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2019-06-21

【新入荷】2019年6月 その3(Paolo Bea、Bartolo Mascarello、Cinque Camini)

久しぶりに風邪をひいてしまい頭の切れも悪く(まあ普段も大したことないですが…)、そして根が不器用なのにもかかわらず最近は抱えている案件の質や数も多岐に渡る上に、周りで生や死について深く考えさせられるエピソードが連続して起きていることなどもあり、様々な思い、想念、考えなどが頭の中を渦巻いていて、収拾がつかない状態になっているオータです。

とはいえ、収拾をつける唯一の方法は、“(その場から逃げることなく、)ひとつひとつしっかり向き合う事”以外にない事だけは分かっていますので、焦らず取り組んでいこうと思います!

ご紹介しなければならないワインがたっくさんありますので、早速新入荷案内に移らせていただきます!!ひじょおおおおおに濃密にして強烈な内容となっております。読み進める前に一旦深呼吸をすることをお勧めします(笑)。

ベアのワインが実に3年ぶり(!!!)に入荷です。正式なオーダーをしてから、出荷までに1年以上待たされたのは初めてです。当主ジャンピエロは何も言いませんが、恐らく兄弟喧嘩が原因と思われます(笑)。久し振りに全ラインナップが揃いましたので、改めてそれぞれのワインをご紹介させていただきます!

○サンタ キアーラ:グレケット、マルヴァジーア、ガルガーネガ(!)、シャルドネ、ソーヴィニョンがそれぞれ20%ずつ、3週間の皮ごとの醗酵、ステンレスタンクでの醗酵&熟成、ノンフィルターでボトリング。2015は暑く乾燥した年でしたので、香りも味わいもムンムンです…。

○アルボレウス:地域の土着品種であるトレッビアーノ スポレティーノを伝統的な手法で醸造したワイン。収穫後、大半のブドウは除梗、軽くプレスし、ステンレスタンクで皮ごと3週間程度醗酵、圧搾後もステンレスタンクで熟成(このワインをAと呼ぶことにします)。収穫後に即醸造に回されなかったブドウは陰干しされ、半干しブドウ状態になった段階でAに加え、再醗酵を促します。皮ごと漬け込んだ状態で約1年醗酵&熟成をさせた後に再度圧搾し、さらに数年寝かせてからボトリング。伝統的にはやや甘口に仕上げることが多かったようですが、ベアの場合は糖分が完全に切れるように干しブドウの割合を調整しているようです。妖艶な雰囲気の2011の最終在庫と新ヴィンテージの2012が届いております。

●サン ヴァレンティーノ:彼らがサン ヴァレンティーノと呼ぶ区画のサンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノ、サグランティーノを使用したワインで、もともとはモンテファルコ ロッソDOCとしてリリースされていました。今現在はセラー近くの樹齢の若い区画のブドウ(サンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノ、サグランティーノ)とサン ヴァレンティーノ(区画名)に隣接する場所に買い足した区画に植えたサグランティーノも使用し、サンジョヴェーゼ60%、サグランティーノ25%、モンテプルチャーノ15%の比率らしいのですが、ウンブリアIGTのラベルにはサグランティーノとモンテプルチャーノが入っていることを表記できない(DOCと混同させないため?)ようで、ラベル上では「イタリアを代表する黒ブドウ品種であるサンジョヴェーゼとモンテファルコの土着高貴品種」という濁した表現がされています(笑)。今回入荷したのは2010で、アルコール度数も15%超!!

●ロッソ デ ヴェオ:樹齢の若い区画の、厳選したサグランティーノだけを使用して造るワイン。2009は、2007同様に強さもしなやかさも持ち合わせた素晴らしいヴィンテージです!

●モンテファルコ ロッソ リゼルヴァ ピッパレッロ:サグランティーノDOCGこそが地域を代表する最上位クラスのワインで、モンテファルコ ロッソはサグランティーノに比べたら格が落ちる…バローロという生産地域で例えるなら、バローロにあたるものがサグランティーノで、バルベーラやドルチェットにあたるのがモンテファルコ ロッソみたいな風に考えられている気がしてなりません。

もちろんオータ自身は、品種がワインの格を決めるというふうには思っていません。カッペッラーノのバルベーラ ガブッティですとか、日本に正式に輸入されたことのないアッコマッソ翁のバルベーラなどは幾多のバローロにも勝る圧倒的なテンションがありますし…。そんな若干不遇(?)な扱いをされることが多いモンテファルコ ロッソですが、ベアのリゼルヴァはサグランティーノに対して劣る要素など微塵もない、本当に尊大なワインだとオータは思っています。お値段も十分に尊大ではありますが、是非お試しください!2009が入荷です。

