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2021-11-01

造り手紹介 De Bartoli / デ バルトリ

造り手:De Bartoli / デ バルトリ
人:Marco De Bartoli, Renato De Bartoli, Sebastiano De Bartoli, Giuseppina De Bartoli / マルコ デ バルトリ、レナート デ バルトリ、セバスティアーノ デ バルトリ、ジュゼッピーナ デ バルトリ
産地(州):シチリア
ワイン:Grillo Metodo Classico, Cuve’e Riserva VS Metodo Classico, Lucido, Vigna Verde, Sole e Vento, Pietranera, Grappoli del Grillo, Integer Grillo, Integer Zibibbo, Rosso di Marco, Vecchio Samperi, Marsala, Bukkuram Sole d’Agosto, Bukkuram Passito
所在地:Contrada Fornara Samperi 292 – 91025 | TP – Italia<map
Web:https://www.marcodebartoli.com/

紀元前から多くの支配者によってその都度街の姿を変えてきた、シチリア島の西部トラーパニ県のマルサーラで1978年に創業したデ バルトリ。フランスにルーツがある母ジョセフィーンから、2世紀以上に渡ってブドウが栽培されてきたバーリオ サンペーリ(サンペーリ荘園:由緒正しい農場に伝わる伝統的な建物と農園)を農学の学位とレーシングカーへの情熱を持った若きマルコが引き継ぐ形でワイナリーは始められました。

ワイン法によって歪められた現代のマルサーラに抗議する形で、地域性に焦点の合った真のマルサーラともいうべきヴェッキオ サンペーリを1980年に初リリース。ワイナリー創業にあたり、マルコが親戚、近隣の農家、廃業してしまったワイナリーから買い集めたワインは20万リットルにおよび(750ml換算で26万本相当)、中には1903年や1958年などのヴィンテージも存在し、40年経った今でも樽で熟成されています。

1984年にパンテッレリーア島(シチリア本島とチュニジアのほぼ中間地点にある島)にある南西向き、標高200mのブックラム(アラブ語で“ブドウ畑の父”の意)という地区に5へクタールの畑と、1700年代に建てられたこの島独特の建築様式の家屋ダンムーゾを取得し、ワイナリーを始めました。1986年にパッシート、1989年からは北東向きの標高400mの畑でズィビッボの栽培を始め、1991年頃からピエトラネーラとグラッポリ デル グリッロというスティルワインの生産も開始します。

2009年からは長男レナートがTerzavia(テルツァヴィーア、“3つ目の道”の意)という名前の別会社を立ち上げ、スプマンテの生産を始めます。2011年にマルコが亡くなってからは、レナート、セバスティアーノ、ジュゼッピーナがマルコの遺志を引き継ぎ、世界でも類を見ないこのワイナリーを運営し、マルサーラに11.5ヘクタール、パンテッレリーアに6.5ヘクタールの畑でブドウを有機農法で栽培、年間約10万本をボトリングしています。

<セバスティアーノ デ バルトリ インタビュー>

【Full Ver.(43:44)】

【Short Ver.(1:28)】

<ワインラインナップ>

 


●Grillo Metodo Classico Brut (グリッロ メトド クラッシコ ブリュット(テルツァヴィーア) )
品種:グリッロ

冷却し選別したブドウをソフトプレスし、モストをステンレスタンクで醗酵させ、フレンチオーク樽で約2年間の樽熟成の後、その年の同じ畑で獲れたグリッロのモストを加えて瓶内二次醗酵を促した発泡性のワイン。エチケットにある「Terzavia」とは「3つ目の道」という意味。ヴェッキオサンペーリやマルサーラ(1つ目の道)を仕込むには難しい年には、スティルワイン(2つ目の道)とスプマンテ(3つ目の道)を仕込む。


●Cuvee’ VS Metodo Classico (キュヴェ VS メトード クラッシコ(テルツァヴィーア) )
品種:グリッロ

野生酵母による醗酵後、澱とともに12ヶ月間の熟成、様々なヴィンテージの樽熟成を施していたグリッロと、ブレンドを行う年のモストをブレンドする。その際にヴェッキオサンペーリも少量ブレンドし、瓶内2次醗酵を促したスパークリングワイン。エチケットにある「Terzavia」とは「3つ目の道」という意味。ヴェッキオサンペーリやマルサーラ(1つ目の道)を仕込むには難しい年には、スティルワイン(2つ目の道)とスプマンテ(3つ目の道)を仕込む。


