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2021-12-24

【新入荷】2021年10月その3(La Gazzella,Canonica,Cappellano,Francesco Brezza,Daniele Portinari)

エツィオ ヴォイヤットという名の造り手をご存じの方はいらっしゃるでしょうか?オータにとっては、マルコ デ バルトリ、リーノ マーガ(バルバカルロ)、ジュゼッペ クインタレッリやジャンフランコ ソルデーラなどと並び立つ、イタリアワイン史を語る上で欠かすことができない伝説的な人物の1人。ヴァッレ ダオスタ州のシャンバーヴという土地で、モスカートの辛口とパッシート、そして土着品種であるプティルージュ、ヴィアン デ ヌスとドルチェットを混醸した赤の、3種類のワインを生産していた造り手で、商業主義に傾く原産地呼称委員会に異を唱えて早々に脱退、DOCを名乗らずにすべてのワインをリリースすることにした気骨の人…というのが、本メルマガを書くまでオータがこの造り手について知っていたことと言えるかもしれません。

彼に関するインフォメーションはそんなものでしたが、エモーション(感動)は彼の醸したワインからは何度もいただいてきました!!

そのアロマから、とかく女性的な印象になることが多い辛口のモスカートに、初めて男性性のようなものを見出したのは彼のワイン(ラ ガッゼッラ)ですし、濃密なわけではないのにミステリアスな深みのある赤ワイン(ロッソ レ ムラーリエ)、そしてイタリア甘口ワイン界の南の大横綱のブックラム(デ バルトリ)に対する北の大横綱的存在のアンブラート レ ムラーリエ(アンブラートを名乗る前は、パッシート ディ シャンバーヴという名前でした)…。

とある年のオータの誕生日に開けた生まれ年のパッシートが???過ぎる味わいで、グラス1杯程度しか飲まずに放置し、翌年の誕生日にそんなボトルがあったことを思い出し飲んでみたら、あまりの美味しさに気絶しそうになったってこともあったっけ…。

で、逆に本メルマガを書くに際して集めた情報で面白いところを列挙しますと…

・彼らのワイナリーがあるシャンバーヴには2000年以上のブドウ栽培の歴史がある
・ヴォイヤット家は、1800年代から今の場所でブドウ栽培&ワイン醸造を行ってきた
・エツィオは近くにあるカジノでディーラーとして働くことで生計を立てていた!
・そのディーラーの仕事がない時、ないしカジノから帰ってきたと思ったら、すぐに畑かセラーへと何かしらの仕事をしに…
・彼らの畑は、基本プレフィロキセラのもので全て自根!
・マリレーナ曰く、エツィオとエツィオのお父さんは、モスカートのマッサルセレクションに憑りつかれているような人で、皮の厚いブドウを生らす樹から選抜した枝を、幹に活力のなくなった樹に接ぎ木をしていた
・彼らのパッシートはヨーロッパの様々な国の王室御用達のワインだった!!
・DOCから離れる決定打になったのは、伝統的にはブドウを栽培してこなかった場所にも“原産地呼称”を認めようとした動きに反抗するためのものだった
・どのワインよりも、その土地が持つ個性を体現しているにも関わらず、その土地の名前を名乗れないことには残念な気持ちにもなるが、歴史や伝統に敬意のないDOCに戻ることはない

めっちゃくちゃカッコ良くないですか???

10年以上前にジャンピエロ ベアを介して、当時オリンピック関係の仕事をしていたエツィオの娘マリレーナ(元陸上選手で、イタリア代表にも選ばれたほどの成績を残していたそう!)に会ったことはあったのですが、その時はワイナリーを復活させたいという意思はあったものの、具体的にいつごろという話はなく…。とはいえ、醸造やボトリングの許可は失効してしまったけど、畑だけは維持し続けている事だけは確認できたので、とりあえず再開を楽しみにしていると伝え、ご縁があったらよろしくね!くらいのことは言った気がするのですが、本当に縁が巡ってきました!

完全復活(自家醸造自家元詰)前の数年間は、様々な造り手に委託醸造を依頼していたのですが、定年となった2019年から自家醸造を再開することに。父エツィオが造ってきたようなワインを造るのかと思いきや、リリースされたのはシャルマー方式で造るロゼ スプマンテでした(笑)。自社畑に植わるすべてのブドウ(モスカート80%、フミン10%、プティルージュ8%、ヴィアン デ ヌス2%)を徐梗してプレスし、数時間のマセレーションの後に圧搾、醗酵槽へと移され醗酵、翌年9月まで澱と触れ合った状態で熟成させたのちにボトリングしたワインです。今春送られてきたサンプルを試飲した時よりは落ち着いてきていて、十分すぎるくらい美味しいのですが、まだ酵母の風味の後ろにモスカートがかくれんぼしているような状態です(還元はしてません!)。数か月後には、よりシリアスなワインになるのではないでしょうか。

ワイナリー名もエツィオ ヴォイヤットからラ ガッゼッラへと一新。先ほどチョロっと書いたのですが、ラ ガッゼッラはもともとエツィオが辛口のモスカートにつけた名前。ガッゼッラは動物のガゼルを指し、それはマリレーナの陸上選手時代の彼女の異名だったのだそう。辛口モスカートを愛してやまなかったエツィオが、愛娘の愛称を自らのお気に入りのワインの名前とし、後年にその愛娘がワイナリーの名前にするという…ステキな話ですよね!

