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2016-03-30

Pacina / パーチナ

造り手:Pacina / パーチナ
人:Stefano Borsa、Giovanna Tiezzi / ステーファノ ボルサ、ジョヴァンナ ティエッツィ
産地(州):トスカーナ
ワイン:Pacina、La Malena、Il Secondo、La Cerretina、La Sorpresa…等
所在地:Pacina, 7 53019 Castelnuovo Berardenga SI – Italia <Map>
Web : http://www.pacina.it/

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パーチナのステーファノとジョヴァンナ夫妻。パーチナは900年代には修道院だったところで、シエナに住んでいたジョヴァンナの曾祖父が屋敷を含む60ヘクタールにも及ぶ地所を購入したのがはじまり。

オリジナルは12世紀に建てられた修道院だった建物が、増改築を繰り返して、下の写真の建物のようになりました。一番奥2-3階が彼らの住居なっていて、らせん状の階段で上がるのですが、ちょっと特殊な構造をしていたので不思議に思っていると、ステーファノが言うには、この階段の最上部に鐘が付いていたのではと。住居の中に数百年以上前の名残があるなんて凄いです。

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キャンティの某有名ワイナリーで醸造家として働いていたミラノ出身のステーファノは、当時同僚だったレ ボンチエのジョヴァンナ モルガンティを介してジョヴァンナ(パーチナの。ややこしいですね)と知り合い、2人はのちに結婚します。その後、別の大手ワイナリーで醸造部門の責任者として働いていましたが、経営体質に嫌気が差し、このワイナリーを去ることにします。

彼自身、それまではビジネスとして、”売れる” ワインを醸造してきたわけですが、醸造家という立場にありながら、パーチナで行われている農業のあり方に非常に共感を覚え、そのブドウでワインを醸すことを決意します。それまでは量り売りないし桶売りしていたワインを、1987年からボトリングを開始します。

1000年以上前と変わらぬ考えで
パーチナで行われている農業とはというと、環境問題やエコシステムについて研究する学者で、Legambienteという環境保護団体の創始者の1人でもあったジョヴァンナの父は、かつては普通に行われてきた農業形態の重要性を説き、それをパーチナでも実践します。森を残し、耕作地全てをブドウやオリーヴ畑にするのではなく、穀物など様々な作物を育てることでパーチナという地所内でのモノカルチャーを避け、広大な土地を利用して常に休閑地を設けることで、地力の回復を図り…つまり、ブドウ畑だったところを数年、もしくは数十年は休閑地もしくは他の作物用の畑として利用した後に、再びブドウ畑として以降数十年は利用して、また休閑地にして…ということをやっているというのです。それは、1000年以上前に修道院ができ、周りを開墾して畑を作った時から全く変わらない考え方で、農業を行っているということになります。

ブドウ畑だった場所を数十年も休ませてからまたブドウ畑として利用するなんて話を初めて彼らから聞いたときは、本当に面食らいました。ワインの世界にはグランクリュなる言葉があり、そのグランクリュを数年でも休ませる話を他の誰からも聞いたこともなかったですし。この重要性に関しては、パーネヴィーノのジャンフランコもカーゼ コリーニのロレンツォ コリーノも力説します。

たたきの上で眠るワイン
醗酵はセメントのタンクで行い、乳酸醗酵が終了するまでそのまま静置されます。キャンティ用のワインはその後大樽ないし、500Lサイズのトノー樽へと移されるのですが、ウナギの寝床のような地下セラー、地面はいわゆる “たたき(三和土)” で、粘土に石灰を混ぜて叩いて作ったもの。昔のまま!現在では、年によって5-6種類のワインを生産しています。キャンティ コッリ セネージが彼らにとってのフラッグシップ的なワインにあたり、生産量の7-8割を占めています。