●サグランティーノ パリアーロとチェッレーテ:パリアーロは、同名の区画のサグランティーノで造られるワイン。チェッレーテに比べたら樹齢も古かったりするのですが、ベア的にはこちらがノーマル サグランティーノで、チェッレーテがグランクリュ&リゼルヴァ的な位置づけになります。そのチェッレーテですが、ジャンピエロ曰く「サグランティーノが植わる畑としては、モンテファルコで最も標高の高い区画」との事。サグランティーノという品種には、高すぎない標高が向いていると伝統的には考えられてきたようなのですが、より高い標高でブドウをゆっくりと熟させ、トーンの高い酸を付与することができたのならば、もっと素晴らしいものになるのでは?とジャンピエロは考えたのだそう。2007の最終在庫がそれぞれ入荷です。

2007年は、チェッレーテのブドウを本格的に収穫するようになってまだ数年しか経っていない頃だったと思うのですが、ジャンピエロは当初からサグランティーノのリゼルヴァ(とは呼べませんが)を造ると言っていましたっけ。醸造したてのサグランティーノは、その暴力的なタンニンから本質を見極めるのがなかなか難しいのですが、2007はホントに渋かった(笑)。パリアーロ2007とチェッレーテ2007の間にある差異も、言われれば違うような気もするけど…くらいにしか当時の僕には思えなかったのですが、今飲んでいただければ、その厳然たる違いは明らかかと。

●サグランティーノ パッシート:約3か月陰干ししたサグランティーノで造るパッシート。パッシートというワインを生み出すまでの作業量やブドウ自体の歩留まりの悪さを考えれば、安い価格で造ることなど不可能なワインなわけですが、ベアのパッシートやポッサのシャッケトラにいつも通りの値付けをしてしまったら、とんでもない価格になってしまうので弊社的にはめっちゃ勉強しています!2009が入荷。

そして兄弟喧嘩の集大成(笑)とも言える、パオロ ベアではなくジャンピエロ ベア名義の商品も2つ届いています!

1つ目はラピデウス トレッビアーノ スポレティーノ2014。ジャンピエロがトレーヴィ郊外に借りた高樹齢のトレッビアーノ スポレティーノを約1か月間皮ごと醗酵させたワインになります。アルボレウスのように、干しブドウを使用していないことに加え、2014年という雨がちな年という事もあり、アルボレウスよりも繊細な味わいのワインです。

そして2つ目は絶品オリーブオイルなのですが…2017年産なんです(涙)。彼らの都合で引き取りのタイミングが遅れたにも関わらず、普通に定価で出してきました(笑)。「(その代わり)賞味期限長く設定しておいたから」とジャンピエロ…。優しい気遣いなのか、単なる開き直りなのか…なんにせよ無茶苦茶です。そんなこんなですので、弊社的に価格をグッと押さえて出すことにしました!お味は僕もジャンピエロも保証しますので、是非!!

クラシックな造りを志向するバローロの造り手の価格高騰が止まりませんっ!畑の価格も大変な高騰ぶりだという話も聞きますが、それが原因でワインの蔵出し価格がドラスティックに上がるものなのでしょうか?固定資産税の評価額が変わるから???謎すぎます…。

もうそろそろ値段上げるの勘弁して~!なバルトロ マスカレッロバローロ、バルベーラ、ドルチェットの新ヴィンテージが届いております。今度、勇気を振り絞って当主マリアテレーザに価格上昇の事聞いてきますね。

ここで悲しいお知らせが。去年から取引を始めた、カラーブリア州のチンクエ カミーニのオッターヴィオ サッマーロ(以下オッター)が5/26に逝去しました。原因は聞かされていないのですが、亡くなる1か月前にミラノの病院に搬送され、そのまま帰らぬ人となってしまったようです。直接会ったのは結局2回だけなのですが、モノの見方考え方で共感できるところも多く、まるで以前から知り合いだったかのような感覚を持てる人だっただけに、より多くの時間を一緒に過ごせなかったことがとても悔やまれます。オッターの事を兄のように慕う近所のレストランのシェフが、僕に訃報を伝えてくれたのですが、そのシェフともオッターが生前に仕込んだワインは何としても世に出そう(ボトリングしよう)と話しています!!

で、今回届いたワインですが、「売りに歩くのとか面倒だから、お前が好きなだけ持っていけ」とオッターが言ってくれたので、(ほぼ)全量頂いたものになります!今回リリースするのは、カベルネ&メルローで造る、イタリアにおけるワインジャーナリズム界の巨人ルイージ ヴェロネッリに捧げたワインALV(A Luigi Veronelli、“ルイージ ヴェロネッリに”の頭文字を取っています)の2017年の樽熟成を施したものとステンレスタンクのみで醗酵熟成させたものの2ヴァージョンと、こちらもカベルネ&メルローで造られる、ALVよりも長い樽熟成を施したエドゥスの2012と2013でっす!

ガンガン飲んで、天国のオッターを喜ばせてあげてください!

文:太田久人
227 nuovo19.06.21

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