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2018-06-07

ヴィナイオータかわら版 ~ 佐藤編 ~

スタッフの “ 飲んでもらいたい ” ワイン紹介!!
佐藤(本社勤務)編

AR.PE.PE. (アールぺーぺ)のワイン!!

画像左から
1)Rosso di Valtellina 2014(ロッソ ディ ヴァルテッリーナ)
2)Grumello Rocca De Piro 2011(グルメッロ ロッカ デ ピーロ)
3)Grumello Buon Consiglio 2007(グルメッロ ブオン コンシーリオ)
4)Sassella Stella Retica 2011(サッセッラ ステッラ レティカ)
5)Sassella Rocce Rosse 2005 (サッセッラ ロッチェ ロッセ)
6)Sassella Vigna Regina 2007(サッセッラ ヴィーニャ レジーナ)
7)Sassella Ultimi Raggi 2007(サッセッラ ウルティミ ラッジ)

ヴィナイオータ本社勤務の佐藤です。
基本的には事務所での受注業務を行っておりますので、お電話でお話しさせて頂いた方も多いかと思います。2014年1月入社、今年で5年目になります。

先日、うちの岸本と一緒にイベントに出展した際、岸本が「僕の次に社歴が古い」と皆様に紹介してくれるので、「でもここには10年の差がありますけどね!」と添えると、「俺が年寄りみたいじゃないか!」と抗議されました(笑)。
10年の差を埋めるべく日々精進しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

AR.PE.PE.について

2014年11月のヴィナイオッティマーナ緑で初来日。その後2016年2月には単独での日本縦断ツアー、昨年のヴィナイオッティマーナでも3回目の来日を果たしてくれたアールペーペ。
当主イザベッラは「エレガントな女性醸造家ナンバーワン(弊社調べ)」と岸本が断言する通り、本当に品があり、誰にでも親切丁寧。しかもおちゃめで可愛らしい女性。

2014年のオッティマーナ緑は私にとっても初めての大きなイベントで、右も左も分からない中、アールペーペブースの注ぎ手をさせてもらったのが彼らとの最初の出会いでした。
初めての来日で旅疲れもあったでしょうに、常に笑顔でお客様全員に真摯に丁寧に説明するイザベッラの姿、それを陰でサポートする建築家のご主人エンリコ。
初めて会った私にも友達の様に接してくれる2人に、私はすっかり魅了されてしまいました。

もちろんワインも素晴らしいのです。アイテム数の多さから、なんとなく難しい(?)印象を持たれがちですが、まずは難しく考えず、自分の気になったものを飲んでみて欲しいです。

彼らは明確な意図と厳しい判断基準によって、生産するワインを毎年決めています。
例えば、彼らが最も畑面積を所有しているサッセッラ地区からは、ブドウに長期熟成に耐え得るポテンシャルが無いと判断した年にはステッラ レティカのみを生産、ブドウが長期熟成に耐え得る品質であると判断できた場合には、ステッラ レティカは造らず、リゼルヴァクラスのロッチェ ロッセとヴィーニャ レジーナを、更に、ブドウの品質のみならず、完熟後の気候条件にも恵まれた年にはウルティミ ラッジを生産しています。

こう書くと、なんとなく難しい感じがしてしまいますが、要は、毎年同じワインを造るのではなく、ブドウと対話し、その年々のブドウの個性や気候条件に応じて造るワインを変えているので、これだけのアイテム数になるのです。

現在弊社でオンリストしてる彼らのワイン9アイテムの中で、サッセッラとグルメッロの畑の6アイテムと、気候条件に恵まれなかった2014年に全ての区画の最良のブドウだけを集めて造ったロッソ ディ ヴァルテッリーナを合わせた7アイテムを、今回の「飲んでもらいたいワイン」にしました。

まだアールペーペのワインをよく御存じで無い方も、既にその魅力に気づいて頂いている方も、幅広く試してみるも良し、固め打ちで行くのも良し、是非『ヴァルテッリーナの良心』と言われる彼らのワインを飲んでみてください!!

