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2017-09-12

スタッフ佐藤の造り手訪問記 その12 ヴォドピーヴェッツ


シルクの次に向かったのは、『とことん努力し続ける天才』パオロ ヴォドピーヴェッツ!
今回の造り手訪問が決まった時、一番に行ってみたいと太田に伝えたのが、パオロのところでした。
遡ること7年前、2010年11月9日に、私は太田と初めて出会いました。場所は、知っている人にはお馴染のご近所のBar。
前日の8日にイタリア出張から帰国したばかりの太田が店に来るから、みんなで飲みながら話を聞いてみよう!というプチイベント的なものがあるとBarのマスターに聞き、子供を寝かしつけた後に、いそいそと出掛けて行ったのでした。
その時、太田が出張で撮って来た写真をスライドで見せてくれた中にあったのが、パオロのセラーの写真でした。パオロがほぼたった一人で完成させたというそのセラーは、写真からでさえも神々しいオーラを感じ、まさに『神殿』のよう。このセラー、そして畑、ワインに対するパオロの想いと、それに付随する彼の気の遠くなるような努力。太田の話を聞いた私は、『いつかこの人に会いにこの場所に行ってみたい』と漠然と思ったのでした。
当時は自分がヴィナイオータで仕事をするなんて、微塵も思ってなかったですけどね。その時からずっと、ヴォドピーヴェッツが私の中の「訪れたい造り手」不動の1位だったのです。
と、前置きが長くなりましたが。
パオロの所に着くと、まずは歩いて畑の見学へ。途中、道に掲げられたカルソ地区の地図を見ながら、カルソは斜めに土壌が重なっていることや、この辺りには「ボーラ」と呼ばれる非常に強くて乾燥した冷たい風が北東から吹くため、樹木が低くなっていることなどを教えてくれました。
パオロの畑は、アルベレッロ仕立て。表土の20cm下には岩盤があり、水が岩盤に吸い取られるため湿気が非常に少なく、限りある水分を他の草に取られないように、草生栽培はしないとのこと。灌漑もせず、ブドウは自分の力でほんの少しの隙間に根を深く深く伸ばし、水分を得ているのでした。
畑を見回すと、雑草でさえも水分が取れず黄色く乾燥しているのに対し、ブドウの葉は湿気がない中でも青々と輝き、その健全な力強さは一目瞭然。
『ブドウが居心地の良い環境を造るのが自分の仕事』と言うパオロの言葉に納得しました。
農家に生まれ、幼いころからブドウに触れてきたパオロだからこそ、当時、ブドウをつまみ食いした時の美味しさをワインの中に体現でき、ブドウが育つときにストレスを感じたのか、健やかに育ったのか、ワインの味で判るといいます。
当たり前ですが、気候条件が毎年同じということは無いわけで、つまり賜るブドウの個性や量も毎年変化します。
例え天候に恵まれない年があっても、その年々に何らかの美しさがあり、その美しさを引き出すために何かできるかを考えて仕事をすると話すパオロ。
ブドウ、そしてワインを自分の子供に例え、子供が健やかに育つために自分はどうすべきかを、セラーでも畑でも常に考え、実践していました。
2015年12月の単独来日時には、全国各地でヴォドピーヴェッツ旋風を巻き起こしたパオロも勿論、11月のオッティマーナに参加します!!
1質問すると10位の熱い答えが返ってくる通訳さん泣かせのパオロに、みなさまどんどん質問してみてください!!

Soloの畑。

健全なブドウが育っていました。

神殿の様なセラー。8の字の様な造りになっている。

手前にアンフォラ。アンフォラの周りの石なども全てカルソのもの。

奥が樽のスペース。

スラヴォニアオークの大樽。ペンキさえも使用していない。

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