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プライドから生まれるお手頃ワイン
彼らは一ヶ所の畑での収穫を一回で終えてしまうのではなく、熟度や品質を見ながら数回に分けて収穫を行います。まずはキャンティ用の、品質的に満足のいくブドウが収穫され、そのあとに残ったブドウは後日収穫され、別に醸造されます。このワインは自家消費用兼地元での計り売り用のワインだったのですが、地元のワインバーの為にだけボトリングされているのをヴィナイオータの代表は目ざとく見つけ、日本用にもボトリングしてもらったのがイル セコンド。

当初は、ブドウ的に力の弱いもので造られていて、なおかつ添加されている酸化防止剤の量も極少ないイル セコンドが日本までの輸送に耐えられるか懐疑的だったステーファノ。初めはほんの少ししかボトリングしてくれなかったのですが、問題ないことが分かり、リクエストする量をボトリングしてくれることに。そうすると、そのワインを飲んで品質に悶絶した他の国のインポーターが、彼らのためにもボトリングするようにステーファノに迫り、現在では6-9000本ほどボトリングされています。

中身は他の造り手ならキャンティとしてリリースさせるレベルです。だけど彼らからしてみると、ブドウがその品質に達していない。彼らのキャンティの品質を上げるために、キャンティを名乗れるブドウを使ってセカンドラインを造り、それをびっくりするような価格で売るのです。彼らの矜持みたいなものを感じませんか?実際、ヴィナイオータが扱う低価格帯のワインの中でも、ちょっと異質なコストパフォーマンスがイル セコンドにはあるような気がします。

土壌的に合うのでは?ということで実験的に植えた0.3ヘクタールのシラーで造られるワインがラ マレーナ。2009年には初めてロゼワインも生産します。2009年の彼らのサンジョヴェーゼは品質的には素晴らしいものでしたが、皮が薄く、このままだと色調の薄いキャンティになってしまうのではと懸念したステーファノは、セニエを行うことにしました。醗酵途中のサンジョヴェーゼのモストを900リットル程度抜き出し、樽醗酵・熟成を促して出来上がったのが、ローザ パーチナ。ステーファノ自身ワインとして気に入ったようで、2011年も生産したそうです。

規格外の美味しさ!ヴィンサント
赤ワインも美味しいですが、彼らのヴィン サントも規格外の美味しさです!3-4ヶ月の陰干しの後、圧搾され、モストは50リットル程度の小樽へと入れられ石膏で封をし、夏場は暑くなる屋根裏部屋のようなところで4-5年放置されます。数回の夏を経る間に、酵母はゆっくりと醗酵を進め、樽内で目減りした分の補充を行わないために酸化的な熟成をすることとなり、出来上がるワインがヴィン サント。ヴィンサント用の余剰分(干す場所に置ききれなかったもの)のブドウで仕込まれ、ボトリングしていた白ワインも自家用だったのですが、これまた無理言って日本用に分けてもらっています。

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日常に寄り添うワインが生まれるわけ
とある酒屋の友達からこう言われた事があるそうです。

「なんでお前達は、お前達のキャンティをもっと高値で売らないんだ?世にある高品質を売りにするキャンティと比べてもまったく遜色ないにもかかわらず。逆に値段が安い事で、その値段程度のワインだと勝手に認識されちゃうこともあると俺は思うのだけど。」

ステーファノは、これに対する彼の意見をこう話してくれました。

「確かに彼が言うことにも一理あるよね。だけど、土地もワイナリーも、元々ジョヴァンナの一家の所有で、家賃やローンがあるわけではないしねぇ。僕たちが普通に生活して、子供たちが大学に行くのに困らないくらいの蓄えができて、年1回くらいみんなでヴァカンスに行けるくらいの収入があれば十分。別にいい車に乗りたいわけでもないし…。アグリトゥリズモもあってそこからも少しは収入があるし、ワインの生産量も極端に少ないわけでもないから、1本のボトルでそんなに利幅を乗っけなくてもいいしね。そしてワインが嗜好品化し過ぎることにも違和感を感じるんだ。ワインはやはり食事と共にあるべきで、それは日常的、普遍買ってもらえた方が造り手としては嬉しいじゃん!」消費者の味方過ぎる発言です!

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