ちなみに、どうして彼らが『ヴァルテッリーナの良心』と言われるのか?
彼らの畑は、アルプスの麓の急斜面にあり、山の形に添った小さな段々畑になっています。段々畑と言っても日本のそれとは全く違い、まさに断崖絶壁に無理やり作ったかの様な畑。

当然トラクターなど入れるわけもなく、全てが手作業。一般的なちょっと作業効率の悪い畑で1haあたり400~500時間の作業時間を要するのに対し、彼らの畑は1haあたり1500時間が必要となります。つまり3倍以上の労力/人件費を必要とするのです。

そんな中でも彼らは除草剤の使用をやめ、草刈りは全て手作業。病害虫に対する農薬は使用しているので有機栽培と呼べる状況でありませんが、その農薬も少なくしていくにはどうしたら良いかを常に模索しています。

実際、夜に出てきて芽を食べてしまうというイモ虫の対策で、犬用のエリザベスカラーの様なプラスチックのシートをブドウ樹1本1本に手作業で付けていたり。彼らの畑での労力を考えると、本当に頭の下がる思いがします。

写真を見て頂けるとお分かりになると思うのですが、ブドウは斜面に対して横(水平)ではなく縦(直角)に植えられています。縦の方が作業効率が断然悪くなるのですが、太陽がまんべんなく当たるようにとのこと。7~8月は太陽光が直接ブドウに当たらないように葉を茂らせ、9月には房の周りの葉を取ってブドウに太陽を当てるようにします。

13haある畑での作業は、8人のフィックスの労働者(+エマヌエーレ)が春から収穫までまさに駆け足で仕事してギリギリなのだそう。

そして、段々畑を支えている石垣、50kmの畑の中に2500km分の石垣があり、毎年どこかしらが崩れたり壊れたりするらしく、その修繕費だけでも毎年数百万円かかるとか。。

畑での気の遠くなるような重労働、そしてセラーでもリゼルヴァクラスに至っては約10年後にリリースさせるなど、効率や費用対効果という言葉とは真逆の道を進むアールペーペ。

強い信念、伝統文化に対する誇り、それを守るための覚悟、愛情、情熱から生み出される彼らのワイン。価格だけを見ると、うちのラインナップの中でも決して安くはありません。でも、上記のことを考えたら、「良心的」としか言いようがないのです。

彼らのウェブサイトに沢山の写真もありますので、是非ご覧になってみてください!!

https://www.arpepe.com/about-us/innovation-and-sustainability
↑ ブドウ収穫用のリュックを背負って畑を上り下りしたり、石垣修復や、イモ虫対策のエリザベスカラー(?)の写真も!

https://www.arpepe.com/about-us/the-land
↑ 畑や周囲の景観、ロッチェロッセと言われる赤い岩など。

<<佐藤の飲んでもらいたいワイン>>
AR.PE.PE.のワイン
ミラノの北西部、ロンバルディア州のスイスとの国境近くに位置するヴァルテッリーナ渓谷で、1860年以前から5世代に渡ってブドウ栽培とワイン生産を行ってきたペリッツァーティ家。一度はワイナリーを売却するも、失われゆくヴァルテッリーナのワインの伝統を憂い、1984年にAR.PE.PE.(自身の名前Arturoと、父母の苗字、Pelizzati、Peregoの略)を設立。現在はアルトゥーロの子であるイザベッラとエマヌエーレによって、13haの畑でネッビオーロ(キアヴェンナスカ)のみを栽培、年間約5万本を生産している。

1)ロッソ ディ ヴァルテッリーナ2014 希望小売価格 3,300円
イタリア本土ほぼ全域に渡って太陽に恵まれず雨の多かった2014年。本来このワインは、彼らの畑の中でも標高の低い区画のブドウを使って作られるのですが、2014年は全ての区画の最良のブドウだけをセラーに持ち込み、ロッソ ディ ヴァルテッリーナ1種類のみを生産することに。

通常であれば、短い醸し期間でソフトな抽出を心掛けているワインですが、2014年のブドウはあまりにも酒躯に欠けると判断し、2ヶ月以上のマセレーションを行う。結果、香りと味わいでギャップのあるユニークな出来上がりました。タニックかつ果実味が豊富で、ザクザクいけるワインです!

