【新入荷】2023年9月その2・その3(Il Vei,A Maccia,Il Maiolo,Il Moralizzatore,Santa Maria,L’Acino,La Carabretta)
オーストラリアから日本へと戻る機中で本メルマガを書き始めたオータです。
4年前に初めて訪問した際も感じたことではあったのですが、改めてタスマニアという土地の美しさと、トゥーミータートール(以下2MT)のアシュリーのブリュワーとしてのみならず、いち人間としての凄さを痛感する旅になりました。あ、今回初めて知ったことなのですが、実は料理人としても凄かったです(笑)。
以前、ベルギーのランビックの造り手の中でもトップクラスの知名度を誇るカンティヨン醸造所の当主ジャンから、「アシュリーの(ビールの)仕込みの時期っていつ頃なの?」と聞かれたことがあるそうで、「はあ?仕込み時期??一年中に決まってんじゃん!!」と答えたそう(笑)。ランビックの仕込みは、麦汁を効率的に冷やすことや雑菌の繁殖などのリスクを避けるため10月から4月ごろに行われるのですが、ジャンは“ランビック的な”ビールを造るアシュリーも、ランビックの伝統に倣っていると悪気なく思ってしまったのかもしれません。
「彼らがクールシップと呼ぶ、麦汁を冷やすための容器があるじゃない?もちろん冷えていく段階で、様々な微生物が麦汁に沈着していくのだろうけど、寒い時期に一晩程度置いておいたところで醗酵なんて始まらないよね?つまり呼び名の通り、クールシップはただの冷やす(クール)容器(シップ)でしかなく、麦汁の醗酵は、クールシップから出し、樽へと移された後に起こるんだよ。でもその樽って、少し前まで別のビールが入っていたわけでしょ?つまり、樽の内面には、もうすでに(微生物の)カルチャー(=培養)が進んでいるってことで…。もちろんそれが悪いって言っているわけじゃないし、サワードウを使ったパン作りと一緒で、安定した醗酵や均質化のためにはとても大切な手法なのかもしれないけど、カルチャーに醗酵を頼っている時点で自分が考える“ワイルドな醗酵”というのには当たらないんだよね。で、君たちが昨日から今日にかけてオーストラリアに向かう飛行機に乗っていた頃に火を入れていたこの麦汁だけど、見ての通り蓋は開けっ放しの状態で、醗酵が始まるまではここで完全放置される。夏だったら1日で始まるかもしれないし、冬だったら4週間くらいかかるかもしれない…。でも、この予定調和の存在しない手法こそが“ワイルドな醗酵”なんだと思うんだ。ランビックを模倣することに何の意味もないし、そもそも自分が追い求めているのは、この場所、この瞬間にしか存在しえないワイルドな醗酵の果てに出来上がるプロダクトなんだよ。」
人が何百年もかけてつくり上げてきた伝統のさらに先に行くこと自体がすでに大変なはずなのに、2MTはそれを何のバックボーンもなく1代で成し遂げようとしている…。世界中のブリュワーの中でも、群を抜いてエポックメイキングで、ビール史に名を残す存在であることを再確認(再確信?)できましたし、そんな造り手と仕事ができてオータはホント幸せです!
オータが「オーストラリアって何もかもが高いじゃない?で、アシュリーの場合、一般的なビールとは比べ物にならない時間と手間暇をかけて造っている…。こんなこと言うのも変に聞こえるかもしれないけど、安すぎじゃね?」と商人にあるまじきコメント(笑)をしたところ、「ほら、そりゃもうビールだから(笑)。ワインだったら、全く問題にならないくらいの値段なのにね…。まあ、どうしてもビールというカテゴリーの中で比べられてしまうと、今の値段でも高く見られちゃうみたいだし…。僕自身は、うちのビールが飲み物としての格のようなもので、ワインに引けを取っている気が全くしていないけどね。」との返答が…。
日本でだけでも、2MTのビールが正当な認知、認識をされるよう、もっともっとその凄さ、唯一無二性などを熱苦しく伝えていかねば!と決意を新たにしました。それ以外に、サイダー(シードル)に関しても面白い話をしてくれたのですが、最終的なオチの部分を全く思い出せない(笑)ので、その話はまた次回以降という事で…。
そして、今も十分に素晴らしい仕事をしているのですが、今後もっともっと面白くなりそうな造り手との取引も決めてきました!誠実で真摯、情熱や好奇心に溢れた人で、自身の理想に近づくために少しずつ準備をしてきたことが、ようやく来シーズンあたりから結実しそうな…。2MTのプロダクトと混載してコンテナーを組み、9月中にオーストラリアから出発させる予定です。こちらも楽しみにしていてくださいね!
