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2016-04-08

造り手紹介 Ezio Cerruti / エツィオ チェッルーティ

造り手:Ezio Cerruti / エツィオ チェッルーティ
人:Ezio Cerruti / エツィオ チェッルーティ
産地(州):ピエモンテ
ワイン:Sol、Fol
所在地:Strada Comunale Balbi, 8,12053 Castiglione Tinella(CN) – Italia <Map>

Ezio_Cerruti_ba_01

伝統的に高品質のモスカートを産する土地として有名だった、カスティリオーネ ティネッラにあるエツィオ チェッルーティの始めたワイナリー。2001年からワイン生産を開始。それまでは町にある協同組合ワイナリーで働く一方で、生産したブドウもそのワイナリーに売っていた。6ヘクタールの畑を1人で耕作し、モスカートのみを栽培している。ボルドー液以外の農薬は一切用いない有機農業を実践。8月の下旬から9月の上旬、モスカートが完熟する頃、ブドウのついた枝をブドウ樹から切り離すための剪定を行い、そのまま畑の中で雨風にさらされる状態でブドウを乾燥させ、約2ヵ月後に収穫を行う。除梗し、圧搾して出たモストは樽へと直接入れられ、培養酵母、2酸化硫黄ともに全く添加しない状態で、2年の歳月をかけゆっくりと醗酵させる。ボトリング前に若干量の2酸化硫黄を添加、ノンフィルターでボトリング。2004年は3500本生産。

畑を見せてもらった時の彼のひと言目が面白かった、畑のパノラマが広がる景色に手を広げながら、
”まずは、ピエモンテで一番除草剤の使用量の多い地域へようこそ!”。
実際、彼の住むカスティリオーネ・ティネッラは、モスカート・ダスティ、アスティ・スプマンテ用のモスカートを生産する地域で、これらのワイン自体、イタリアワイン全体の中でも最も工業的に生産されているワインと言え、それに使われるブドウも多かろう良かろうという考えのもとで生産されています。より多くの収量を得るために大量の化学肥料が投入され、除草の手間を省くための除草剤、雨がちの年でも見た目的に完璧なブドウを作るために防カビ剤が使用されています。伝統的にはこの町の辺りでは良質なモスカートが生産されていたそうですが、今となっては見る影もありません。
遠くの方の畑を指差して、”あっちの畑でどこが僕の畑か分かるかい?”と聞いてきました。もちろん分かりますとも、あの真緑に見える畑でしょ、他の畑は春なのに雑草の色が赤茶色(除草剤をかけられた雑草って赤に近い茶色をしていて、自然に枯れた時の色とは全く異なります)してますもん、と答えたら彼ニヤリ。

Ezio_Cerruti_ba_02

畑仕事が遅れ気味で、本当ならトラクターでうなっちゃい(うなう、耡うと書くようです)たいんだけど、あんまりにもタンポポが見事に咲いてるからできないんだよねー、とエツィオ。

Ezio_Cerruti_ba_03

畝が野菜畑になってます。ルーコラにいたってはそこらへんに有難味無く生えている。

写真を見ての通りで、彼は除草剤などは使わずに6ヘクタールの畑を1人で維持しているそうで、農繁期は1日中畑に出ていて家にいることはまずないとの事。
彼のパッシートの造り方も説明してもらいました。

