンク)」
ワイナリーがあるサールの北にある畑で標高は640~700mほど。彼らのメインの畑であり、広さは1.2ヘクタール。唯一白ブドウと黒ブドウの両方が植えられている。

●LIE(リー)
品種:プティ アルヴィン

リーはアンドレアの父方の祖父の名前Lie-Elia Maurice(リー エリア モーリス)から名付けられたワイン。きめ細かい酸と爽やかな香りのプティ アルヴィンから造られる。5日間のマセレーションとアルコール醗酵、圧搾後ステンレスタンクにて醗酵の続きと熟成を行う。

ロゴデザインは、「人」を意味し、パルチザンで職人だった祖父と、ワイン造りのあり方と伝統を守るという事に対するアンドレアの想いや矜持を重ねたもの。

●MIN(ミン)
品種:マイオレ

ミンは父方の祖母Min Erminia Mondet(ミン エルミニア モンデ)から名付けられたワイン。使われているブドウ品種は、1700年代後半にはヴァッレ ダオスタでの栽培が確認されている黒ブドウ品種のマイオレ。ヴァッレ ダオスタの土着ブドウの中でも最も早熟で、標高の高い場所を好む品種で、栽培面積は全体で7ヘクタールのみと絶滅寸前といえる。ステンレスタンクにて醗酵と熟成を行う。

ロゴデザインは、「人生」を意味し、命のエネルギーをイメージしたもの。

●NEE(ネエ)
品種:プティ ルージュ、コルナリン、マイオレ

ネエは母方の祖父ネーロのあだ名から名付けられた。プティ ルージュをメインに、コルナリンとマイオレをブレンドしたワイン。ローマから持ち込まれた品種と地元の野生種が交配して生まれたと考えられているプティ ルージュをメインにコルナリンとマイオレをブレンドしたワイン。ステンレスタンクにて醗酵と熟成を行う。

ロゴデザインは、「黄金比、調和」を意味し、物事の均衡がとれた状態をイメージしている。

区画:「MONOT(モノ)」
4つのブドウ園の中では最も南で、ピエモンテとの州境に位置する(山を越えるとカレーマ)、ポン サン マルタンの畑。標高360~435mほど、0.55ヘクタールの畑でピコテンデロ(ネッビオーロ)を中心に黒ブドウのみを栽培。

●BOS(ボス)
品種:ピコテンデロ(ネッビオーロ)、ネレイ、ネール ダラ

ボスは、ポン サン マルタンに古くから存在する、非常にポピュラーな名字からとられた。ピコテンデロ(ネッビオーロ)を主体にネレイとネール ダラをブレンドしたワイン。約1か月のマセレーションとアルコール醗酵、圧搾後樽で1年熟成させ、その後ステンレスタンクで1年熟成させボトリング。

ロゴデザインは、「月、太陽、点」を意味し、黒い色でワイン造りのミステリアスな部分を表現している。

区画:「CLOUEO(クリウ)」
モンブランの麓モルジェの彼らの最も標高が高い畑(1050m)。0.08ヘクタールの畑でプリエブランのみを栽培。クリウはヴァッレ ダオスタの方言で、フランス語のClos(クロ)にあたる言葉。“閉じた”という意味が転じて、“石壁に囲まれた区画”を指す。降雪に耐えられるよう、非常に低い棚仕立てとなっており、棚を支える支柱には石柱が使われている。

●VIF(ヴィフ)
品種:プリエ ブラン

ヴィフは、今現在アンドレアが栽培を手掛ける区画の石柱に刻まれている、そこにその石柱を設置したとおぼしき人物のイニシャルVFから名付けられた。プリエ ブランを収穫、5日間のマセレーションとアルコール醗酵、圧搾後ステンレスタンクにて醗酵の続きと熟成を行う。

ロゴデザインは、「山」を意味しており、標高の高いモルジェの畑、そしてそれを見下ろすモンブランへのリスペクトから。

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