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2022-12-27

【新入荷】2022年11月その4(Il Censo,De Bartoli,Stefano Legnani)

大いなる情熱と多大な時間をかけてとことん深いところまで知りに行き、酸いも甘いも苦いも結構色々見てきたはずなのに、新たな発見と言いますか、それまでには気が付けなかった&知らなかった側面に未だに遭遇することがある・・・そんなことに無上の喜びを感じられちゃうアナタは、まだその対象に恋愛感情を抱いているって事!

かく言うオータ、30年間ワインに対してバカみたいに本気で向き合ってきたわけですが、「まだまだ彼女(←ワインです)の事、何も知らなかったし、何も分かっていなかったんだなぁ・・・。」と痛感させられる、衝撃的な体験を最近してしまいました。

つくばまでオータを訪ねに来てくれる方と一緒に食事をする際、その時の話題に沿うようなワインを開けるようにしているのですが、とある日のテーマがオータに振ってはいけないネタの中でもぶっちぎり1位的存在の“オレンジワイン”・・・(笑)。皮ごと醸していないけどオレンジ色を呈した白ワインやら、めちゃくちゃオレンジな造り方をしていても色調的には全然オレンジじゃないワインなどを飲んでもらって、いかにオレンジワインという言葉がイケてないかを実感してもらおうという心づもりでワインを準備するオータ(←かなり性悪)。

造りはオレンジじゃないけど色はオレンジなワインにサッサイアの古いのを、造りは超オレンジだけど色調はオレンジまでは行っていないワインにヴォドピーヴェッツのヴィトフスカ2013(なにしろ丸1年皮ごと醸していますので、これ以上にオレンジな造りのワインもそうそうないのかと!)を選びまして、「皆さんどうですか!このヴィトフスカの色を見ても、あなたはまだオレンジって言葉を使うんですか?それって結構ダサくないですか??」などと言い放つ気満々でヴィトフスカ2013を注ぐと、グラスにはオレンジを通り越してコハク色の液体が・・・。そして香り的にもやや酸化しているような気も・・・。数か月前に開けた時の記憶では、オレンジよりも黄色に近い印象があったはずのワインなのに、オレンジならまだしもコハク色って・・・頭の中が???だらけのオータ、再びセラーに戻り他のボトルを確認したところ、ボトルによって色の濃いものと薄いものがあることを発見します。

色が薄めのボトルを選んでそれも開けてみたところ、オータの予想&思惑とは違ったとはいえオレンジ色以上ではなく、香り的にも抜栓直後から何の問題もない・・・。色薄めボトルを取りに行った際、何箱かを開けてみて色をチェックしたのですが、どの箱にもオレンジとコハクが混在していたので、コルクのロットや(ボトリング前のタンク内での)上澄みと澱近くの下側のワインによる違いというのも考えづらい・・・。あらゆる可能性を考えながら、ワインを飲み進めていくうちに、コハク色のワインから酸化的ニュアンスが消えていっていることに気が付きます。抜栓し時間が経てば経つほど、果実的な香りが出てくるという事は、オータが酸化的ニュアンスだと思っていたものは、還元によるものだったって事?同じ箱に入っていた、当然のことながら同じヴィンテージのワインで、色の進みが遅いものが味わい的に開いていて、色の進みが早いものの味わいが閉じている・・・。

よく考えてみると、酸化しているのかと思っていたら実は還元していたという経験は、これまでも何度となくありました。つい最近だと、ここ4~5年くらい酸化的ニュアンスが強く、もうピークを過ぎたのかなと思っていたマッサ ヴェッキアのビアンコ2004が、フレッシュさや果実味を取り戻しているのを確認しホッと胸をなでおろしたばかり。会社兼自宅なこともあり、開いているボトルには事欠かないオータ家、夕食中にひとつのワインをたくさん飲むことが非常に稀なのですが、このビアンコ2004を一口飲んだ奥さん、「あっ、ヤバいこれ、一晩で飲み切っちゃうやつうう」と言いながらグビグビ・・・(笑)。彼女の予言通り、次の日には一滴も残りませんでした・・・。

話をヴィトフスカ2013に戻します。様々な要素を総合しオータの出した結論は、「ヴィトフスカ2013は、今現在(2022年の秋)成長期を迎えていて、オトナ的な体格へと変化する過渡期の真っ最中。ヒト同様、ワインが成長期に入るタイミングも成長スピードもワインそれぞれ。この瞬間オレンジ色のワインも、近い将来コハク色になるはず。現段階でコハク色の子は、肉体(色調)の成長に心(味わい)の成長が追い付いていないだけ。」というもの。

パオロと電話で話した際、オータが見たこと&感じたことを伝えたのですが、彼自身2013のワインを最近飲んでいないので何とも言えないけど、あり得ない話ではないとの事。実際、2013ヴィンテージは物凄く暑かったそうで、その結果としてブドウの酸度も例年より低くなったことも予想される上に、1年ものあいだ皮ごと醸していましたので、色が濃くなる要素要因はいろいろ考えられ・・・。

