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2022-04-04

造り手紹介 Tropfltalhof / トロプフルタルホフ

造り手:Tropfltalhof / トロプフルタルホフ
人:Andreas Dichristin / アンドレアス ディクリスティン
産地(州):トレンティーノ=アルト アディジェ
ワイン:Le Viogn, Garnellen Sauvignon, Rose Marie, Storlond, Barleith Cabernet S.
所在地:Via Garnellen 17 – 39052 Caldaro | BZ – Italia <map
Web:https://www.bioweinhof.it/

イタリアで独占的な立法権が認められている5つの特別自治州の一つ、トレンティーノ アルト アディジェ州はチロル地方と呼ばれる地域で、第一次大戦まではオーストリア=ハンガリー帝国の一部だった歴史からも、ドイツ語が公用語となっている場所が残されています。ボルツァーノを中心としたアルト アディジェは南チロルと呼ばれ(北チロルはオーストリア領のチロル州)、この地域独自の文化が育まれ、ドイツ語でSüdtirol(南チロル)とワインのラベルに表記できることを含めワイン法にも独特の影響を与え認可されています。ヴェネツィアから北西に250km、ボルツァーノの南西20kmの場所に位置するカルダーロは古代に組成した土壌と温暖な気候から、南チロルで最も特徴的なワインの産地として知られ、今でも協同組合の650人の組合員によって500ヘクタールもの広さの畑でブドウの栽培が行われています。

一族の手によって耕されてきたトロプフルタルホフの畑は、1980年代に現当主アンドレアス ディクリスティンへと受け継がれました。「自然に対峙するのではなく、自然と共にある」というアンドレアスの言葉通り、畑でブドウを観察することに膨大な時間をかけ、自然と大地の調和と均衡の手助けをしたいと考え、1997年からビオディナミ農法を実践しています。2009年ヴィンテージまでは生産したブドウを別のワイナリーに全て販売していましたが、2010年ヴィンテージより自らワインを醸造しボトリングを開始しました。

アンドレアスが考える循環型の農業の中で「めん羊」は重要な存在で、羊が食べる牧草を自らで育て、羊の糞尿は堆肥となり畑を豊かにし、羊の肉はサラミやスペック(燻製した生ハム)となり刈られた羊の毛と共にワイナリーを支える一助となります。3つの異なるキャラクターのブドウ畑の合計は2.6ヘクタールで妻ローズマリーと2人の子供たちヴェレーナとヤコブと共に、ブドウ以外にもリンゴ、スペルト小麦、トウモロコシを栽培。傍らでアグリトゥリズモも運営し、宿泊者には農業体験と共に、家族が仕込んだ加工食品を味わってもらうことで身体全体でこの土地を感じてもらうことに努めています。

毎年異なる特徴が備わるブドウを余すことなくワインとして表現するため熟成容器にアンフォラと木樽を選んだアンドレアスは、車で30分ほどの街メッツォロンバルドにあるフォラドーリのエリザベッタ女史に紹介された、スペインの生産者のアンフォラで醸造を始めました。ワイナリーにはエレベーター以外に機械はなく、ポンプや濾過機すら使わず重力や液体の特性を活かしたワイン造りを目指しています。ワイナリー名のTropfltalhofトロプフルタルホフはこの地域の言葉で「水の滴り落ちる渓谷の農場」という意味で、川の水が干上がることもあるほど気温が高く乾燥した夏となるこのエリアの中でも、絶えず水が流れる小川がある場所を指しています。

<ワインラインナップ>


●Le Viogn(ル ヴィオニン)
品種:ヴィオニエ

カルダーロ湖を見下ろす標高300mの場所にある1ヘクタールの畑バルライトに植わる樹齢20年ほどのヴィオニエから造られるル ヴィオニン。ブドウは除梗後1300リットルの樫の大樽に入れられ、1晩~1日程度のスキンコンタクトを行ってから圧搾。大樽に戻され、澱と共に9か月間醗酵の続きと熟成させ、少量の二酸化硫黄を添加してボトリング。

 

 

 


●Garnellen Sauvignon(ガルネレン ソーヴィニョン)
品種:ソーヴィニョン

ガルネレンはワイナリーに隣接する標高500mの1ヘクタール強の畑で、ブドウの樹齢は15~30年ほど。土壌は火山性の花崗斑岩と石灰質苦灰岩を含む泥灰土で構成されている。ブドウは除梗後アンフォラで約7か月間マセレーションとアルコール醗酵を行う。圧搾後アンフォラに戻され、澱と共に14か月間醗酵の続きと熟成させ、少量の二酸化硫黄を添加してボトリング。

 

 

 


●Rose Marie(ロゼ マリー)
品種:メルロー

メルローは、カルダーロ湖にほど近くの、他の畑に比べ標高が低い場所にある区画フェルドに植えられている。この場所にはかつてアディジェ川が流れていて、川岸の土砂が徐々に浸食していく中で水がなくなったと考えられていて、川底の名残の小石が多くみられる。樹齢20年ほどのメルローを収穫、除梗後ブドウを半日ほどスキンコンタクトさせ、フリーランで出たモストを木樽で醗酵、熟成させたロゼワイン。ワインの名前はアンドレアスの妻ローズマリーからもじって付けられた。

 

 

 


●Storlond(ストルロンド)
品種:メルロー

ロゼ マリー用のモストを抜いた後に残された、皮の比率が高くなったモストで造るワイン。4週間マセレーションとアルコール醗酵を行う。使い古しのバリックとトノーで20か月間醗酵の続きと熟成させ、少量の二酸化硫黄を添加してボトリング。瓶内で数か月休ませようやくリリースされる。

 

 

 


●Barleith Cabernet S.(バルライト カベルネ ソーヴィニョン)
品種:カベルネ ソーヴィニョン

バルライトはカルダーロ湖を見下ろす標高300mの場所にある1ヘクタールの畑で、ブドウの樹齢は25年。南東に向かって僅かに傾斜した、石灰質の砂利が豊富で粘土と砂の混じった区画で、ブドウの成熟に時間がかかることから例年の収穫は10月中旬とかなり遅いといえる。ブドウは除梗後アンフォラで約7か月間マセレーションとアルコール醗酵を行う。圧搾後アンフォラに戻され、澱と共に14か月間醗酵の続きと熟成させ、澱引き後さらに半年ほど寝かせた後少量の二酸化硫黄を添加してボトリング。瓶内で最低でも24か月熟成させようやくリリースされる。

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