【新入荷】2011年8月その2 (Panevino、Il Buonvicino、Alberto Anguissola、La Biancara、Davide Spillare)
以前は、その季節ごとにカリカリ梅やブルベリーのジャムを作ったりと、いろいろ仕込む料理をやっていたのですが、ここ最近はといえば…時間がない!!!
草刈も煙突掃除も薪の工面もなんにもままならないまま秋を迎えてしまいそうで戦々恐々としているオータでした…。
というわけで、新しいワインのご案内です!!!
ようやく入ってきました、“隣のおばちゃん”こと、イル ブオンヴィチーノ!!
2008、2009年と様々なプライベートな問題が重なって、全く醸造を行わなかったのですが、2010年は2人の息子と、彼女の新しいパートナーが栽培と醸造を手伝ってくれるようになり、再スタートを切る事ができました。
醸造に関しては元カレの某教授の教えを守り、ソフトなピジャージュによるゆっくりとした醗酵を行い、その結果ワインはやはりどことなく教授のワインに似ていて…。今回はブラケットで造るアキッレとドルチェットで造るアウグストが入荷しました(バルベーラは樽熟成中で、モスカートは生産しませんでした)。
どちらのワインもアルコール度数もしっかりあり(表示は14%となっていますが15%近くあります)、安定していると判断したため、酸化防止剤も完全無添加でボトリングされました。
アルベルト アングイッソラからはリーヴァ デル チリエージョ2003とカゼ2009が届きました。
2006年ヴィンテージまでは、ただでさえブドウに圧倒的なヴォリュームがあるのに長期間のマセレーションを行っていたせいか、恐ろしくタニックで開くのに時間のかかるワインとなってしまっていました。それが丸くなるのを待っていたら、リリースできるようになるまでに途方もない時間がかかることが分かり(2004年が2009年にリリース、2002は2010年に、2005,2006は未リリース)、無収入の期間がこれ以上続くと危険だと考えたアルベルトは短期間での現金収入を得るべく、2007-8ヴィンテージを、地元消費を見込んでフリッザンテに仕込みました(ちなみに彼はスプレーを製造する会社のサラリーマンでもあります)。
2009年はそれまでの反省を踏まえ、早い段階からも飲み心地があるワインを目指し醸造を行いました。それまでのワインも十分すぎるほど面白いワインでしたが、2009年以降の彼のワインの成長ぶりには驚いていただけると思います。リーヴァ デル チリエージョ2009は、カゼと比べると閉じ気味だということもあり、リリースはもうしばらく先になりそうです。暑い年だった2003ヴィンテージもようやく柔らかくなってきました。
そして!切らしておりましたラ ビアンカーラのイ マシエリ2010(750ml)が再入荷しました。今回は100ケースのみの入荷ですが、1ヵ月後には再び100ケース入ってきますので、当分欠品することはないと思われます(恐らく…)。
アンジョリーノのお弟子さん、ダヴィデ スピッラレの赤、ロッソ ジャローニも少量ですが入荷してきました。一瞬でなくなってしまうと予想されますのでご注意くださいね。
そして…インポーターを泣かせる技の引き出しの多さには毎回驚かされる、パーネヴィーノからもワインが届きました。毎年ワインの名前を変え、ラベルのデザインも変わる彼のワイン、2009年はというと…名前がないんです…。同じデザインのラベルで6種類のワインが…。詳しくはジャンフランコ マンカの娘、小学生のキッカちゃんからの手紙をご覧ください…。
Is de fundu’e muru“入って奥の方の壁際(の樽)”には、ある日曜日の午前中にわたしのパパとママが家の前と道向かいの畑で収穫したカンノナウから造ったワインが入ってるの。わたしのパパとママはとても心配そうだったわ。なぜかって雹が降ってほっとんどのブドウが駄目になって、房っていうよりは粒っていう感じでしか残ってなかったから。(収穫した)ブドウを潰している時、2人とも凄い怒っているみたいだったの。だってブドウをこれでもかって感じで、粉々にするような勢いで潰してたんですもの。結局何を言ってるのか良くわかんなかったんだけど、わたしのパパは、自然や(自然が引き起こす)様々なイベント(イベントってわたし、コンサートとかのことを指すって今まで信じてたわ!!)がわたし達に提案(?)してくる事の中には、時々説明のつかないような変なことが起こるんだって言ってたわ。 次の日はセラーで仕事しなきゃいけないからって、収穫には出かけなかったんだけど、火曜日は雹の被害を受けなかったカンノナウを収穫して、わたし達が桶の中に入って、足でブドウを潰したの。それにしてもわたしのパパったら日曜日とは全然逆で、“こんなに美しいブドウを残してくれて、神様ありがとう!”みたいな感じで本当に愛おしそうにブドウを扱ってたわ。その日収穫したブドウは全部、ひとつのステンレスタンクでゆっくりと醗酵させて数週間後、下の栓を開けただけで出てきた液体をIs de mesu“熟成庫の真ん中”にあった樽に移してたっけ。
トルキオ(垂直圧搾機)で絞ってでてきたのは、混ぜずに別に取って置いてて、それをとっても困っているパパの大切なガールフレンドにプレゼントするんだってパパが言うもんだから、わたしとママは唖然として見つめ合っちゃったわよ。もしかしたらママはなんか他のこと思ったかもしれないけど…。そしたら次の日、パパの言ってたガールフレンドが誰だか分かったの!とある区画の畑(イタリア語でVigna、女性名詞なので彼女…)のことで、そこも雹の被害がひどくて、ほんとうならブドウの皮の中にあるはずだった、たくさんのものがなかったんだって。だからパパはトルキオで絞ったワインをプレゼントすることにしたんですって!!