それでは9月の新入荷案内その2&その3行きま~す!今回も非常に濃密な内容となっております!!!
【イル ヴェイ】
まずはイル ヴェイ!(ワインの)価格に対してコルクやボトルなどのマテリアルにかかるコストの占める割合が非常に高い彼らのワインの場合、マテリアル代の高騰とそれによる蔵出し価格の値上げは、弊社が設定する価格にも如実に反映してしまうわけで…。というわけで、1割程度の値上げを余儀なくされてしまいました。とはいえ、まだまだまだ圧倒的なコストパフォーマンスを誇るワインであることに変わりはないかと!
【ア マッチャ】
リグーリア州のア マッチャからは、2022ヴィンテージの白2種(ピガート&ヴェルメンティーノ)と絶品オリーヴオイルが届きました!ワインに関しては、未試飲の為ノーコメントで…。
ぶっちゃけますが、オイルはこの値段でも全然赤字です!オータ個人としては、このタッジャスカという品種が、最もエレガントで高貴なオイルをもたらすと考えております!是非!
【イル マイオーロ】
オータとの相性はあまり良くないタイプの天然キャラ(笑)、フランチェスコ トッレ率いるイル マイオーロからもワインが届きました!!
しっかり皮ごと醸したことに由来する重厚さがありつつも、飲み心地はあくまでも軽やかなステキ白、カンポ ディ ポンテは、2020年ヴィンテージの現地最終在庫1800本が。終売次第、一緒に届いた2021をリリースする予定です(こちらも抜群に美味しい~っ!)。
エミリアロッソ黒ラベル(バルベーラ&ボナルダ)の2006&2007とベージュラベル(バルベーラ&メルロー)の2009は、今回が最後の入荷になります!黒ラベル2005も、現地にあと1000本程を残すのみとなったようです(あとはマグナム!)!試算してみたところ、2005と2006ともに総計13000本近く輸入しておりました…。すでに終売している2004も合わせると、3ヴィンテージのワインだけで4万本近くを輸入してきたことになります。5年かかりましたが、彼のセラーをほぼ一掃できたのではないでしょうか。ご協力ありがとうございます!こちらも為替の影響での値上げ、どうかご了承ください!
特にカンポ ディ ポンテ2020、ベージュラベル2009、黒ラベル2007は瞬殺が予想されますので、お気を付けくださいね!
【イル モラリッザトーレ】
前回メルマガで紹介しました、獣医エンリコ&薬剤師アンドレアが営むイル モラリッザトーレが造る微発泡性ヴェスパイオーラ、ヴェスパイオ2019が終売したので、2020をリリースします。香り的にはおとなしいですが、味わい的にはもうすでにまとまっています!
併せて、現行ヴィンテージが売り切れたわけではないのですが、在庫も少なくなってきたので、2ワインの新ヴィンテージをリリースします。
ヴェスパイオーラで造るスティルワイン、ビッビーの2021は、フリウラーノなどにも通じるハーブを思わせる清々しい青い香りから始まるので、味わいも開いているのかと思いきや、まだややおとなしい気が…。なんにせよ、還元はしていないので、開くのも時間の問題かと!
