ヴィナイオータかわら版 ~桑原編 その七~
ヴィナイオータ社員のおすすめワイン紹介のコラム「かわら版」今回の担当は農業部桑原です。今回ご紹介するワインはフランチェスコ ブレッツァのフレイザ2022です。
Francesco Brezza(Tenuta Migliavacca)/ フランチェスコ ブレッツァの造り手紹介はこちら
現当主のフランチェスコが、今回のvinaiottimana2024で初来日してくださいました。ピエモンテ州モンフェッラートに13ヘクタールのブドウ園を含む40ヘクタールの農地を耕作。肉牛を飼い、その飼料をも完全自給するという、バイオダイナミクス農法を父親の代から続けています。30年ほど前、20代前半の時に父君の急死に伴い突然、農園のすべてを取り仕切ることになったフランチェスコ。その時からの苦労は、彼自身は口にしませんが、相当のものがあったとは想像に難くありません。今も奥様と息子さんの家族経営で農園を日々運営しているため、今回、来日するまでイタリア国外にでることはおろか、飛行機にさえ初めて搭乗したとのことでした。それだけに今回の来日に対する彼の決意が垣間見えた気がしました。
彼にとってワインの仕事は、牛のお世話など様々な仕事のうちの一部でありまして、普段はワインのことばかりやっているのではありません。また、イタリア国内でも彼は試飲会やサロンのようなところでワインの販促をしていないので、オッティマーナ開催中、ワインの話題に終始してしまうことに若干、お疲れの様子で、「こんなにワインのことばかり毎日話をするのは初めてだよ」と言っていました。
そんな中、彼はヴィナイオータでも農業をやっているのを聞いて「畑につれていってくれ」と当社のスタッフに懇願したそうです。そこで、酒米を栽培している田んぼや、野菜の畑などにお連れしたところ、彼は目を輝かせていろいろな質問をしてきました。「毎年、同じ田んぼでお米を作って大丈夫なのか?」「ワラや根などは分解しないんじゃないのか?」「日本の土壌は特殊なのか?イタリアではそんな早く分解はしないんだ」と興奮気味で田んぼの土のにおいをかいでいました。
そんな彼の姿を見て、フランチェスコは根っからの生産者であり、農業者であり、実践者なんだなと実感しました。
彼のワインについては、素朴さと親しみやすさ、価格のお手頃さが強調されて紹介されている場面が多くあります。そんな印象をお持ちのかたも多いと思いますし、実際そうなんだと思います。
ただ、本当に素朴さや親しみやすさだけなんでしょうか?じっと彼のワインと向き合うと、モンフェッラートの長い歴史を思いおこさせる伝統的な造りと彼自身の人柄である誠実さを感じさせる静かな佇まいを感じることができます。ブドウ栽培から醸造に至るまで、化学物質を一切使用せず、ボトリングの際に微量の酸化防止剤を使用するのみですが、何のエクスキューズも必要なく、ある種の洗練ささえ感じさせます。それは彼の日常の仕事の対する一つ一つの工程、作業の積み重ねでしか表すことができないものであると思います。
さて、今回紹介する「フレイザ」です。届いて間もない今は、木苺を思わせる果実味と豊富な酸があります。フレイザという品種の特徴でもある豊かなタンニンもありますがフリーランで絞られるためか、程よい収斂味がお肉との相性も抜群ですし、長期熟成も期待できます。昨今のインフレと円安のダブルパンチに見舞われている現在、二千円台とは思えないクオリティ。この価格も、ワインは日常と共にあるという彼の信念の現れなのだと思います。ほんとに今お勧めの造り手、ワインです。
【かわら版 桑原の飲んでもらいたいワイン!!】
銘柄:Monferrato Freisa 2022 / モンフェッラート フレイザ 2022
造り手:Francesco Brezza(Tenuta Migliavacca)/ フランチェスコ ブレッツァ
地域:伊 ピエモンテ州
希望小売価格 (税抜) : 2,900円
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