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2023-05-20

ヴィナイオータかわら版~小竹編 その三~

だだ商店だだ食堂の小竹です。いつもありがとうございます。

もう2か月前の話になってしまいますが、やはり触れずにはいられない弊社一大イベント『ヴィナイオッティマーナ2022-23』は沢山の方のおかげで無事に終了となりました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。振り返るにも、どこから始めてどこに着地すればいいのかと。まだ、ぼんやりとのぼせたような心地であることも確かです。ですが今回の体験を通して、さあこれからどうしていこうかということを考えるとそうもいっていられません。

だだ商店だだ食堂のSNSでは、お店を代表して長々しいご挨拶をしましたが(お前は短歌や俳句文化のある国に生まれたんじゃないのかと、度々自分にツッコミたくなります)。個人的には、「この人たちと長く関われる仕事がしたい!」という一言に尽きるような気がします。ワインの造り手、料理人と飲食店、インポーター、酒屋、お客さま…etc. 結局のところその「この人たち」というのはこの業界の人たちだけではなく、とても広義的なことも自明なのですが、誰かの熱意や覚悟を次の人や世代へ受け渡すような仕事がしたい!といったところでしょうか。環境整備、場づくり、雰囲気づくり。そういう“しごと”がしたいと、沢山の皆さまと関わり改めて確信することが出来たような気がします。とにかく日々邁進します!どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

そうして、3回目のかわら版執筆が回ってきまして(その1:メゾン ヴェヴェイ アルベールのブラン ド モルジェ エ ドゥ ラ サッレ、その2:フランチェスコ ブレッツァのヴィーノ ロッソ5L瓶)ほかのスタッフのかわら版と被りが無いようにと考えるとなかなか難しく…ですが、今。もし、自分が日頃立っているだだセラーで今まさにこの時季にご紹介するとしたら…ということで。我らがGM岸本も以前紹介していましたポッサウ ネイグル2015をもう一度取り上げさせていただきます。

●以前掲載した岸本のかわら版は以下リンクからご覧いただけます!
https://vinaiota.com/possa/3516

リグーリア州 リオマッジョーレ・チンクエテッレ の断崖絶壁にブドウ畑を持つ、ポッサ(ハイディ ボナニー二)の栽培と醸造環境の過酷さといえば、前述のGMのかわら版などでも、確認できるかと思います。今回のかわら版では、ヴィナイオッティマーナが終わった今、なぜこの一本をご紹介したいかという理由と自分が思うこのワインの理想の飲まれ方(?)の二点をお伝えできればと思います。

二点と言いましたが密接な関係がありそうで、ほとんど一つのことのような気もします。以下、書きながら確かめていきます。なぜこのワインを選んだのかというのは、結局ヴィナイオッティマーナで得た感触に近い所に戻って来るのですが…「造り手に実際に会ったことでよりワインが…!!」って、(極論)会ってないと分からない、って滅茶苦茶寂しくないですか?と感じました。普段から、もっと思いを馳せることって一体できないんでしょうか?ということです。

であれば、オッティマーナで会った造り手との思い出エピソードではなくて、まだ会えていない造り手に於いても、そこでどんな人がどんな思いでどんな覚悟で暮らしているのかを知りに行けないかという、自分にとっての試みでもあります。幸い自分たちにはボトルに詰められたワインがあります。その一部分の一杯100mlを切り取っただけで、その先にいる人たちの生活や人柄を体験した気になれるとも、到底思えなくなりました。これが、この“一本”を選んだ理由です。

それを踏まえて、このワインの個人的な理想の飲み方です。ウ ネイグルに使われるブドウはボナミーコ とカナイオーロの二種です。引き締まった酸、土の香りもある果実味と短めの余韻。そして、畑の立地による潮風をそのまま喰らったかのようなミネラル感。暖かい南風が吹き植物が緑づく季節、冷やして太陽を燦燦と浴びながら飲みたくなるワインです。グラスワインとしては、ちょっと骨格のある白ワインの後に、やや苦みのあるお野菜の料理と一緒にパツッとリフレッシュに一杯。とはいえ結局、ミステリアスな雰囲気と小ぢんまりとした素朴さはもう一杯とついついなりそうです。

でも、自分の理想としては“一本”丸々で楽しんで頂きたいです。数人なら、気楽に一本飲むことのできる軽快さと、ボトルの上から下まで一本とことん付き合う楽しさ(一点目の話ですね)。冷やして飲みたいキュートな軽めの赤、他の赤ワインにはない表情は、特にだだ商店で推奨している「昼飲み」にも最適かと思います、実際に結構普段から推してます。もちろん、ご家庭やピクニックだけでなく、飲食店さんのボトルワインでも、白から赤のトランジションにこの時期一役買ってくれるはずです。

ブドウ品種のボナミーコは、“ナイスな友達”の意。皆さんのもとへワインがいい旅できますように~。

≪小竹の飲んでもらいたいワイン紹介≫
銘柄:U Neigru 2015(L.1/2015) / ウ ネイグル2015(L.1/2015)
造り手:Possa / ポッサ
地域:伊 リグーリア州
ブドウ:ボナミーコ、カナイオーロ
希望小売価格(税抜) : 4,000円

 

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