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2021-11-01

ヴィナイオータ かわら版 ~小沼編 その三~

いつもヴィナイオータのワインをご愛飲いただき、誠にありがとうございます。

私が前回担当したバレーボール熱血かわら版( https://vinaiota.com/news/5555 )の頃も、すでにコロナ禍でしたから、あれからすでに一年以上が経過してしまいました。。。(←内容はFonterenza / Pettirossoです)

当時は、夏のころには収束となるだろうか・・・などと安易に考えていた世間も、一年先送りした東京オリンピックを開催するか否かで賛否両論が飛び交っていましたし、ワクチンを接種するか否かや、飲食業界では酒類提供をするか否か・・・など、世界的にこんなに大きな揉め事となってしまっていて、あらゆるメディアの情報も、政治関係者の会見や決まり事も、誰の何を信じてどれを選択してよいのかなどと毎日考えて生活していると、ふと子供のころの埋もれていた記憶が断片的に蘇ってきました。

小学生のころ、読書感想文がすこぶる苦手だった私は、課題図書すら決まらずに祖父母の部屋でゴロゴロして悩んでいたところ、姉がいくつかの短編小説を貸してくれて、でもその小説の内容は、ところどころは覚えているのですが、題名が出てこない。。。あの話は何だっけなぁ・・・芥川龍之介の羅生門・・・じゃないし・・・と。どうしても思い出したくてネットで検索してみたら、案外すぐにでてきました(笑)!!! それは、フランツ・カフカの「掟の門」という本。なぜか今頃になって記憶が掘り起こされてきて、「はんぶん不思議」です。(←私が初めて買った8cmのシングルCDです((笑))なんのこっちゃ!)

この本の内容は、読み手の感受性や解釈に大半を委ねられているかと思うのですが、近頃の世の中の状況や、身の回りの出来事にリンクする部分が多いような気がして、知らず知らずのうちに少しずつ記憶を呼び起こしていたのかもしれません・・・。結局最後の判断は自分次第。他人ではなく、自分の判断と行動に委ねられているものだな・・・と。

そんな物思いにふけりながら飲んでいたのは、悪魔みたいな不気味なエチケットが印象的な半人半獣のアイツです!

サティリコン2016年(Luigi Tecce)

イタリア南部沿岸部に位置するカンパーニア州ですが、イルピニア地方は内陸部にあるタウラージというエリアで造られるこのワイン。ここは代表のオータが2008年秋に初訪問して以来、3つの造り手が軒を連ねており、伝統と素朴さのイル カンチェッリエーレ、醸造学的野心家でインスタ更新頻度が半端ないカンティーナ ジャルディーノ、そしてそして、ワインの中にアーティスティックな個性をひと際解き放つ完全主義者は、今回ご紹介するルイージ テッチェです。

このルイージ テッチェといえば、樹齢80年余りのアリアーニコ種で造る贅沢な味わい深さと余韻に圧倒される、トレ ビッキエーリを獲得している「タウラージ ポリフェーモ」を造ることで知られていますが、(初めましての方は、以前に別スタッフがご紹介した記事がございますのでそちらをぜひぜひご覧ください→( https://vinaiota.com/blog/4415 )今回飲んでもらいたいワインはそのセカンドラインである「サティリコン」です。

まず、エチケットの真ん中で不気味に笑うアイツは一体何者なのか!?それは、ギリシャ神話に登場するキャラクターで、酒と女性、歌や踊りも大好きで享楽的、上半身は人間で下半身が山羊の容姿を持ち・・・そして、いろんな意味でヤバい(汗!!)「サテュロス」という精霊がモチーフとなっております。わたくしのような、坂道系女子にはちょっと手に取り難いかもしれませんが・・・ぜひとも越えていってほしいところです!!!(←とりあえず言わせておいてください)

ポリフェーモのブドウ樹から比べると、樹齢10年程の若木の葡萄から造られるこのワインですが、ブドウは全て手摘みで収穫。ステンレスタンクで20日間のマセレーションの後、500リットルの大樽で12ヶ月間の熟成。すでに重厚感のある香りが漂い、アタックから「おぉっ!!」と驚き、若さと力強く躍動する鼓動が聞こえてくるようなアリアーニコが感じられます。

グラス一杯を飲み干せば「ごめん、もう一杯いい?」と、ついついおかわりしたくなり、しっかりとした果実感とタンニンのスパイラルが、いつの間にか話も弾んで時間を忘れてしまうような雰囲気。抜栓してから飲み干してしまうのが勿体なくて、セラーで保管しながら2週間ほどかけてゆっくりじっくりと味わっても、豆感も感じさせず、こいつはなかなかやりおる・・・!!

アルコール度数14.5%で、しっかりとした飲み心地なのに野暮ったさを感じさせない。。まさにアーティスティックです!そうこうしている間に、肉や癖のあるチーズも欲しくなり、ヴィアザビオさん( http://www.vtb.co.jp/index.html )の、栗の葉で包み24ヶ月熟成されたナチュラルハードチーズ「クージィエ フォーリエ ディ カスターニョ」なんかと合わせると、もう最っ高に美味しくて、それはもう止まらなくなります!!まるで、サテュロスが誘うかのような中毒性にご注意ください。

<<小沼の飲んでもらいたいワイン紹介>>
銘柄:サティリコン2016
造り手:ルイージ テッチェ
地域:伊 カンパーニア州
ブドウ品種:アリアーニコ
希望小売価格:4,000円 (税別)

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