●Lucido (ルーチド )
品種:カタラット ルーチド

冷却後に手作業で選別し、ソフトプレスした後、モストは48時間休ませる。野生酵母での醗酵を行う際は二酸化硫黄を最小限に使用し、ステンレスタンクで7ヶ月間、澱とともに熟成を行う。


●Vigna Verde (ヴィーニャ ヴェルデ )
品種:グリッロ

2013年が初リリースのグリッロ100%のカジュアルワイン。2013年は1年を通して涼しく、例年ほどの日照時間にも恵まれなかったため、この年のグリッロがヴェッキオサンペーリないしマルサーラ用のワインを仕込むのには適さないものだとセバスティアーノの兄レナートは判断、それらのワイン用に収穫を遅らすようなことはせず早々に収穫し、通常そのブドウから造られる他のワインよりも軽いタイプの白を造ることに。ヴィーニャ ヴェルデは直訳すると「緑の畑」ですが、本当の意味としては日照に恵まれなかった「青い畑」という意味。

ソフトプレス後、48時間低温で休ませる。モストをステンレスタンクで二酸化硫黄を最小限に抑えて使用しながら、自然酵母での醗酵、熟成は澱と共に約6ヶ月間行う。


●Sole e Vento (ソーレ エ ヴェント)
品種:グリッロ、ズィビッボ

マルサーラで獲れたグリッロとパンテッレリーア島で獲れたズィビッボ(モスカート)で造られるワイン。ブドウを除梗、優しく破砕し、約24時間のマセレーションとアルコール醗酵を行い、ソフトプレスの後にモストを48時間低温で休ませ、ステンレスタンクで醗酵の続きを行う。


●Pietranera (ピエトラネーラ)
品種:ズィビッボ

エジプ トのアレクサンドリアを起源とするズィビッボ(モスカート ダレッサンドリア)はアラブ語の「ズィビッブ 干しブドウ」から名付けられ たアロマティックな品種で古くから干しブドウや甘口ワインに使用されてきた。パンテッレリーア島はそんなズィビッボの栽培に適していると言われてる。

パンテッレリーア島の樹齢50年を超える北向きの畑のブドウを優しく破砕し、低温で24時間のマセレーションとアルコール醗酵のあと、ソフトプレスし、モストは低温で48時間休ませ、澄んだ部分のみをステンレスタンクで野生酵母での醗酵の続きと約6ヶ月間の熟成。全体の1/3は使い古しの樽で熟成させる。


●Grappoli del Grillo (グラッポリ デル グリッロ)
品種:グリッロ

フェニキア人がマルサーラの地にもたらしたと言われている土着品種のグリッロは、世界的認識としては“マルサーラに使われる品種”としてしか認識されていない渋みのある品種だったが、1990年にデ バルトリとしては当時初めて酸化的熟成を行わない造りをした白のテーブルワインを造り始めた。ソフトプレスしたモストを48時間低温で休ませ、澄んだ部分をステンレスタンクで醗酵の後、使い古しのフレンチオーク樽で醗酵の続きと、12ヶ月の熟成の後、ボトリング。

 


●Integer Grillo (インテジェル グリッロ)
品種:グリッロ

ラテン語で“元のままの”“構成部分を全て含んだ”を意味するインテジェルシリーズ。マルサーラの砂質石灰土壌の畑から、樹齢20年ほどのふた生り目(1シーズンで2回目の収穫)のグリッロを使用し、使い古した樫の大樽にて10日間ほどのマセレーションとアルコール醗酵を行ったワイン。一切ピジャージュやリモンタージュを行わず、醗酵中のモスト表面に集まる空気に触れた皮を何度も取り除いていく形で、モストに酸化のニュアンスを与えずに二酸化硫黄無添加で醸造する方法を選んでいる。アンフォラに移して醗酵の続き行ったものとブレンドして樫の大樽にて10か月間熟成を行い、二酸化硫黄無添加でボトリング。
●Integer Zibibbo (インテジェル ズィビッボ)
品種:ズィビッボ

ラテン語で“元のままの”“構成部分を全て含んだ”を意味するインテジェルシリーズ。ワイナリー隣接する区画であるブックラムの2番生りのズィビッボを皮ごと使用し、使い古しのオーク樽とテラコッタのアンフォラで10日間ほどのマセレーションとアルコール醗酵を行う。一切ピジャージュもリモンタージュも行わず、アルコール生成時に発生した二酸化炭素により押し上げられて空気に触れてしまった皮を段階的に取り除いていくという特殊な手法を採用している。澱引きの後、同じ容器で約1年間の熟成を行い、二酸化硫黄無添加でボトリング。
●Rosso di Marco (ロッソ ディ マルコ)
品種:ピニャテッロ

