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2023-03-30

ヴィナイオータかわら版~佐藤編 その七~

いつもお世話になっております。つくば本社の佐藤です。

みなさまご存じの通り、現在弊社の一大イベント『ヴィナイオッティマーナ』の真っ只中。この文章を書いているのは、ピリオド6の造り手一行が大洗月の井酒造さんの見学を終えて東京入り、明後日にはイタリアへの帰路に就くというタイミングです。このメルマガが配信されるのは、シーズン2が終わってシーズン3がスタートするまでのつかの間(9日間!)のインターバル中でしょうか。

ひとつのピリオドが終わって造り手が帰国すると、同日にまた次のピリオドの造り手が来日するという、シーズン中はまさに息つく暇もないスケジュールでして、心も体もバタバタとしておりますが、こうして大好きな造り手たちと同じ空間で、同じワインを飲み、一緒に食事をし、目を合わせて話ができること、本当に幸せな時間です。11月末からスタートしたヴィナイオッティマーナも、あとシーズン3(ピリオド7&8)を残すのみ。後悔の無いよう造り手たちとの時間を大切にしていきたいと思います。

このタイミングで私がみなさまにご紹介したいのは、現在まさにピリオド6で当主の一人息子エウジェーニオが来日中のニコリーニから、赤の伝統品種で造るピッコラ ネーラ2017です。

ニコリーニは、トリエステの東のムッジャというイタリアの一番端っこ、スロヴェニアとの国境の港町にある家族経営の小さなワイナリーで、当主のジョルジョ、奥様のロッサーナ、息子エウジェーニオの3人で、2ヘクタールの畑から年間約1万本をボトリングしています。

2017年に一度、太田と一緒に訪問させてもらいましたが、港町の急な坂道を上がった閑静な高台の住宅地にひっそりと佇むニコリーニのセラーは、とてもコンパクトでミニマル。

(そんなセラーや、海も見渡せる自宅の隣にあるブドウ畑など、当時の訪問記に写真も色々載せておりますので、是非ご覧になっていただけたら嬉しいです。)

●2017年訪問記:https://vinaiota.com/nicolini/3991

訪問記にも書きましたが、2017年8月の訪問当時、エウジェーニオがもらい事故にあい肩に大きな怪我をしてしまったため、2017年11月のオッティマーナへの参加を断念。私もやっと今回初めてエウジェーニオに会うことが出来ました。

彼に会って最初に思ったのは、「でっかい!!」笑。身長192cmでがっしりした体格はまるでスポーツ選手のよう。ぱっと見近寄りがたい??と思ってしまいそうですが、いやいや、話してみるとキュートな笑顔のナイスガイ。オッティマーナ当日朝の準備でワイン箱を運んでいると、「俺も手伝おうか?」と声を掛けてくれるジェントルマンでした。そりゃそうですよね、お父さんのジョルジョもお母さんのロッサーナも、本当に優しくて可愛いステキな人たちだったもの。

彼ら家族が大切に育てたブドウがワインになり、それが遠く離れた日本の私たちの元へ届き、ワインを通して彼らの想いを感じることができる。

今回オッティマーナに参加してくれた方々には、きっと「こういう人たちだからこんなワインが出来るんだ」というのを実感してもらえたのではないでしょうか。もちろん、直接には会えていない多くの方々にも、ニコリーニのワインを飲んで、その液体から彼らの誠実で実直なワインへの想いを感じていただけると信じています。

ニコリーニの畑は、イストリア半島のほとんどの地域と同じく、貝殻などの海洋堆積物が豊富な肥沃な粘土質と砂岩が混じった土壌。この地域の気候や土地をより表現できるのは伝統的な土着品種であるという考えから、今では殆ど栽培されていないような品種:モスカート ジャッロ イストリアーノやボルゴーニャ ネーラ等を絶やさないよう、株分けをしながら育てています。

今回ご紹介するピッコラ ネーラもそんな絶滅危惧伝統品種ひとつ。「ピッコラ=小さな ネーラ=黒」という名前の通り、小さな粒で、果皮の色も薄く、タンニンも少ないブドウから造られるこのワインは、グラスに注ぐと、赤というよりはロゼワインのよう。

味わいは繊細ですが、控えめな酸と充実した果実感、しっかりとした余韻もあり、いろんな食事に寄り添ってくれるワインです。これから春になる季節、まさにお花見などのお供にもぴったり!

※ひとつ前のピッコラ ネーラ2016年は、ブドウ収量が多かったことでいつもの樽ではなくレフォスコに使っている樽で熟成させたため、結果として色調の濃いピッコラ ネーラが出来上がったのですが、2017年はピッコラネーラ然とした=ロゼのように飲んで頂けるいつものピッコラネーラです笑

今までのこのワインの動きを見ても、きっと飲んだことのない方が大半なのではと思います。ニコリーニの白はようやく認知されてきたような感じがありますが、彼らの想いを知って頂くためには赤も是非飲んでいただきたいのです。

しっとりとした赤が似合う寒い冬の終わりが近づき、少しずつ太陽の光が増し蕾も膨らむ春へと移ろいゆくこの季節にぴったりな桜色のピッコラ ネーラ。是非一度、飲んでみてください。

 

≪佐藤の飲んでもらいたいワイン紹介≫
銘柄:Piccola Nera 2017 / ピッコラ ネーラ 2017
造り手:Nicolini / ニコリーニ
地域:伊 フリウリ ヴェネツィア ジューリア州
ブドウ:ピッコラ ネーラ
希望小売価格(税抜) : 4,300円

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