2)グルメッロ ロッカ デ ピーロ2011 希望小売価格 4,500円
グルメッロ地区はヴァルテッリーナのソットゾーナ(サブゾーン、クリュの大きい版!?)の1つ。14世紀にデ ピーロ家が所有していたグルメッロ城がその名前の由来となります。サッセッラ地区よりも全体的にソフトな印象のあるワインができ、長期熟成のポテンシャルは無いと判断した時に造られるのがこのワイン。

2011年は木製の開放醗酵槽で8日間のマセレーション、大樽にて2年熟成、瓶内でも2年熟成させた後にリリース。ソフトなタンニンと果実味があり、早い段階から楽しむこともできるし、もちろんセラーで熟成させても。アールぺーぺのワイナリーは、ロッカ デ ピーロの麓の岩盤を掘って作られました。

3)グルメッロ ブオン コンシーリオ2007 希望小売価格 7,200円
グルメッロ地区で、これは!という最良の年にのみ造られるワイン。43日間に及ぶ長いマセレーション、4年の大樽熟成、更に4年の瓶内熟成の後にリリース。しっかりと熟成しつつも爽やかな香りとフレッシュさもあり、ソフトな味わいです。

4)サッセッラ ステッラ レティカ2011 希望小売価格 4,500円
アールペーペ的に最も畑面積を所有(8ha)しているサッセッラ地区で、ブドウが長期熟成に耐え得るポテンシャルは無く、上級ワインを造るべきではないと判断した年に造られるワイン。

6日間のマセレーション、2年間の大樽及びセメントタンクでの熟成後ボトリング、その後1年以上寝かせてからリリース。彼らのワインの中でもミネラル感と軽やかさが印象的で、ラベルにあるエーデルワイスの花の様に透明感のある涼しげな1本です。

5)サッセッラ ロッチェ ロッセ2005 希望小売価格 7,200円
熟成に耐え得る酒躯を持ち得ると判断した年にのみ造られるリゼルヴァ。標高400~550m、写真で見ると「AR.PE.PE」のサインの上にある4haがロッチェロッセの畑。レジーナよりも段々が大きく土が多いが、鉄分を多く含む石が多く、ワインの味わいもより男性的。(鉄分を豊富に含んだ石が赤くなることからロッチェロッセ:【赤い石】と呼ばれる。)

2005年は35日間のマセレーション、4年間の大樽熟成、更に4年間の瓶内熟成の後にリリース。澄んだ酸と果実味の中に鉱物的なニュアンスもあり、深みのあるワインです。

6)サッセッラ ヴィーニャ レジーナ2007 希望小売価格8,000円
レジーナ(王女)の名の通り、女性的でフィネスのあるワイン。ロッチェロッセの西隣、標高450~550m、南東向きの1haの畑は小さな段々が多く、土が少なく岩が多い。樹齢の古いブドウが多く残っており、より深みのあるワインを生み出す。

45日間に及ぶマセレーション、4年間の大樽熟成、更に4年間の瓶内熟成の後にリリース。しっかりとした熟成感の中にもフレッシュな果実味と清涼感が残り、どこまでも伸びていくような余韻があります。

7)サッセッラ ウルティミ ラッジ2007 希望小売価格8,000円
サッセッラの最上部、標高600mの畑で、ブドウの品質のみならず完熟後の気候条件にも恵まれた年に、樹上で追熟させ遅摘みしたブドウで造られるワイン。他のブドウは平均で10月中旬に収穫するのに対し、このワインのブドウは11月中旬~下旬に収穫される。この時期の昼と夜の寒暖差がブドウの皮に力を与え、風の中でゆっくりと乾燥したブドウは糖分を濃縮させる。10日間のマセレーション、4年間の大樽熟成、更に4年間の瓶内熟成の後にリリース。

超完熟した果実味とバランスのとれた酸、しっかりと熟成させた滑らかな質感。香りからは甘さを感じますが、飲むとドライでフレッシュささえ感じるワインです。

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