デ バルトリが唯一造る赤ワイン。ピニャテッロ(=ペッリコーネ)はシチリア西部の伝統的な赤ブドウ品種で、その名称はトラーパニ地方の赤いアルミナ質土壌「pignatidare ピニャティダーレ」に由来している。この土を使って料理用のテラコッタ「pignatte ピニャッテ」が作られるが、この土壌が特にこのブドウの木に適していることから、「Pignatello ピニャテッロ」という名前で呼ばれるようになったという。

平均樹齢30年ほどのピニャテッロを9月の2週目~3週目に収穫。ステンレスタンクで温度管理をしつつマセレーションとアルコール発酵。圧搾後、10ヘクトリットルの使い古しのフレンチオーク樽に移し、12か月の熟成。


●Vecchio Samperi (ヴェッキオ サンペーリ)
品種:グリッロ

イギリス人が酒精強化という技法を持ち込む以前にマルサーラで広く採用されてきた、酒精強化(アルコール&モストの添加)を行わずにソレラ方式で長期間に渡る酸化的な熟成をさせた極辛口のワイン。この地域ではストラヴェッキオと呼ばれていたワインで、マルサーラ中の農家や廃業したワイナリーを周り、優良なストラヴェッキオを買い集め、それらに自らが醸した若いワインを少量ずつ補てんするという、ある種の“修復”を施したワインをヴェッキオサンペーリと名付け、1980年に初めてリリースした。(ワイン名は、マルサーラのサンペリ地区にある、養分を豊富に含んだ畑に因んで名付けられた。)
酸化的な熟成を行うため、シェリーのような香りがするが、アルコール添加などもしておらず、酸化防止剤も入っていない。

その製造方法は、まず最初にベースとなる熟成年数5年の辛口ワインを仕込み、これをピラミッド型に組んである樽の上部から入れ、樽をワインで満たさない酸化的な状態でそのまま熟成させる。瓶詰めするときには最も下の樽から抜き、その分を一つ上の樽から継ぎ足し、またその分を一つ上の樽から継ぎ足していくと、一族に残るレシピに基づき、平均熟成年数が〇〇年のワインが安定的に供給される仕組みとなっている。
ノーマルのヴェッキオサンペーリは平均熟成年数15年なので、20~25年の年月がかかっている。



●Vecchio Samperi Classico(10anni) (ヴェッキオサンペーリ クラッシコ ディエチアンニ)
品種:グリッロ

1984年にボトリングされ、28年間ワイナリーの棚に飾ってあった平均熟成年数10年のヴェッキオサンペーリを2014年に輸入したもの。2023年の現在から考えると43~52年前のブドウ果汁が使われていることになる。

 


●Vecchio Samperi Quarantennale (ヴェッキオサンペーリ クアランテンナーレ)
品種:グリッロ

クアランテンナーレは、ワイナリー設立40周年を記念してボトリングされたスペシャル・リゼルヴァ。 デバルトリ一族が2世紀に渡り脈々とストックし続けてきた様々なワインと父マルコが自身で手掛けたワインを1978年に混ぜて新たな熟成を始めた。その後も毎年ワインを足し続け、修復、熟成させてきたのがこのワイン。 ソレラシステムでの修復と熟成によりワインのアルコール度数は18%まで上昇、平均熟成年数40年の究極の酸化熟成ワインがとうとうリリースされた。

本ワインのラベルは、マルコの親友であり、1980年に初リリースされたヴェッキオ サンペーリのラベルを手掛けたアーティストでもあるカルロ ラウリチェッラ教授が1983年に書いた作品を元に作成されている。

 


●Marsala Superiore Oro Vigna La Miccia (マルサーラ スーペリオーレ オーロ ヴィーニャ ラ ミッチャ)
品種:グリッロ

1980年に初めてヴェッキオ サンペーリをリリースしてから数年間はヴェッキオサンペーリだけを造っていたが、「他との差や違いを見せつけるためにも、マルサーラという土俵に上がるのもありなのでは?」と友人たちから勧められたマルコが、濃縮モストやカラメル色素を使う現代のマルサーラに疑問を感じ一石を投じるために本気のマルサーラ(酒精強化ワイン)を造り始めることに。 初期の彼らのマルサーラは、若いヴェッキオサンペーリにミステッラ(自社ワイン由来のブランデーとグリッロのモストを混ぜたもの)をブレンドしていたが、1990年代後半に醸造学を学んだマルコの長男レナートがワイナリー経営に参画し始めた頃からレシピを大きく変え、アルコール醗酵の途中でミステッラではなくアルコールのみを添加することに。