今後は、段階的にかつて造っていたワインを復活させるとの事。パッシートが楽しみでしかたないオータです!マリレーナに「パッシートを造っちゃおう!」と覚悟決めさせるためにも、今回入荷のブリュット ロゼ2019年をどうかよろしくお願いします!!

カッペッラーノ、アッコマッソ、バルトロ マスカレッロに今回入荷のカノーニカ…日本に正規輸入品として入ってくるクラシック バローロが、中国、台湾、韓国などの近隣諸国のマーケットに流れていっているようです。造り手と直接取引する我々正規インポーターが設定する価格は、当然のことながら市場取引価格から算定されたものではなく、蔵出し価格に一定の割合の利益を乗っけることで設定されているのですが、引き合いの強い造り手のバローロの世界的な取引価格は、リリース直後から大変なことに…。ワインサーチャーという検索サイトがあるのですが、そこにバルトロのバローロ2016年で検索をかけてみると、最安値でも5万円オーバー…。たったの数か月で、弊社が設定する希望小売価格(上代)の2.5倍以上に…。

先日ネットニュースで目にしたのですが、長年“世界一高いワイン”という称号を堅持してきたロマネ コンティが首位陥落、ルロアのミュジニーが首位に躍り出たとの事。年間生産本数が5-6000本あるロマネ コンティに対して、ルロアのミュジニーは600-900本程度らしく、その記事によると、アジアの愛好家が“よりレアなワイン”に飛びつくことで高騰が進んだそう…。

ワインを愛する人が増えること自体は、オータ的にも非常に光栄なことなのですが、争奪戦が起こることで、ワインが非現実的な価格になってしまうことや、造り手が手にするのを遥かに凌駕する利潤を中間業者が得られてしまう(かもしれない)システムの荒波にオータが愛するワインたちが飲み込まれるのをただ座視するのは心情的に難しく…。

もちろん、手っ取り早く売れた方が商売的には助かるわけですが、造り手から直接ワインを託されている、言うなればその造り手にとっての“日本駐在大使”としての正規インポーターが心掛けるべきことは自明なはず。別に、「海外に1本たりとも流出させたくない!」とウルトラ保守的な態度を取っているわけではなく、心ある造り手のワインを転売(←これが価格高騰の主因なのでは?)の渦からできるだけ離れた場所に置くことで、行き過ぎた価格高騰に少しでも歯止めがかかるのではないかとオータは考えていたりします。

我々が大好きなワインを、今後も気兼ねなく楽しんでいけるような社会にするためにも、市場を守る努力もしていきたいものです。

というわけで、カノーニカのワインです!

今回入荷したのは、ネッビオーロ2019年バローロ グリンツァーネ カヴール2017年バローロ パイアガッロ2017年が届いています。

取り急ぎパイアガッロ2017年だけ試飲したのですが、もうサイコ~~~~です。ボリューミー(アルコール度数的にも15%強!)なのに、ひたすら軽い飲み心地…2015年、2016年も親しみやすかったですが、到着直後の状態で比較するなら、2017年は頭一つ抜けているかもしれません。

少量入荷のネッビオーロとグリンツァーネは限定とさせていただきます。

毎年生産量の約1/3にあたる本数(つまり、日本が世界のどこよりも彼のワインを入手しやすい環境ということに…)を分けてもらっているパイアガッロも、2~3か月で終売することが予想されます!

カッペッラーノといえば、バローロだけじゃなくキナートもあります!2014年ヴィンテージのバローロで仕込んだ500ml入りボトルが完売間近になりましたので、2015年(L.LK119)をリリースします!炭酸で割って食前酒として楽しむのも良し、オンザロックで飲んでも最高です!

ブレッツァのハイパーコスパルスティックワイン、10リットルのバッグインボックス2018年が終売しましたので、2019年ヴィンテージの5リットル瓶と10リットルバッグインボックスをリリースします!ブサかわいい(笑)5リットル瓶、何気に人気商品だったりします。120本のみの入荷ですので、お買い逃しなきよう!

清らかなバルベーラ19、グリニョリーノ19、フレイザ18もよろしくお願いします!

ラベルが少々オシャレになりましたが、相変わらず売れ行きはとても地味…でもワインはとっても滋味深いダニエーレ ポルティナーリガルガーネガ2018年が終売間近なので、2019年をリリースします!弟分のピエトロビアンコも少々開いてきたような…。他のワイン共々よろしくお願いします!

*ブログ掲載時には完売しているワイン、商品がございます。予めご了承ください。

文:太田久人

299 nuovo21.10.15

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