ヴィナイオータ かわら版 五月女剛 ～その壱（新人）～

メルマガをご覧の皆様、初めまして。五月女剛と申します。昨年7月に入社をしました新人中年です。

ヴィナイオータには同じ苗字の女性のスタッフがもう一人おりまして、だだ商店のマネージャー（2022年3月現在）をしているのですが、その同じ苗字の通称アルコールおばけの女性は私の妻になります。そーなんです。夫婦でヴィナイオータにお世話になっております。約2年半前に妻がヴィナイオータに入社して以来、我が家の食卓には「日常に小さなスペシャル」が度々やってくるようになりました。そして、その頻度は日を重ねる毎に増えるようになりまして、時にはビッグ過ぎるスペシャルにも遭遇し、度肝を抜かれることもあります。社長オータのいう「身に着けるものよりも身に入れるもの」という生活が意識と無意識の両面で営まれているように感じています。

私たち夫婦(アルコールおばけ)は全国各地で飲み歩くことが好きで、妻の入社後、弘前、遠野、秋田、仙台、喜多方、松本、長野、徳島、高松、福岡、鹿児島などに行きましたが、飲み歩きのみならず、お取引させてもらっている生産者さん、飲食店さん、酒販店さんへも訪れ、お話をお伺いする度に、自分自身も深く関わりたいという気持ちが強くなり、入社に至った次第です。

前職は、エクストリームスポーツや横乗りスポーツ(特にスノーボードやスキーなど雪山が舞台のもの)の映像に関わる仕事をしておりました。ワインの輸入卸売業とは異なる仕事ではありますが、世界中にいる作り手(映像監督)より、それぞれの地域特性(多くの場合、自然の要素に大きく影響を受けます。降雪量、標高、斜面の角度や向き、雪質など)を加味したラインどりや、滑り手によって異なる独創性あふれる滑りのスタイルを、1年～数年かけて追った渾身の一作を預かり、日本のスポーツ専門店の方やファンの皆様に紹介するガイド役のような仕事で、自然の影響を強く受けたワインを造り手から飲み手につなげる仕事と何処か通ずるものを感じたりもしています。

前置きが長くなってしまいましたが、私の飲んでもらいたい1本は、タスマニアのファーマー兼ブリューワー、アシュリーとジェーンの二人で手掛けるトゥー ミーター トールの酸っぱうまのサイダーです。農場で栽培、採集、そして自然に存在する原料(微生物、水など)から、農作業の需要が最も少ない涼しい時期に農夫が農場で醸造する、とても栄養価の高い飲料作りを信条とする完全にファーマースタイルのブリュワリーです。

使っているリンゴは、イギリスのヴィクトリア朝時代のスターマー ピピンという品種で、貯蔵により風味が向上するという特徴とその保存性の高さから、冷蔵保存ができない時代に大変珍重され、1890年代にイギリスからオーストラリアに移住した開拓者たちが輸出用として持ち込んだのがはじまりとされています。

タスマニアのハオン ヴァレーで育てられたスターマー ピピンを、完全に熟成するまで待ち、丸ごと使用し、野生酵母によって自然発酵させたサイダーです。二酸化硫黄や防腐剤は不使用で、ノンフィルター、加水なし。つまりその土地が詰まったサイダーと言えると思います。

日本でもクラフトサイダーを飲めるところが少しずつ増えてきたようにも感じますが、トゥー ミーター トールのハオン ファームハウス ドライ サイダーは、どんな料理とも合わせ易く、日々の食事のスターターとして我が家では大変重宝しております。とってもドライでさわやか、すっきりと清々しい飲み心地で、甘さのない独自の酸味が、食欲を増進してくれると思っています。そして飲む度に新たな印象が加わるのは、ボトル毎に若干性格が異なるからなのか、そんな違いも楽しみのひとつです。

最近では、すきやき、トムヤムクン風味の鍋、中華風カツオのたたき、豚肉とプチヴェールのバルサミコ酢炒め、極め付きは、浅草にある大好きな焼肉屋さんをイメージした牡蠣の塩辛などと一緒にいただきました。

ボトルには、1本ごとに醸造年、瓶詰め日、ボトルナンバーが印字されています。現在販売中の2019年は、ボトリングしてから約10か月経っていますが、 2018年に比べてよりドライ、さらに熟成したらより楽しくなる雰囲気もあります。その土地を体現しているかのようなサイダーをぜひ皆様にも是非味わっていただければと思います！

≪五月女剛の飲んでもらいたいサイダー紹介≫
銘柄：Huon Farmhouse Dry Cider 2019 (375ml / 750ml) / ハオン ファームハウス ドライ サイダー
造り手：Two Metre Tall / トゥー ミーター トール
地域：豪 タスマニア島
品種：スターマー ピピン
希望小売価格(税抜) :1,300円 (375ml) / 2,600円 (750ml)