Ezio_Cerruti_ba_04

9月中旬、モスカートが完熟する頃、上の写真一番手前の樹でいうと、一番右のタンポポで見えづらくなっている葉っぱとその左隣の葉っぱの真ん中辺りを切ってしまいます。
切られた枝の方も蔓が針金に絡まっているので落ちることはありません。その状態で、1ヶ月そのまま放置して天日干しにします。そのブドウをセラーに持ち込み、プレスし、モストを使い古しのバリックに入れ、あとはそのままモストのしたいようにさせる。当然培養酵母も使わず、醗酵・熟成段階には2酸化硫黄も添加しないし温度管理も行わない。約2年の熟成の後、若干量の2酸化硫黄を添加してボトリング。
以上、実にシンプル。
それまでもブドウ生産、ワイン造りはやってきていたが、2001年が自身のワイナリーとしてのファーストヴィンテージ、2002年は多雨だったため全く生産せず全てのブドウを大きなワイナリーに売却したということで、僕が飲んだ2003年はなんと2ヴィンテージ目にあたる。何たる完成度!!
家に戻り、2001、2003と前の日ボトリングしたという2004を飲ませてもらう。なるほど、トリンケーロが2001を絶賛していた訳も分かった。アンジョリーノの良年のレチョートに通じる、甘いが甘すぎないというか、甘いのに辛口のワインに感じる雰囲気を感じると言うか・・・。本人も言っていたが、2004年は2001年にタイプとしては似てるかも。
とても気に入ったので、その場でオーダーしてしまいました、彼の生産量の2割に当たる600本!
飲みながらいろいろな話をしました、趣味、造り手の友達、好きなワイン等など。ザ・クラシック・バロリスタ、ジュゼッペ・リナルディやカッペッラーノなどと親交が深く、特にリナルディとは一緒にバイクでツーリングに行ったり、会っては音楽や本の話をしたりするそうで、収穫とかも手伝ったりするそうです(彼の収穫時期と重ならない時があるので可能)。
彼自身、ネッビオーロを愛してやまず、できることなら将来バローロを造ってみたいって言ってました。うーーん、気持ちわかるなぁ、とますます意気投合。再び彼の造るパッシートの話に戻った時、彼が、”実は、いちパッシートの造り手として、挑戦してみたいブドウ品種があるんだよね”。
まままままさか、リから始まるあれですか?と僕。”そう、リースリングだよ。”と彼。
おーーーっと、リースリングといえば、僕は”ところでシュレールって知ってる?”って聞いたら、
彼のリビングに唯一飾ってあったボトルがこれだ!シュレールのゲヴルツトラミナーS.G.N.の1989でした!!
こうして僕達は完全に分かり合ったのであった。

Ezio_Cerruti_ba_05

セラーに行って、2005年、2006年のパッシートを飲ませてもらう。2006年は面白いことをしていて、貴腐の付いたブドウはそれだけを集めて1つの樽で醸造していました。普通に干されたブドウからできたパッシートとは味わいの面でも大きく違い興味深かったです。
それ以外に飲ませてもらった、彼の友達が作るソーヴィニョンとセミヨンを貰って、ちょっとだけ造ったという白(サッサイア級の飲み心地)、その友達に無理矢理造らせたというカベルネフランのキナートも飲ませてもらう。このキナート、糖分を全く添加していないので当然辛口で、飲みづらいかと思いきや、ベタ甘よりはなんぼか素敵な飲み心地がありました。ちょっとカルチャーショックな味覚体験でした。
彼がカッペッラーノから聞いた話によると、昔はモスカートでもキナートを造っていたそうで、いつか彼も造ってみたいって言ってました。それ以外にも、まっとうなモスカート・ダスティを造る事にも挑戦したいという話をしていたので、きっと彼が造りたいワインに最も近いものといえば、イル・ブォンヴィチーノのTazioだと考え、ロレンツォ・コリーノとイザベッラの事を彼に話したら、なんとロレンツォの弟とはすごく仲がよいということで今度ロレンツォを訪ねてみるとの事。いやー、自分が認める人たちが仲良くなったりしてくのを見るのは痛快です。

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2022-09-01

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イタリアから帰国してまだ2週間ほどしか経っていませんが、余韻に浸る間もなく、次のイタリア出張を画策しているオータです。今回の2週間の旅で、取引をする造り手のうち約3割にあたる軒数を訪問できたのですが、全員を訪ねるのにはあと2~3回の旅が必要…。すでに3年以上訪ねてないところもあったりしますので、 ... 続きを読む