そしてヴェスパイオーラを皮ごと醸したワイン、ブレスパ2016-17が終売間近(あと60本!)なので、2018をリリースします。このワインも、決して閉じているわけではないのですが、現段階では以前飲んだ時のような香りの爆発感には欠ける気がします。味も素っ気もなかったところから、今やいい感じになってきた16-17を飲みつつお待ちいただけると…。
【サンタ マリーア】
モンタルチーノの実験君、マリーノ コッレオーニのサンタ マリーアからは5ワインが入荷です。詳細は下記の通りとなります。
●ビアンコ アンソニカ2022:とても外向的で、もうすでに楽しい感じです!
●ロッソ トスカーナ2021(ロットsperanza1):アミアータ山の麓の信用のおける農家から買ったサンジョヴェーゼで仕込むこのロッソ トスカーナ。去年入荷したもの(ロットSPERANZA)は、その農家から買い付けたサンジョヴェーゼ100%なのに対し、今回入荷のsperanza1は、もともとはsperanzaと同一のワイン500リットルに、樽に入りきらなかったブルネッロ2021を100~120リットルほどブレンドしたものになります。
●セルヴァレッラ2021:剪定以外の作業は基本行わない、“放し飼いブドウ畑”のサンジョヴェーゼで造るワイン。ワインが持つ本質的な柔らかさや重苦しくない雰囲気は、マリーノの人柄に重なるものがあると思います。
●ブルネッロ ポッジョ サンタルナ2018&ブルネッロ サンタマリーア リゼルヴァ2017:2017ヴィンテージのブルネッロは、全量リゼルヴァとしてリリースすることに。どちらのワインも、尊大な雰囲気を湛えつつも、すでに恐ろしいまでの滑らかさを備えており、身体への浸透/親和具合がハンパないワインです。
【ラーチノ】
カラーブリア州のラーチノからは、マルヴァジーアで造る白、ジラモンドの2022ヴィンテージが到着です!こちらも未試飲なので、諸々ノーコメントという事で…。2400本届いておりますので、ガツンガツン使っちゃってください!
ラーチノにとっての2023年シーズンは、非常に厳しい年となってしまったようです。4月から5月にかけて毎日のように雨が降り、晴れの日が2日と続くことがなく、農薬を撒くために畑に入ることもできずにいたらべと病が蔓延…。そして7月には酷暑(42℃にまで達する日もあったそう)。そしてそしてディーノが去年購入した3haの畑の近くでは、山火事が発生…。ブドウの樹が焼失することはなかったものの、葉やブドウの房は全て枯れ落ちてしまったそう…。
“普通で平穏な”ヴィンテージが、非常に稀になってきていることは、あまり良い兆候ではないなぁと思うことしきり…。
【ラ カラブレッタ】
シチリアはエトナのラ カラブレッタからは、カッリカンテ2022、ロザート2022と彼らのフラッグシップ的ワイン、ヴィーニェ ヴェッキエの2014ヴィンテージが届きました!2014年は、イタリア本島は軒並み太陽に恵まれないヴィンテージでしたが、シチリア島的には非常にテンションが高い年ですので、楽しいことになっているはず!
*ブログ掲載時には完売しているワイン、商品がございます。予めご了承ください。
【新入荷】2024年3月その1(Massa Vecchia, Aia Vecchia,Shobbrook Wines, Il Colle) 【新入荷】2023年8月その1(Maison Maurice Cretaz,Ezio Cerruti,A Maccia,Alberto Anguissola(Case),De Bartoli) 【新入荷】2023年3月その2(Davide Spillare,A Maccia,Trinchero,Borgatta, AR.PE.PE.,Daniele Portinari,Cantine dell’Angelo,Il Cancelliere) 【新入荷】2022年11月その2(Ezio Cerruti,Bressan, La Castellada,A Maccia,Il Colle) 【新入荷】2022年10月その4(Stefano Legnani,L’Acino, A Maccia,Cristiano Guttarolo,Il Moralizzatore,Stefano Berti,Colle Florido, Lasserra)