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2025-03-04

ヴィナイオッティマーナ 2024 P4 DAY2 ② Shobbrook Wines (ショッブルック ワインズ) セミナー


P4_DAY2 12月9日
造り手:Tom Shobbrook (トム ショッブルック)
通訳:永山 天楽
担当:宮内 八重子

①造り手紹介 (00:00~)

今回は、ショッブルック・ワインズより当主のトム・ショッブルックが来日してくださいました。ワイナリーは、オーストラリアの南に位置する 南オーストラリアのフラックスマン・ヴァレーにあります。 フラックスマン・ヴァレーは世界的に有名なワイン産地で アデレードの北東に位置し、温暖で乾燥した、地中海性気候が特徴の場所となっております。

ヴィナイオータとの取引は1年ほどと、比較的新しい造り手となっております。トム の家族は、1990年頃にフラックスマン・ヴァレーから 少し西に位置する、セペルツフィールドに農場を購入し、ブドウを植え始め、自家消費用に少量のシラーズを生産していました。その間、トムはイタリアに渡り、トスカーナにあるキャンティのワイナリーで6年ほど働き、ワイン造りの経験を積んでいきました。その後、オーストラリアに戻ったトムは 家族の農場で働き始めます。ワインを造る上で最も重要なのはブドウの質であるとの考えから、先ずはバイオダイナミック農法への転換を実施。知り合いの農園からもブドウを仕入れ、自分のラベルで少量のワインを造り始めます。2017年からはワイナリーでのSO2の使用もやめ、ワインだけでなく樽の洗浄にも硫黄を使用していません。2019年、トムの家族が農場を売却することを決め、 標高540mの比較的涼しい現在の場所に移転し、2ヘクタールあったブドウ畑を、最終的に5ヘクタールまで広げ、ブドウ以外の果樹とナッツが混在する果樹園になる予定です。現在リリースされているワインは全て 買いブドウで仕込んだものですが、移転先のブドウの植樹が実を結び始めており、いよいよ2024年からは自社ブドウでもワイン醸造を始めています。

Q1.始めは自家消費分だけだったワインを、販売してみようと思ったきっかけと、販売するにあたって大変だった事を教えてください。

A1. 私が 1番重要だと思う事は、ワインを作ることではなく何かを育てることです。畑ではフルーツやオリーブ、ナッツなど色んなものを育てていますが、その中の1つがワインを造るためのブドウです。私にとってワインは収穫したブドウをボトリングし1年間保存する手法としての重要な役割を果たしています。完成したワインを持って様々なイベントで世界中の人たちとワインについて分かち合うことができる事が喜びです。販売するにあたって大変だったことは、オーストラリアワインに対する、固定観念を崩すことでした。それまでは黒くて濃い、アルコール度数が高いというイメージがあった為、自分のワインを試してもらうことが難しかったです。そのため、オーストラリアを旅する時は地図と電話帳、そして、友人とウサギや魚を捕ってワインと一緒に持って行き、なんとか飲んでもらう機会をつくっていきました。

Q2. トムと同じオーストラリアでビールを造っている、弊社と取引のあるトゥーミータートールのアシュリーと交流があるかと思いますが、知り合ったきっかけを教えてください。また、アシュリーはトムにとってどんな存在ですか?

A2. 出会いはタスマニアのイベントに出店していた時です。私が、休憩中にたまたまアシュリーのブースを手伝った際にビールを飲んだ瞬間に一目惚れしそこから交流が始まりました。アシュリーは自分のビールに対して愛情と情熱を持っていて、初めはビールに対して批判的な事を言われたこともあったが、歩みを止めず進み続けて、次第に周りからも認められ、現在では色々なところでファンを増やし続けています。アシュリーの家までは車で8時間、途中ボートに乗って、さらに車で3時間の長距離の場所のところにあります。冬には、発酵の終わったブドウを持って訪問しトゥーミータートムというビールを造ったりしています。私が、一番すごいと思う事は、周りにも伝染するほどのエネルギーと、会話をしてみたいと思わせる人を惹きつける雰囲気です。

Q3. 自社ブドウでのワイン醸造が始まり、これからの展望を教えてください。また、畑ではどんなブドウを植えていますか?

A3.2016年に好きなブドウを色々なところから集めて来て畑に植えました。収穫までにこんなに時間がかかるとは思っていなかったが、涙ぐむような努力が実を結び2024年にようやく収穫できました。
そのブドウを使って、ワインの味わい、そして長期保存にはタンニンが重要と考えていて、完熟したブドウを使ったり、皮ごと使い醸し発酵をしたりと、ブドウの特徴を最大限表現するために色々な方法を試しているところです。失敗をすることもありますが、出来上がったワインを皆さんにお届けすることが今の目標です。

現在、植えているブドウは白と赤を植えていて、サンジョベーゼ、マンモロ、モンデューズ、マルべックなど、、、イタリアからフランスまでいろいろな種類を植えています。

③まとめ

セミナー中も通訳の方に通訳しやすいように、ところどころ区切って話したり、スタッフとの懇親会の際も、空いたグラスにワインを入れてくれたり、スタッフのお皿にお料理が無いと、あなたのは?と相手の事や周りの事をすごく見ていて、自分以外の事にも気を配ってくれる、優しさをとても感じました。家族に畑を売却されたりと、苦労があった中でもあきらめずにブドウを植え続け、ようやく自社ブドウでのワイン造りが出来ることに夢が膨らんでいるように見えました。(宮内)

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