【ピリオド3 DAY2|2022/12/12(月)】参加造り手&飲食店

<ヴィナイオッティマーナ2022 ~ピリオド3~>

【開催日時】
DAY2:2022年12月12日(月) 10:00~17:00

【会場】
だだ商店 だだ食堂(茨城県つくば市流星台56-3)

【タイムテーブル】
9:30 受付開始
10:00 開場
10:45- 造り手セミナー①<La Biancara>
11:15- 造り手セミナー②<Pierpaolo Pecorari>
12:00-15:30 大食堂
16:00- 造り手セミナー③<Valter Mlecnik>
17:00 終了

-参加造り手-

Cantina Giardino(イタリア / カンパーニア)

造り手:Antonio di Gruttola, Daniela De Gruttola / アントニオ ディ グルットラ、ダニエラ デ グルットラ

元々エノーロゴ(醸造家)として大手ワイナリーで働いていたアントニオは、家族や友人のためのワインを買いブドウで自家醸造していました。さまざまな近隣農家を訪ねていくなかで、生産効率や収量をあげるために樹齢の古いブドウ樹を抜いてしまい、新たに畑を仕立て直す農家が多いのを目の当たりにします。そんな生きる文化遺産とも言える高樹齢ブドウ樹を守るため、穫れるブドウを市場価格よりも付加価値を付けて買うことに決めました。

そして、アントニオと5人の仲間が集まり、各々が投資してワイナリーをスタートし、信頼の置ける栽培農家から購入したブドウだけでワインを生産することに。取引する農家は元々自然環境に寄り添った農業を行っていましたが、アントニオの助言もあって、草生栽培や無施肥での栽培、さらには自らワインを生産&ボトリングするなど、全体として新しく前向きな流れが生まれています。醸造面では、知的好奇心溢れるアントニオらしく、白ワインにも皮ごとの醸し醗酵を行い、キュヴェによっては酸化防止剤も完全無添加でボトリング、そしてアンフォラ(テラコッタの壺)での醸造なども積極的に試しています。

La Biancara(イタリア / ヴェネト)

造り手:Angiolino Maule / アンジョリーノ マウレ

「森に肥料を撒く必要ないよね?」このアンジョリーノの一言が、「ワインの中にある個性のほとんどはセラーではなく畑由来であるべき」というヴィナイオータのワイン観の根幹を形作り、ともに成長してきたと言っても過言ではありません。

ヴェネト州のガンベッラーラ(ソアーヴェの隣の生産地域)で生まれ育ったアンジョリーノ。若い頃に働いていた工場で、奥さんのローザマリーアと知り合って結婚し、ワイナリー創設の夢を果たすべく、2人でピッツェリアを始めました。お店は大繁盛し、80年代前半から畑を買って家を建て始め、1988年にラ ビアンカーラとして初めてボトリングします。

ある日ヴィチェンツァの酒屋でヨスコ グラヴナーのリボッラ ジャッラに出会い衝撃を受け、暇を見つけてはフリウリ オスラーヴィアまで通うようになります。そこから、ラディコンやラ カステッラーダ、ムレチニックたちが集い、毎回激論を交わして刺激しあいながら、お互いがより自然な造りのワインを目指すように。これがイタリアにおけるヴァン ナチュールのグループの出発点となりました。

彼が畑とセラーでドラスティックに進めてきた改変の連続はすさまじいもので、元々栽培方法は除草剤などの農薬は使用せず完全無施肥ではありましたが、微生物叢のバランスを整えるためビオディナミやEM菌に切り替えたり、ボルドー液さえも排除した農業を試しています。当初から少量しか使用していなかった酸化防止剤についても、なるべく完全無添加でのボトリングを目指しています。

La Castellada(イタリア / フリウリ ヴェネツィア ジューリア)

造り手:Nicolo Bensa, Matteo Bensa / ニコロ ベンサ、マッテオ ベンサ

父親が経営していたトラットリア用のワインを仕込んでいたニーコ&ジョルジョ ベンサ兄弟、1985年からボトリングを開始します。近所にグラヴネルやラディコンなど刺激し合える相手に恵まれ、お互いに切磋琢磨しながらワイン造りをしてきました。

ボトリング開始当初はステンレスタンクで培養酵母を添加し、温度管理しながら醗酵させ、酸化防止剤の添加&目の細かいフィルターでのボトリングという、いわゆる「トラディショナルな造り」をしていました。しかしながら、1980年台後半~90年台前半にかけて、樽内でのアルコール醗酵&熟成を採用することで、醗酵温度が高くなり野生酵母だけでも十分に醗酵が進むことから、培養酵母の添加をしなくなります。1995年頃からは白ワインの生産に皮や種ごとの醸し醗酵を始め、大樽を導入し始めました。醸しについては、長期間の醸しはブドウの品質が本当に良い年のみに許されるという考えに至っています。

ラ カステッラーダというワイナリーはラディコンやグラヴナーのラディカルさに比べると、どちらかと言えば小さく確実にひとつひとつの歩みを進めてきました。造りはラディカルであっても、毎年買ってくれるお客さんが彼らのワインに期待するものから大きく逸脱したものは造るべきではないというプロとしての矜持を貫いているからです。そのため、彼らのワインからは普遍的な味わいを感じられ、自然な造りのワインのなかでも架け橋のような役割を担っています。

Pierpaolo Pecorari(イタリア / フリウリ ヴェネツィア ジューリア)

造り手:Alessandro Pecorari / アレッサンドロ ペコラーリ

フリウリ ヴェネツィア ジューリア州、ゴリツィアの西8km、サンロレンツォ イゾンティーノで、現当主アレッサンドロの父ピエールパオロが祖父から引き継ぐ形で1970年に始められたピエールパオロ ペコラーリ。

