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2014-07-22

【新入荷】2014年7月その1(Barbacarlo,La Biancara,Santa Maria)


バルバカルロの父リーノ(左)と息子ジュゼッペ(右)

店のビールのラインナップを最強にすべく、ここ最近はビールを試飲しまくっているのですが、そのせいか、出張や来客などで外食が多いせいか、お腹の肉が気になり始めているオータです…。そんな話を近しいお客様や友人にすると、痩せるために走ったりしている僕の姿が想像できないとか、もっと突っ込んでくる人だと、走ってなんか欲しくない!とまで言われてしまいます(笑)。が、彼ら以上に僕自身が、一番その姿を想像できていない気が…(笑)。とはいえ、出張先の歓待という名の迎撃に耐えうる力を持つべく、代謝力を上げる努力はしようと心に誓った福岡の夜…。

先日の食べる試飲会にご参加いただいた方、そして会の実現にご尽力いただいた方、本当にありがとうございました。至らぬ点も多々あったとは思いますが、ヴィナイオータが何をお伝えしたかったのか、その想いの部分は伝わったのではないかと思っています。
どんなこともそうだと思うのですが、好きで始めたはずなのに、それが生業となり時が経つにつれ、始めた頃の楽しさや発見の喜びを忘れてしまい、妙に構えてしまったり、やたら理論武装ばかりするようになったり…。我が師匠上原ひろみちゃんは、彼女の考える“超一流”を、どんなにキャリアを重ねてもリスクを恐れず、飽くなき情熱を持ち続けられることだと定義していましたが、それを言い換えるのなら、“好き”という強い気持ちや、自身がちゃんと楽しめているという感覚、そして自分はまだまだ変われる(成長、進化、成熟…)という自信自負などを持ち続けられるということになるのかと。裾野を広げるためには、それを楽しいと思ってくれる人を増やすことが必要で、それを早々に実現するには、伝える側の人も小難しいことは置いておいて、楽しそう(嬉しそう)にしていることが大事なのではと僕は思うのです。これからも、ワインに審判を下すような殺伐とした雰囲気の試飲会ではなく、ただただひたすら楽しい会を企画していきたいと思います。

それでは新入荷ワインのご案内です!
その人の事を凄い人物だと思ってはいたけど、あまりにも身近過ぎてそこまで意識せずに付き合っちゃっている事って皆さんありませんか?僕の周りはそんな人達だらけなので、僕自身ちゃんとそれを自覚しつつ彼らとの時間を過ごしているつもりだったのですが、少々パンチドランカーならぬ、偉大な人物ドランカー気味だったのだと気付かされるエピソードがつい先日ありました。皆さん“イタリア好き”というフリーマガジンはご存知でしょうか?現在配布(刊行?)中のロンバルディア州特集号の刊行前、フェイスブックで内容を紹介するような記事が載ったのですが、そこでバルバカルロのリーノ マーガ翁のことを“生ける伝説”と表現していたのを見てハッとしてしまいました。言い得て妙な言葉過ぎますし、イタリアワイン界でこの言葉がふさわしい人物は?と聞かれてパッと思いつくところですと、エミディオ ペーペ、ソルデーラにリーノ マーガとなるかと(故人ですと、北からエツィオ ヴォイヤット、コンテルノ兄弟、バルトロ マスカレッロ、クインタレッリ、モンテヴェルティーネのセルジョ マネッティ、エドアルド ヴァレンティーニ、マルコ デ バルトリといったところでしょうか)。うちの他の造り手何人かも、既に生ける伝説の仲間入りに当確ではあると思うのですが、年齢的にまだ若いので、心情的にはエントリーさせたくない…(笑)。話は少々逸れましたが…そうなんです、リーノ マーガは生ける伝説なんです!!そしてオータ認定のレジェンドの中で、正当な評価を世間から受けていない造り手の1人でもあるかと(もう1人はヴォイヤット!)…。ワイン界が迷走を繰り返す中、自然を敬い、伝統品種による伝統的な製法を貫き、土地、年のアイデンティティこそがワインにとって重要と言い続け、代々伝わる土地の名前(バルバカルロ)をブランド化しようという商業主義の流れに1人で敢然と立ち向かい、不毛な戦い(裁判)に恐らく莫大な金銭的犠牲を払いながらも勝利した気高き農民リーノ マーガ…。いい車に乗っているわけでもなく、着飾ってもいないけど、高貴高潔、オータが目標とする理想の頑固爺像がリーノの中に全てあるんです!!!(30年後の僕が妙に好々爺然していても気持ち悪くないですか?笑)バルバカルロのワインをどうしたらもっと楽しんでもらえるか&光を当てることができるのか、いつも考えているのですが、非常に難しい!他の造り手で採用することにした、前のヴィンテージが終売しない限り、次ヴィンテージをオンリストしないという方法も、バルバカルロで12ヴィンテージ(!)、モンテブォーノで16ヴィンテージ(!!)在庫のある彼のワインの場合、全く同じようには行かない…。色々無い知恵を絞りまして、とりあえず各ワインの最も古いヴィンテージ3つを買い続け、各個撃破していくことにしました。

