造り手紹介 Stefano Legnani / ステーファノ レニャーニ
造り手:Stefano Legnani / ステーファノ レニャーニ
人:Stefano Legnani / ステーファノ レニャーニ
産地(州):リグーリア
ワイン:Ponte di Toi、Bamboo Road、Loup Garou…等
所在地:Via de Molini 72 – Bradia 19038 Sarzana IT – Italia <Map>
Web:
知性溢れ、粋な心遣いもでき、好奇心旺盛、人が好き、人と人を繋ぐワインが好きなステーファノ、うちの造り手の中でも、ダントツに日本人のフェイスブック友達が多いのではないでしょうか。曰く、自分のワインをFBにアップしている人、凄い美味しそうな料理をアップしていて、自分のワインでなくても好みを共有できると判断(笑)した人と片っ端から友達になっているそうです。
「いや、ほんとに日本の人達がアップする料理の写真の美味しそうなことといったら…西洋の料理であれ、日本料理であれ…あの写真を見る限り、日本のレストランのレベルは大変なことになっているはずだ!そんな料理を食べつけている人たちの国で、僕のワインが沢山飲まれているだなんて…感激だよ!!」
保険のエージェントだったステーファノ、食べる事、飲むことが大好きで、噂のレストラン、酒屋、ワイナリーなどを訪ねるのを週末の楽しみとして、人生を謳歌していました。
15年前くらいのとある日、“変なワイン”の試飲会があると聞きつけ、参加することにします。その晩招待されていた造り手はといいますと、ラ ビアンカーラのアンジョリーノ、ラディコン、カステッロ ディ リスピダのアレッサンドロという、非常に濃い面々(笑)。
彼らのワインは、それまでにステーファノが飲んできたワインとは全く異なり、当時の彼の味覚的には難解かつ動揺を誘うもので、素直に“美味しい!!”とは思えない…。
ですが、造り手3人の、自身の進んでいる道に対する確固たる信念、確信、自信に満ちた表情にオーラのようなものを感じたそうです。雷に打たれたような気分を味わったその晩、家に帰ってすぐにワイナリー名&ワイン名をメモして、彼らのワインを探し求めるようになり、アンジョリーノ達が主宰する自然派ワインのサロンにも通い始め、毎週末、そこで出会った造り手や、その造り手から紹介された別の造り手を訪ね歩く生活が始まります。(ここでステーファノも書いているのですが、この当時、造り手からの口伝だけが、同じようなフィロソフィを持つ別の造り手に行き当たる唯一の方法でした…。僕にとってのマッサヴェッキア、コステ ピアーネ然り。)
自身のオフィスを4つ持ち、従業員もそれなりの数がいてと、保険業の世界では大きな成功を収め、月曜から金曜まではジャケットにネクタイでバリバリ働き、土日にはアンジョリーノ、ラディコン、カミッロ ドナーティ、ヴィットリオ グラツィアーノ(エヴィーノさんが日本へ輸入しています!!)等々のセラーに通い倒すようになり、そのうちに、多くの造り手と友達になると同時に、彼らのワインの熱狂的な愛好者になってしまっている自分に気付きます。
恋の病にかかったような感じで、何週間か1つの造り手のワインしか飲まなかったりしたこともあったそうです(笑)。どんどんどんどん彼らのワインが好きになり、彼らとの友情を謳歌し、彼らと一緒に過ごす時間が増えるにつれ、話題はワインそのものから畑へと移行していくようになります。畑の話をする時の彼らの目の輝きぶりを見るにつけ、徐々にジェラシーのようなものを感じるようになったそう(笑)。
自身が食やワインの生産現場で見てきたもの、昔ながらの知恵であったり、味わいなどを、より多くの人と共有したいと考えるようになり、Serenissima Accademia del Gusto、訳すと“晴れ晴れした(清明な、ピュアな、裏表のない)味覚アカデミー”というグループを作り、いろいろな生産者を招いてセミナーを企画し、真っ当な食、ワインの啓蒙活動を数年に渡り精力的に行いますが、それでも何かが満たされないとステーファノは思うようになります。
そのあたりから、彼が住むサルザーナに所有する土地、それももともとはブドウ畑だった場所の利用方法を真剣に考え始め、役所へ赴き、ブドウを植える許可をもらいます。2004年に土地を綺麗にし、ブドウを植える準備をし、2005年にブドウ樹を植え、ブドウ栽培家としての生活を始め、2008年からワインを造り始め、2012年には保険の仕事も完全にやめ、専業農家となり現在へと至ります。
まだワインを造り始めて10年と経っていないのですが、すでに恐ろしいところにまで来ていると思うのは僕だけでしょうか?想いの強ささえあれば、経験の少なさを克服することができるということなのかと。
もちろん、短期間に最短距離を走り抜けるためには、アンテナの高さ、貪欲さ、観察力、気付き、謙虚さなどは凄い重要にはなりますが…。
誰のワインを飲んで、自分でワインを造る事を志すことにしたかという話をしましたので、彼がどんなフィロソフィで畑&セラーで仕事するのかは、明らか過ぎると思いますので、ここでは割愛させていただきまして、簡単なワインの説明だけを(笑)。
1ヘクタールの畑では、ヴェルメンティーノのみを栽培し(ブドウの樹のことを“お嬢さん”と呼んでいて、それはもう親バカすぎる可愛がりようです)、仕込むワインも1種類だけなのですが、ボトリングのタイミングによって、2種類の名前でリリースされています。醸造は、5日間の皮ごとの醗酵、ステンレスタンクでの醗酵&熟成、ボトリング時に最小限度の酸化防止剤を添加。
ポンテ ディ トイは、発足当初(2008?)から造られているワインで、ル ガルー(フランス語で狼男の意)は、2011年から造られ始めたワインになります。
ステーファノ自身、ワインは冬の寒さと夏の暑さ(もちろん30度とかではありません)の両方を体験させてからボトリングするのが理想的なのでは?と考えていたのですが、生産量も少なく、極端にリスクを冒すことができないため、ポンテ ディ トイは収穫翌年の3月にボトリングされていました。
2011年ヴィンテージのタンクの下側の澱に近い部分をポンテ ディ トイとしてボトリングせずに、小さなタンクへと移し換え、8月まで澱と共に熟成させたのちにボトリングしたものがル ガルーになります。
ステーファノは、それなりに大きな差を両者の間に感じているようで、毎ヴィンテージ毎に1か月ずつ、ポンテ ディ トイのボトリング時期を遅らせ(つまりル ガルーに近づけ)、将来的にはル ガルーを生産しないつもりなのかと。
※2015年1月の記事になります。
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