ワイナリーには祖父が植えたレフォスコやマルヴァジーアの地品種に加え、1980年代からシャルドネやソーヴィニョン ブラン、メルローといった国際品種も植え、30ヘクタールの広さの畑で創業当初から有機栽培を実践しています。有機堆肥の使用は極少量のみですが、環境に配慮し自分たちで完熟させてから使用。ピエールパオロは、ラディコンのスタンコやカステッラーダのニーコと同じ時代に醸造学校で学んでいた同級生でした。

現在は息子アレッサンドロと妻クリツィアにワイナリーは引き継がれ、樹齢の若いブドウから収穫されフレッシュなワインとして仕上げられた「クラシックシリーズ」、クリュ名付きで木樽を使って熟成を行う「クリュシリーズ」、高樹齢のブドウから造られる熟成期間を十分にとったワイン「セレクションシリーズ」と3つのラインから年間約20万本のワインを生産しています。

Valter Mlecnik(スロヴェニア / ヴィパフスカ ドリーナ)

造り手:Klemen Mlecnik / クレメン ムレチニック

フリウリ ヴェネツィア ジューリア州からイタリアとの国境を越えて、車で10分程のヴィパーヴァ渓谷に彼らのワイナリーはあります。社会主義国家時代に政府に没収されたヴァルテルの祖父の私有地であったブドウ畑を含む土地を徐々に買い戻し、1989年にそれまで桶売りしていたワインの自家ボトリングを始めました。

当初より除草剤や殺虫剤といった薬剤や化学肥料を使用せずにブドウを栽培していましたが、ヨスコ グラヴナーに出会った1993年以降は彼のブドウ栽培&醸造哲学に共鳴し、それを実践しています。2005年からはボルドー液も使わないブドウ栽培を開始。

ひと株ごとの収量の制限、野生酵母による醗酵、温度管理&空気調節や清澄作業を行わずに醸造し、二酸化硫黄の使用も瓶詰め時にごく少量のみと、彼らの祖先が残した伝統と自然への最大限の敬意を持って、よりブドウそのものの個性やテロワールを反映した自然なワイン造りを目指しています。畑では、シャルドネ、レブラ(リボッラ ジャッラ)、ソーヴィニオナス(フリウラーノ)、マルヴァジーア イストリアーナ、ピネラ、メルローを栽培し、年間約12,000本のワインを生産しています。

-参加飲食店-

Carapan (岡山)

料理人:Hidekazu Tsubota / 坪田 英和

岡山市のローカルな商店街のなかにあるイタリア料理店。食材は岡山や近隣の生産者さんのものを中心に、自然栽培『かしら農園』さんや無農薬&無化学肥料『飯山農園』さんの野菜に始まり、『吉田牧場』さんのチーズや『梶岡牧場』さんのブラウンスイス牛、瀬戸内海産の新鮮な魚介など。2022年、これまでの生産者さんたちとの出会いを通して、旬の食材をその瞬間に味わえる生きた料理、坪田さんらしい料理をさらに表現するため、開店当初から20年以上通してきたアラカルト中心のメニューを、おまかせコースへと切り替えました。

da olmo (東京)

料理人:Yukihiro Kitamura / 北村 征博

東京 神谷町で10年。シェフの北村さんが修行したなかで一番感銘を受けたという、北イタリア トレンティーノ アルトアディジェ州の郷土料理を軸に、国内の食材をこだわりを持って選び抜き、季節感溢れる滋味深い、また食べたくなる料理をコンセプトに提供しています。オーストリアやドイツの流れを汲む、保存性が高く手間ひまかけた「山の料理」が特徴。新宿三丁目の客席70席の『トラットリア ブリッコラ』でシェフを任されるなかでソムリエの原品 真一さんと出会い意気投合、一緒にダオルモをオープンしました。斬新さや派手さを重要視せず、「主語はお客様」を合言葉に厨房、ホールが一体となった三世代で楽しめるレストランを目指しています。

六徳 恒河沙 (大阪)

料理人:Munehide Tominaga / 富永 宗秀

大阪 福島の路地裏にある改装された一軒家、洗練された町中華とも言える『六徳 恒河沙(リットク ゴウガシャ)』の赤ネオンが光ります。料理人の富永さんは、高校卒業後に勤めた飲食店の配属先がたまたま中国料理でしたが、それがきっかけで本格的に中国料理の世界へと入っていきます。2015年にオーナーシェフとして独立し、カウンター9席の小さなお店からスタートしました。2019年、新福島駅近くの現在の場所へと移転。多様な醤と唐辛子をふんだんに使い、辛さと痺れのきいた「麻辣」の味わいを生かしながら伝統料理と向き合います。

​ワインショップ&スタンド スロウカーヴ (岡山)

サービス:Takayuki Watanabe / 渡邉 隆之

スロウカーヴはワインショップに6席だけのワインスタンドが併設されたお店。イタリア&フランスを中心に、小さくても偉大な造り手のワインを300種類ほど取り揃えています。ワインの購入はもちろん、昼下がりや夕暮れ時のスタンドでのちょい飲み、レストランでのお食事の後の1杯など、自由な使い方で楽しむことができます。

「大きな身体と大きな心」渡邉さんは現在ではワインショップのオーナーとなりましたが、東京と岡山の第一線で活躍してきたサービスマン。発想力、独創性、ホスピタリティ、今の時代のレストランシーンに最も必要な要素を持っていて、人が大好きで、人と人の間に立つことを苦にしない、生来のサービス人といえるでしょう。

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