2022-05-26

【新入荷】2022年5月その1(Casa Coste Piane,Fonterenza,Radikon,Gravner,Il Cavallino,Ezio Cerruti,Nicolini,Bressan,Cantina Giardino,Le Boncie,Arianna Occhipinti,La Calabretta,De Fermo,Lasserra)

先日、取引先の酒販店さまが弊社ワインの試飲会を企画してくださったので、福岡に行ってきました。まだ正当な評価を得られていない造り手のワインばかりのマニアックな試飲会だったのですが、沢山の方にお越しいただきました。自社企画の試飲会をほとんど全くやらないことで悪名高いヴィナイオータですが、ゾーンや造り手を ... 続きを読む

2021-09-13

【新入荷】2021年8月その2(Radikon,Davide Spillare,De Bartoli,Ezio Cerruti,Cantina Giardino,Cantine dell’Angelo,Possa,Nicolini,Camillo Donati)

“挑戦者(?)&料理人求む!” だだ食堂のシェフが6月いっぱいで退職しちゃいまして、ディナー営業開始という次なる目標が視認できないところにまで吹き飛んでしまい、少し途方に暮れているオータです。 もともと3人だった調理スタッフが2人になったわけですから、大きな戦力ダウンではあるのですが、前 ... 続きを読む

2021-07-28

【新入荷】2021年7月その1(Bartolo Mascarello,Fonterenza,Cascina Roccalini,Ezio Cerruti,L’Acino)

クラシック バローロ界の大御所中の大御所、バルトロ マスカレッロからも新ヴィンテージのワインが届きました!価格は相も変わらずうなぎ上りなわけですが、世界的な市場価格はリリース直後にもかかわらず、弊社が設定するいわゆる上代を軽く凌駕(2倍以上!)するものになっています…。少々虚しい気持ちにもな ... 続きを読む

2021-03-25

【新入荷】2021年3月その3&4月その1(Vodopivec, Ezio Cerruti, Il Moralizzatore, De Fermo, La Calabretta, Brezza, Il Vei)

ヴィナイオータ本社の隣にあるだだ商店だだ食堂、ランチ営業を開始し早3ヶ月が経とうとしているのですが、ようやく安定感みたいなものが出てきた気がして、ホッと一安心なオータです。1日30食限定の定食を提供、主菜の内容によって価格が2100~2600円くらいの間で変動する感じになっています。つくばという地方 ... 続きを読む

2020-09-17

【新入荷】2020年9月その2(Cerruti、L’Acino, Possa)

Mr.モスカート、エツィオ チェッルーティの辛口モスカートの酸化防止剤無添加Ver.フォル ゼロ2017年が再入荷です!実はこのフォル ゼロ、今年の4月には日本に届いていたのですが、兄弟分であるフォル2017年(少量の酸化防止剤を添加したVer.)の在庫を減らす目的で、弊社倉庫への入庫を控えておりました(笑)。 (さらに…)

2019-12-20

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これが2019年最後のご案内だなんて…時の流れの速さにただただ唖然としているオータです。毎年慌ただしくないことのないオータではありますが、今年はことのほか激しかったような気が…。判断・決断は比較的早い方だと思うのですが、日々迫られるそれらの圧倒的な数たるや、なかなかなものがありました…。とはいえ、ス ... 続きを読む

2019-11-15

【新入荷】2019年11月その2(Ezio Cerruti、Pierpaolo Pecorari、Sabadi)

個人であれ会社であれ、短期的なもの長期的なものにかかわらず、ゴールがある程度明確な目標は、(目標を)見失う事なく達成へ向けてひたすら邁進していくべきものなのに対し、自身で掲げた信条や信念など人生を通してほぼ恒久的とも言える類の目標は、コロコロ変えるよりはブレずに貫き続けていくのが理想的だと思うのです ... 続きを読む