このワインに限った話ではなく、2010ヴィンテージ以降のパオロのワインは、リリース当初はやや緑の混じった黄色をしていて、瓶熟成の過程で鮮やかな山吹色へと変貌し、その色調の変化に呼応するようにして内向的だった味わいが外向的になってくるという印象を持っていましたので、色の変化そのものに驚いたわけではないのですが、変化の過程をここまでリアルに目撃できたこと、そしてその過程だからこそ起こり得るボトルごとの劇的な差や、色調と味わいの間にあるギャップ(矛盾?)を目の当たりにしたことは、オータのワイン観を更新するに足るエポックメイキングな事だったということなのかと・・・。

「知れば知るほど、知らないことが増える」といったことを、各界の賢人&達人みたいな人たちが言うのを皆さんも聞いたことがあると思います。オータも、オータの小さな世界の中でなりにそんなことを実感するにつけ、無知の知を自覚できることや、好奇心と情熱を持って知りに行くという行為をやり続ける事の大切さを思い知るに至り・・・。世の中のことが全て想定内だったり、知っていることだけで構成されていたのなら、世界そして人生はここまで楽しくないのではないのかと!

そんなこんなで、ワインの色調的変貌の過程を皆さんにも実感してもらえるようなワインをリリースすることにしました!

ではでは新入荷案内11月その4と12月その1、行かせていただきます!

シチリアのイル チェンソからは、新しいワイン含む3ワインが到着です!

まずは新ワイン、グルテ2020!インゾーリア ビアンカをプラルアール同様に皮ごと醸して造るワイン。グルテという名前ですが、インゾーリアが植わる区画が、石や岩がゴロゴロした場所で、シチリアの方言だとピトゥルーザ(“石の多い”の意)、アルバニア系イタリア人の言語であるアルベレシュだとグルテと呼ばれてきたことに由来します。カタラット(プラルアール)のようにはアロマティックではないですし、低アルコール度数でもあるのですが、タンニンもしっかりしていて、酒質的には強いワインと言えると思います。

“金色のカタラット”を意味するカタラット ドラートで造るプラルアールは、2018が届いています。2017ヴィンテージが届きたてから全開の味わいだったのに比べると、2018はまだ完全にはエネルギーを開放できていないという印象を受けました。不完全解放とはいえ、すでに十分に美味しいワインですし、半年とか1年寝かせるだけでも大化けの予感が・・・。3400本と生産本数が非常に少なかったこともあり、日本にも800本弱しか届きませんでしたので、瞬殺は避けられないかと・・・。お気を付けくださいませ!終わり次第、一緒に届いた2019をリリースします!

標高700mの区画のネーロ ダーヴォラで造る700(セッテチェント)は2016が入荷です。高い標高由来の美しい酸に加え、抜栓直後は微細な炭酸があるため、それはもう危険な飲み心地のワインです。身の丈に合わない本数を買ってしまった(買わされた?)ため、まあまあ普通に売れているのに相変わらず在庫が潤沢な、ペッリコーネで造るニューロ2014も本当にステキですのでよろしくお願いします!

 

同じくシチリアからはデ バルトリのワインが一通り入荷です!デ バルトリのデフォルトがヴェッキオ サンペーリを中心とした酸化的熟成を施したワインだとして、デ バルトリの非スタンダード(笑)ワイン、酸化的熟成を施していないシリーズ全般 ルーチド2021ヴィーニャ ヴェルデ2021ソーレ エ ヴェント2021ピエトラネーラ2021グラッポリ デル グリッロ2020ロッソ ディ マルコ2020インテジェル グリッロ スーペリオーレ2020インテジェル ズィビッボ2020と、スプマンテ2種 グリッロ メトド クラッシコ ブリュット2019(L.06-2022)キュヴェ VS メトド クラッシコ(L.VS32022)、そしてTheデフォルト、ヴェッキオ サンペーリ(750ml,1500ml)の新ロット(L.VS2022)の(2022年ボトリング)が入荷です!

オータが言うまでもありませんが、ヴェッキオ サンペーリは、ずーっと昔からサイコーに美味しいワインでしたが、近年の非酸化的熟成のワインの品質面での進化は目を見張るものがある気がします。ソーレ エ ヴェントなどは、もはや甘露なお水的飲み心地が・・・。
アンフォラでの醸し醗酵で造るインテジェルシリーズの、グリッロ2020のフレッシュさには驚いていただけると思いますし、ズィビッボ2020は香りだけで惚れてしまいそうな雰囲気が(笑)。スプマンテ2種も、ロットごとの不安定な感じが軽減したように思います。

ソーレ エ ヴェント、ヴィーニャ ヴェルデ、ルーチドの3非酸化白ワインは早々になくなることが予想されますし、他の非酸化ワインも最近の引き合いを鑑みるに長くは持たないことが予想されます。ヴェッキオ サンペーリも、900本入荷していますので瞬殺はないと思うのですが、日本市場で一時期完全に枯渇させてしまったこともあり、飢餓感を感じてらっしゃる方が多いようなので、もしかしたら・・・もあり得ると思います。お気を付けください!!

そしてヴィンテージ変更が1つ!ステーファノ レニャーニポンテ ディ トイ2017が順調に動いてくれまして(ありがとうございます!)、早々に2018をリリースできることになりました!2017も十分に危険でしたが、2018はそれに輪をかけた実にけしからん(笑)飲み心地のワインです。抜栓直後には炭酸を感じることもあると思いますが、これがまた危険度を増させるという・・・。1800本ありますが、すっごい勢いでなくなっていくことが予想されます!

 

*ブログ掲載時には完売しているワイン、商品がございます。予めご了承ください。

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