ラ ミッチャは最もカジュアルなラインのマルサーラで、常に満たされたフレンチオーク樽で4年間の熟成。過度な酸化を避けることによりブドウのフルーティで繊細な香りが協調されている。

 


●Marsala Superiore Oro Riserva 2004 (マルサーラ スーペリオーレ オーロ リゼルヴァ)
品種:グリッロ主体、インゾーリア

若いヴェッキオ サンペーリ(VS)にミステッラ(ブランデーとグリッロのモストを混ぜたもの)をブレンドしたものを、酒精強化してからの熟成年数に応じてスーペリオーレ(最低でも2年の熟成)、スーペリオーレ リゼルヴァ(4年)、ヴェルジネリゼルヴァ(10年)といったカテゴリーでリリースし、そして今現在までに3回(1986,1987,1988)だけ、酒精強化した年を明記したスペシャルなリゼルヴァを造ってきた(マルサーラにヴィンテージ表記がある場合、それはブドウの収穫年ではなく、酒精強化をした年を指している)。

このように初期の彼らのマルサーラは、VSを少々アレンジする形で造られていたのですが、1990年代後半に醸造学を学んだマルコの長男レナートがワイナリー経営に参画し始めた頃からレシピを大きく変え、アルコール醗酵の途中でミステッラではなくアルコールのみを添加することに。(熟成させたワインにミステッラを添加するよりも、醗酵途中のワインにアルコール添加をする方が、プロダクトにフレッシュさをもたらすことができるというのがその理由。) このワインは、2004年産のブドウを使って、2004年に酒精強化を行った、正真正銘の2004年のワイン。

 


●Marsala Superiore Riserva 1987 (マルサーラ スーペリオーレ リゼルヴァ)
品種:グリッロ主体、インゾーリア

若いヴェッキオ サンペーリ(VS)にミステッラ(ブランデーとグリッロのモストを混ぜたもの)をブレンドしたものを、酒精強化してからの熟成年数に応じてスーペリオーレ(最低でも2年の熟成)、スーペリオーレ リゼルヴァ(4年)、ヴェルジネリゼルヴァ(10年)といったカテゴリーでリリースし、そして今現在までに3回(1986,1987,1988)だけ、酒精強化した年を明記したスペシャルなリゼルヴァを造ってきた(マルサーラにヴィンテージ表記がある場合、それはブドウの収穫年ではなく、酒精強化をした年を指す)。 このワインは1987年に酒精強化し、オーク樽にて20年以上熟成させたもの。


●Bukkuram Sole d’Agosto (ブックラム ソーレ ダゴスト)
品種:ズィビッボ(モスカート)

ソーレ ダゴストは、“8月の太陽”を意味する言葉で、故マルコ デ バルトリがブドウの収穫時期に「ブックラム パッシートには、(ブドウを干す時期に当たる)8月の太陽こそが不可欠」と繰り返し言っていたことにちなむ。収穫は8月中旬と9月上旬の二度に分けて行う。8月中旬に収穫されたズィビッボは、約2週間の天日干しが施され、その間樹上で追熟させていたズィビッボは9月上旬に収穫、ダイレクトプレスし、野生酵母で醗酵。その醗酵が終わったワインに、天日干ししていたブドウを何回かに分けて加え、約3か月間の醸し醗酵を行い、アルコール度数と糖分のバランスをとる。圧搾後、木樽で最低でも半年熟成させた後にステンレスタンクへと移されボトリング。


●Bukkuram Passito Padre della Vigna (ブックラム パッシート パドレ デッラ ヴィーニャ)
品種:ズィビッボ(モスカート)

ブックラム(アラブ語で“ブドウ畑の父”の意)は彼らが1980年頃に購入した南西向きの標高200mの区画。使用する約半分のブドウは8月中旬に収穫し、最低でも3週間の天日干しを施す。残り半分のブドウは9月上旬に収穫、ダイレクトプレスし、野生酵母で醗酵。醗酵の終わったワインに、天日干ししていたブドウを何回かに分けて加え、約3か月間の醸し醗酵を行い、アルコール度数と糖分のバランスをとる。圧搾後、最低でも30か月間使い古しのバリックで熟成、その後6か月間のステンレスタンクでの熟成の後にボトリング。


●Acto (アクト)
品種:ワインヴィネガー(ジビッボ、グリッロ)、濃縮モスト

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