Kussas intrendu a manu ‘eretta “セラー入って右の(樽)”はそんなブレンドになっているの。 コルテムーラス、クグッシ、サリーナにある畑からは、お昼ご飯を食べながら気軽に飲んだりとか、わたしの住んでる町であるお祭りのときなんかにピッタリだってパパが言う、そしてわたしにはまだよく意味わかんないんだけど、“チョー、イケてる!”ってパパの友達たちが言うワインが、Intrendu a manu ‘e mancaセラー入ってマンカ…あっ、これってサルデーニャ語で左って意味で、わたし達の苗字じゃないからね!んで、そのセラー入って左にあった樽から、パパがボトリングしたものがそのワインってわけ。
Is de a’nanti はピシーナカデッドゥ(ピッカデの畑、モニカ、カリニャーノが主に植えられている)のブドウと、樹齢の古い区画の、カンノナウ以外のブドウをブレンドしたワインなの。
雹が降ること自体が珍しいサルデーニャで1年のうちに2度も被害に遭い、ごく少量しか残らなかったブドウを、収穫した日ごとに、その瞬間瞬間の、自らの心の声に従って醸造面で微調整を図り仕込んだワイン…絶望、色々な解釈方法(醸造面での)、苦しみ、直感など、それぞれに様々な思いが染み込んだワインをブレンドしてしまって、1つのワインとしてリリースさせるのは違うのでは?と、別々にボトリングすることにしたそうです。
これら5つのワイン以外に、ジャンフランコが呼ぶところの、“白に女装した赤ワイン”、アルヴァスとジロ(今回は5つのワインと同じラベルで、ロットナンバーのところにRGと書いてあるのがジロになります)も極少量ですが生産されました。
Is de fundu’e muru(奥壁際)、Is de mesu(真ん中)、Intrendu a manu ‘e manca(入って左)とIs de a’nanti(前)は300本ずつの入荷、Kussas intrendu a manu ‘eretta(入って右)は150本、アルヴァスは90本にジロに至っては60本のみの入荷です…。
今回何軒かの造り手からワインが届きましたので、義捐ワインを再スタートさせていただきます。
アルベルト アングイッソラからは、03と09のワインをそれぞれ30本、イル ブオンヴィチーノからはアキッレとアウグストをそれぞれ24本、パーネヴィーノは既に60本提供いただいていたのですが、さらに60本を提供してくれましたので、今回入荷分から、セットAを12セット義捐分とさせていただきます。 バルトロ マスカレッロからは“手描き風”ラベルを6本提供いただきました。故バルトロは、足が不自由になって畑に出られなくなった時、自分の名を冠するワイナリーのために自分ができること自問し、バローロのラベルに絵を描くことを思い立ちます。体調が良かった年だと、約2000枚くらいを描き、1-2箱に1本程度手描きのラベルが入っていたそうです。絵柄からも彼が伝統を重んじていることが伝わるものがいろいろあります(空飛ぶダミジャーナやノー、バリック、ノー、ベルルスコーニですとか)。バルトロの死後、彼が描いた様々な作品をコピーし、注文数に応じて入れてくれるようになりました。ちょうど2005年をリリースさせるタイミングにもなりましたので、そこから6本をお出しいたします。非常に稀少なボトルですし、少しでも多くの義捐金を送りたいと考えておりますので、こちらのワインは、酒販店様、料飲店様ともに上代での販売とさせていただきますのでご了承ください。
8月23日に宮城県災害対策本部に200万円の義捐金を送りましたこともご報告させていただきます。
文:太田久人
65 nuovo11.08.29
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