加えて、何年も前から説得をしていた、ボトリングはしたけどワインの内容に納得できず、大々的に売り出したことのない93ヴィンテージのワイン3種(バルバカルロモンテブォーノロンケット)も破格値で出してもらえることになりました!!他のヴィンテージほどのテンションの高さはありませんが、素敵な軽快さがありスイスイいけちゃうワインです。20年前のワインがこの値段で飲めるというのは本当に凄いことだと思います。
さらに!!セラー奥で発見したロンケット79年も全量引き取ってきました!!!
今春セラーを訪ねた際、
「イザート(ヒサトのイタリア人的発音)、注文はいつしてくれるんだ?」
と聞かれたので、その場で紙に内容をさらーっと書き、計6000本の注文(!!!!)をしたら、頭にチューされました(笑)。
バルバカルロ89,94,96、モンテブォーノ86,89,90のどれも、いい感じの熟成をしたワインです(一番新しいものでも18年近く経っているわけですから、そりゃそうですよね)。2010年は、強いのに早くからバランスのとれたワインができた年で、生産量も少なかったため、今回入荷分で現地在庫もゼロとなりました。向こう30年は約束されたワインだと思いますのでこちらも是非!そして弊社にもともとある在庫のほうも是非是非いろいろ試してみてくださいね!

先日の食べる試飲会でも実践していたことなのですが、バルバカルロをより美味しく飲むためにヴィナイオータが皆さんにご提案したいことが2点ほどあります。
1. <<<茶こしをご用意ください。>>>
圧倒的なエキス分を備えたリーノのワインには澱が沢山出ます(03のバルバカルロは、僕史上最高記録ホルダーかと)。茶こしである程度除ければ、全然気にならないレベルになります。

2.<<< 抜栓後、コルクが触れていたボトル内面を水で濡らしたキッチンペーパー等で拭いてください。>>>
ボトリング後、約40日間横に寝かせて保存させた後はずっと立てた状態で保存されているためか、コルクの劣化の進みが早く、場合によっては“ブショネ臭”的な香りをボトルに付着させることがあります。内側を拭くだけで、“怪しげな”ボトルの数は激減すると思います。
ボトルネックについているリーフレットの表紙部分には、伝統、歴史、文化、品質、純良さと書かれていて、それらこそ彼らのワインが内包している要素の根幹をなすものなのかと。そのリーフレットの最後の方には、リーノが考えるそれぞれのワインと合わすべきものに関しても書かれているのですが、これがまた素敵なんです。
モンテブォーノ:サラミ、肉、ボッリート(茹で肉)、煮込み、ジビエ     バルバカルロ:必要なものは2つだけ、ボトルとそれを飲む人…

ラ ビアンカーラからはマシエリ各種(??)が届いています。ボトリングしたばかりの13年(酸化防止剤無添加!)、12年のマグナムの現地在庫全てにノルウェーのインポーターから返品された11年!!!そのインポーター曰く、フィランテと呼ばれる乳酸菌のいたずらで生まれるワインのぬめりがひどくて売れないとのこと。もちろん出ないに越したことはありませんが、自然任せに醸され、酸化防止剤が少なかったり無添加だからこそ起こった事件を受け入れられないのなら、この手のワイン買わなきゃいいのに…と思ってしまうのは僕だけでしょうか?何度か試飲しましたが、ぬめりはなかったので買ってみちゃいました。サッサイア12マグナムの最終在庫も入荷しております。現在船旅の最中の13が届くまでの間、このマグナムでしのいでいただけますと幸いです。

モンタルチーノの実験君、マリーノ コッレオーニのサンタ マリーアからは4種類のワインが入荷です。まずはブルネッロ09。09というヴィンテージの特徴と言えるかもしれませんが、濃いのにスムーズ。セミリタイア組とも言って差し支えないであろうマリーノ&ルイーザですが、ワイナリーの運営がまあまあな赤字であることが判明(笑)、低価格帯のものはそのままにしたいと考え、ワイン全種類の価格を上げるのではなくブルネッロだけを上げることにしました。為替の状況も相まって、2割以上の値上げとなっておりますが、ご理解のほどよろしくお願いします。
白ワインが好きな奥さんルイーザの為に、買いブドウのアンソニカで12年から造り始めた白、ペル ルイーザ(そのまんまな名前です!!)と、前回のアンテオという名前のワインに使ったブドウを栽培していた農家が廃業(!)してしまったため、近所の別の農家から買ったサンジョヴェーゼ(アンソニカ、このサンジョヴェーゼ共に化学的農薬に頼らずに生産されたものです)で造ったロッソ トスカーナは、13年となります。
12年のロザート、“久人式黄金比”(※)のボトリング後に残ったワイン(残糖があったほう)を、早摘みした13年のサンジョヴェーゼをプレスし、その醗酵の始まったモストに加え、再醗酵を促したところ大成功!、それが今回のロザートになります。ブルネッロ以外のワインは全て酸化防止剤無添加です。ロザートは全量が日本に届いているのですが、240本と極僅かですので限定とさせていただきます。
※12年はバリック2つ分のロゼを仕込んだのですが、1樽は醗酵こそキッチリ終わったが揮発酸が高く、もう1樽は醗酵が完全に終わらずに残糖が残ってしまいました。当初、マリーノは全量廃棄してしまおうかと考えていたのですが、僕が等分ではない状態でのブレンドを提案しまして、結局7:3の割合でブレンド&ボトリングすることになったワイン。
この後も素敵なワインがたっくさん入荷してきますので楽しみにしていてくださいね!!

文:太田 久人
109 nuovo14.07.22

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