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ヴィナイオータ かわら版 ~桑原編 その弐~

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【エツィオ チェッルーティ】 Mr.モスカートことエツィオ チェッルーティからは、辛口に仕上げたモスカート、フォル2016の酸化防止剤添加Ver.とフォルの微発泡版リフォル2016の2回目ボトリングVer.が届きました! リリース当初からキャッチーなまでにキュートで味わいの整っていた ... 続きを読む

2018-07-03

【新入荷】2018年7月 その1(Davide Spillare、Podere Le Boncie、Barbacarlo、Ezio Cerruti)

出張に出ると当然のことながら色々な方に出会うわけですが、中にはオータ(ヴィナイオータ)の仕事に対して多大なる敬意を払っていることを表明してくださる方もいて、非常に光栄な気分になる一方で、オータに対して敬意を通り越して恐れ(怖れ?)のようなものを感じている方も時々いらっしゃり、少々戸惑ってしまう事があ ... 続きを読む

2018-01-15

【新入荷】2018年1月 その1 (Casa dei Tajarin、Domeine des Miroirs、Ezio Cerruti)

昨年は皆様には大変お世話になりました。オータ個人としては非常に考えさせられることの多い年でした(いつもという噂も…)。昨年得た反省点や学びを必ずや本年へと反映させ、昨日よりはマシなオータになれるよう精進していく所存ですので、どうか見限らないでくださいね(笑)。 ヴィナイオータも今年でな ... 続きを読む

2016-10-07

【新入荷】2016年10月 その2

トリンケーロに続き、ご近所のもう一人のエツィオからもワインが届いています!! 自身の生まれ育った地域の土着品種である、モスカートの可能性をとことん追求する男、エツィオ チェッルーティは本当にチャーミングで、素晴らしいバランス感覚の持ち主。チェッルーティを代表するワインである天日干しモス ... 続きを読む

2015-10-27

【新入荷】2015年10月その4(Vevey,Ezio Cerruti,Alberto Anguissola,Ferrandes)

今回の旅でトライしたいと思っていたことのひとつに、「旅をしながら、新入荷の文章を書く」というのがあったのですが今現在、旅の9割がたを終え、サルデーニャに向かうヴェネツィアの空港でようやく書き始めることができました(笑)。毎日、その瞬間瞬間が濃密すぎる上に、ない脳みそを駆使してイタリア語で自分を表 ... 続きを読む

2015-01-30

【新入荷】2015年1月その4&2月その1(De Bartoli,Stefano Legnani,Trinchero,Ezio Cerruti,Daniele Piccinin,Monastero di Vitorchiano,Bressan,Domeine des Miroirs)

デバルトリ兄妹の珍しい3ショット!左から長男レナート、末っ子ジュゼッピーナ、次男セバスティアーノ まだまだ新入荷は続きます!!!オッティマーナ前にあと2回、イベント後に3回分のワインが控えておりまして、当然のことながら、ツアーの最中に文章を書くことはできませんから、始まる前までに書き溜めて ... 続きを読む

2014-07-29

【新入荷】2014年7月その2(Domeine des Miroirs,Camillo Donati,Daniele Piccinin,Ezio Cerruti,Accomasso)

エツィオ チェッルーティ この文章を書いている2日後には西表島にいるはずなのですが、台風直撃との噂もあり、目的地まで到着するかも危ぶまれているオータです。 皆さんからのリクエストの本数に対して、入荷本数があまりにも少な過ぎて対応に困る点において、最強の2生産者からワイン(+α!)が届 ... 続きを読む

2014-01-11

【新入荷】2014年1月 その1 (Case Corini,Bressan,Ezio Cerruti)

日頃より格別のご愛顧をいただきありがとうございます。 明けましておめでとうございます! 旧年中は大変お世話になりました。 お陰様で充実した一年を過ごすことができました。 やるべきことを強く認識し、信じる方向により強く踏み出すようになり、自分へのハードルをより高く設定するようになって約2年 ... 続きを読む

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