ヴィナイオッティマーナ2022【造り手セミナー】トゥーミーター トール
①セミナー動画 (質問コーナー|11:10~)
ヴィナイオッティマーナ2022 P7 DAY1に行われたセミナーの様子です。今回来日したのはオーストラリア タスマニア島のビールの造り手、トゥー ミーター トールの当主のアシュリーです。ブリュワリーは奥さんのアシュリーと2人で営んでおり、原材料の生産から、醸造、販売までを一貫して行っています。もともとは、南フランスでブドウ栽培やワイン醸造の仕事に就いていましたが、オーストラリアでのブドウ栽培やワイン醸造という夢を抱き、一家でタスマニアへ移住し、農場をスタートさせ、ワインに代わって、ビールやシードルを醸造するようになります。
プロダクトに使われる原材料、穀物は自身の農園で収穫したものか、タスマニア島の生産者のものを使っています。醸造にはブリュワリーの近くを流れるダーウェント川や、雨水を溜めて濾過したものを使っています。つまり全てタスマニア産のもので醸造しています。
②造り手紹介 (00:40~)
トゥー ミーター トールの造り手紹介、詳しくはこちらから。
③造り手への質問と回答
Q1. 取引を開始したのは、最近ということもありますので、改めてバックグラウンドについて教えてください。出身地や、なぜ、フランスに行ったのか?なぜ、タスマニアという土地を選んだのか?などなど。(4:26~)
A1. 簡単にまとめると、僕の頭にある次のアイディアが、今のアイディアになるということです。僕はすぐにワクワクしたり、素敵な材料を見たら使いたくなるし、食べたくなるし、飲みたくなるし、寝られなくなります。1つ問題があってそれは、ワインはブドウでしか造れないことです。ビールはブドウでも造れるし、世界は素敵な材料で溢れているので、ブドウだけに限定するのはあまりにももったいないと思います。僕は全てを発酵させたいんです。ちなみに、今醸造しているビールは、牡蠣、ムール貝、海藻や海水を使っています。(太田によると、めちゃくちゃ美味しいとのことです!)
出身地についてですが、僕はオーストラリア生まれですけど、タスマニア島ではありません。23歳の時にタスマニア島で飛行機を降りた時に、なんだか「家に帰ってきた」という気持ちになったんです。今まで一度も来たことはなかったのに、自分の家の香りがしたんです。
なぜフランスに行ったかというと、タスマニア島に自分の家を見つけたから、美味しい料理やワインを楽しみに行きました(笑)そうすれば、家に帰ることこともできるし、家に帰ることってとっても素敵なことだと思うんです。みなさん、日本に招待してくれてありがとう、また僕は家に帰ることができるからね!(笑)
Q2. ブドウ栽培とワイン醸造ではなく、ビールやシードルの醸造にシフトしたきっかけはなんでしょうか?(10:45~)
A2. 実はまだワインを造らないとは決めていません!(笑)フランスから帰ってきたときに、タスマニア島でブドウ畑に最も適した場所は探して、その土地を購入しました。600ヘクタールの土地ですが、本当に興味があったのはそのうちの2ヘクタールだけでした。
その土地では、ホップが栽培されていました。僕は初めてホップを見て、とっても興奮しちゃったんです!ホップの香りはすばらしいですし、もうこれを使わない手はないと思いました。ブドウの樹を植えてから収穫するまで3年かかるので、その間にビールを醸造しようと決めました。
ブドウに関しては種類やテロワールなどの質問をしますよね、それと一緒で僕はホップについて色々と質問するようになりました。その時に気が付いたんです、何でも使っていいんだということに、かぼちゃを使ったっていいわけです。
色々な材料を発酵させて造るにはビールが最適だと考えています。皆さんワインについては、ブドウの種類やテロワールの質問をするのに、ビールにはどんなホップが使われているのか、その土地の特性などには無関心なのです。僕はもっとみなさんがビールに興味を持って、ワインと同じようにビールにも質問を投げかけてほしいと思っています。
ビールは大量生産で造られるものではなく、ビールは農場で育てられた素晴らしい材料や、野生酵母による発酵、長期熟成、複雑味から造られるものが、最高な「ワイン」だと思います。
Q3. 今、新しく取り組んでいることはありますか?(20:04~)
A3. はい、あります(笑)・・・僕とジェーン(奥さん)だけで作業しているので、やりたいことを全てはできていません。周りには「ならばは人を雇えばいいじゃない」と言われますが、自分自身でやりたいのです。自分でやることで、新しく見えるものもありますから。僕はお世辞にも商売が上手いとは言えないですし、お金を稼ぐことは二の次、だけれども全て自分でやって感じたいんです!
④まとめ
素敵な材料に巡り合うと好奇心に突き動かされるアシュリーの行動力や、ビールに対してもワインと同様に疑問を投げかけてほしいと思っている彼の想いが強く印象に残っています。予想もしない材料から自らの手で造り出すプロダクトがこれから沢山リリースされると思うと、インポーターとしてはもちろんですが彼のファンとしても楽しみで仕方がありません!(担当:中林)